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医療事務

病院のコスト削減方法とは?具体的な対応策を5つご紹介

公開日/2025.09.30 更新日/2025.09.30

社会保障費の増大化によって医療費抑制が求められる今 、病院経営におけるコスト削減は重要課題です。本記事では、人件費や医薬品費など病院コストの内訳をふまえ、今日からできるコスト削減方法を5つ、具体的な取り組み例とともに解説します。医療の質を維持しながら経営改善を図るヒントが満載です。

病院の経営状況とコスト削減の必要性

【病院の経営状態悪化の主な要因】
・収入が減少傾向にある
・必要経費が増加傾向にある

病院経営は、年々厳しさを増している状況にあります。2016年の診療報酬改定以降、収入は伸び悩み、さらに2020年の新型コロナウイルス感染拡大により外来・入院患者が減少し、医業収益は大きな打撃を受けました。

加えて、物価高騰による光熱費や医療材料費の上昇、人件費の上昇も経営を圧迫しています。全日本病院協会等の調査では、2023年度に医業利益が赤字と回答した病院は全体の74.9%にものぼりました。

こうした状況下で病院経営を安定させるには、コスト全体を正確に把握し、不要な支出を見直すことが欠かせません。医療の質を維持しつつ持続可能な運営を図るためにも、戦略的なコスト管理が求められています。

参考:公益社団法人 全日本病院協会|2024年度病院経営定期調査

病院のコスト構造と比率

病院の種類によっても、コスト構造は変わります。ここでは、一般病院、療養型病院、精神科病院それぞれのコスト構造と比率の特徴について解説します。

一般病院

項目 比率
人件費率 54.0%
医療材料費率 21.9%
給食材料費率 1.7%
経費率 19.4%
うち水道光熱費率 1.8%
減価償却費率 5.1%

参考:独立行政法人 福祉医療機構WAM 経営サポートセンター「2023年度 病院の経営状況について」

一般病院では、急性期医療を担うために高額な医療機器の導入や施設整備が不可欠です。そのため、設備投資と人件費がコストの大部分を占める傾向にあります。

また、医師や看護師など専門職の確保・育成にも多くの費用がかかることが、経営に大きな影響を与えています。

療養型病院

項目 比率
人件費率 60.4%
医療材料費率 8.5%
給食材料費率 3.7%
経費率 22.1%
うち水道光熱費率 2.2%
減価償却費率 4.1%

参考:独立行政法人 福祉医療機構WAM 経営サポートセンター「2023年度 病院の経営状況について」

療養型病院は、主に長期入院患者さんのケアを担います。そのため、高度な医療設備よりも、介護職員を含むスタッフの人件費がコストの最大の要因となる傾向です。

精神科病院

項目 比率
人件費率 62.9%
医療材料費率 6.8%
給食材料費率 6.1%
経費率 20.4%
うち水道光熱費率 3.0%
減価償却費率 4.6%

参考:独立行政法人 福祉医療機構WAM 経営サポートセンター「2023年度 病院の経営状況について」

精神科病院では、患者さんの安全を確保する治療環境と専門的なケアが極めて重要です。そのため、安全対策を施した施設設備への投資や、専門医・看護師といったスタッフを確保するための人件費が経営コストの大きな割合を占めます。

病院で発生するコストの種類

病院の経営を考えるうえで、どのようなコストが発生しているか把握することは非常に重要です。ここでは、病院で発生する主なコストの種類について具体的に解説します。

材料費

材料費とは、病院で使用される医薬品や診療材料などの購入にかかる費用です。材料費には、注射器やガーゼなどの消耗品、薬剤、検査試薬、医療機器部品などが含まれます。

これらは診療ごとに使用頻度が高く、在庫管理や無駄の削減が重要です。とくに、医療材料費は変動費として経営への影響が大きく、効率的な調達と使用が求められます。

【主な材料費】
・医薬品費
・診療材料費
・給食材料費 など

人件費

病院における人件費は、医師・看護師・技師・事務職員など多職種にわたる人材の給与や手当、福利厚生費などが含まれ、コスト全体の中でも大きな割合を占めます。

質の高い医療を提供するには、優秀な人材の確保が不可欠です。一方で、労働環境の整備や業務効率化による適切な人員配置も、経営上の重要な課題といえます。

【主な人件費】
・給与・賞与
・福利厚生費
・退職金積立 など

委託費

委託費とは、清掃や警備、給食、検査など、病院運営に必要な業務を外部の専門業者に依頼する際に発生する費用です。専門性や効率性の向上を目的に導入される一方で、契約内容や業務範囲によってコストが膨らむこともあります。

委託先の見直しや業務の一部内製化により、コストの削減・最適化を図ることが可能です。

【主な委託費】
・清掃委託費
・警備委託費
・給食委託費 など

減価償却費

減価償却費は、病院が所有する建物や医療機器などの資産が時間とともに価値を失うことに対して計上される費用をいいます。減価償却費は、病院の財務状況に大きな影響を与えるため、適切な管理が必須です。

【主な減価償却費】
・病院の建物
・医療機器
・情報システム(電子カルテ等) など

その他諸経費

その他の経費には、電話やインターネットなどの通信費、電気やガスなどの水道光熱費、建物の火災保険料などが含まれます。一つひとつは少額でも、日常的に発生するため積み重なると大きな支出となります。そのため、日々の細かな管理と見直しが大切です。

【主な諸経費】
・通信費
・水道光熱費
・建物の火災保険料 など

病院のコストを削減する5つの方法

医療の質を維持しながら病院経営を安定させるには、コスト削減が不可欠です。ここでは、病院が実践できる効果的なコスト削減方法を5つの視点から具体的に紹介します。

医薬品・材料費の価格交渉をする

【コスト削減の取り組み例】
・医薬品・材料費等の仕入れ価格の見直し
・仕入れる在庫数の見直し
・設備・備品管理の適正化 など

病院のコスト削減には、支出の中で大きな割合を占める医薬品や医療材料の見直しから始めましょう。まずは、業者と価格交渉を行い、適正な価格で仕入れる体制を整えることが大切です。まとめ買いによる単価の引き下げも有効的といえます。

さらに、仕入れ時の在庫数にも注意が必要です。過剰な在庫を抱えないよう、必要な分だけを適切に発注することで無駄を防げます。これらの工夫は、設備や備品の管理にも応用可能です。

委託業務・費用を見直す

委託費の見直しも重要なコスト削減策です。まず、清掃や給食、検査など現在委託している業務をすべて洗い出しましょう。そのうち院内で対応できるものがあるかどうかを検討し、無駄な委託業務を省きます。

ただし、委託の終了で人件費がかえって増える可能性もあるため、委託費との費用対効果を慎重に比較することが不可欠です。

インフラ・固定費の費用を見直す

【コスト削減の取り組み例】
・電気、ガス、水道の契約先・プランの見直し
・保険料の見直し
・院内での水道や電気の使い方の見直し など

病院経営に必須のインフラ・固定費も今一度見直しましょう。電気・ガス会社や通信キャリア、保険会社を改めて比較検討したり、契約内容のみでも変更したりすることでコスト削減につながります。

また、院内での水道や電気の使い方も見直す意識改革も重要です。LED照明への交換や節水設備の導入など設備投資も、長期的に見ればコスト削減になるでしょう。

人件費を見直す

【コスト削減の取り組み例】
・業務形態や業務内容を見直す
・パート・アルバイトの雇用形態を増やす
・ITツールを導入して生産性を上げる など

病院コストにおいて、人件費は非常に大きな割合を占めています。ただし、単純な人員削減は業務に支障が出てしまうため、業務形態や業務内容を見直すことが大切です。

パート・アルバイトの雇用形態を増やす、ITツールを導入して業務の生産性を上げるなどの対策もよいでしょう。これにより、医療の質を維持しながらコストの最適化を目指せます。

ITツールを導入する

【ITツールの例】
・清掃へのIoT導入
・レセプト入力の自動化
・自動精算機の導入 など

前述のとおり、業務の生産性を高めるにはITツールの導入も効果的です。たとえば、清掃へのIoT導入、レセプト入力の自動化、自動精算機の導入などが挙げられます。

人の手が不要な定型業務は、なるべくITツールに代替させましょう。これにより、スタッフは専門性の高い業務に集中でき、医療の質の向上と業務効率化の両立が実現可能です。

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適切なコスト削減により安定的な病院経営を目指そう

多くの病院が厳しい経営状況に直面しており、コスト削減は差し迫った課題となっています。なかでも比率の高い人件費は、業務効率化や雇用形態の見直しによって最適化が可能です。IT導入や委託業務の見直し、人件費の管理など、医療の質を維持しながらコストを削減する取り組みを実施していきましょう。

病院のコスト削減には、専門的な視点での現状分析と具体的な施策が不可欠です。ソラストは50年以上にわたり、全国1,400以上の医療機関を支援してきた実績があります。医療事務の受託から経営コンサルティングまで、貴院の課題に最適な解決策をワンストップでご提案します。まずはお気軽にお問合せください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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