1. トップページ
  2. コラム
  3. 医療事務コラム
  4. 病院のコスト削減アイデア7選!経費の種類や取り組み方のコツを解説
医療事務

病院のコスト削減アイデア7選!経費の種類や取り組み方のコツを解説

公開日/2026.03.17 更新日/2026.03.17

現在、赤字経営に陥っている病院は多く、コスト・経費の削減が重要な課題といえます。ただし、病院においては単に経費を削減するのではなく、いかに医療の質を落とさずにコストを最適化できるかが求められます。今回は病院のコスト削減アイデアや取り組みのコツについて解説します。

病院でコスト削減が重要視される理由

・赤字経営に陥る病院が増えているため
・光熱費や医療材料費など必要経費が高騰しているため
・診療報酬制度による収入の制限があるため
・働き方改革と人件費の高騰が進んでいるため
・老朽化した施設や最新設備への投資資金が必要なため

現在、赤字経営に陥っている病院も多く、医業利益がマイナスの施設は7割を超えるといわれています。物価高による光熱費や医療材料費の高騰、人件費の上昇も経営を圧迫する大きな要因です。

こうした厳しい環境下で、医療の質を維持しながら持続可能な病院経営を行うには、戦略的なコスト管理が不可欠です。

無駄を省き財務体質を強化することは、将来にわたって良質な医療を提供し続けるための最優先課題となっています。

なお、以下は2021年〜2024年までの一般病院の損益状況を示すグラフです。医業収益自体も増加はしていますが、それ以上に医業・介護費用が年々増えており、コスト増大が収益状況を圧迫していることがわかります。

【一般病院の損益状況】

参考:e-Stat「医療経済実態調査(医療機関等調査)/第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)/報告」

病院でかかる主な経費の種類

主な経費の項目 具体例
医療材料費 ・衛生材料(例:ガーゼ、絆創膏、包帯、脱脂綿など)
・消耗品(例:マスク、使い捨て手袋、注射針、シリンジなど)
・カテーテル、ステント
・手術材料 など
医薬品費 ・内服薬
・外用薬
・注射用薬品
・検査用試薬・造影剤 など
委託費 ・清掃委託費
・給食委託費
・検体検査委託費
・警備委託費 など
設備費 ・建物
・医療機器
・電子カルテなどの情報システム
・リース料
・修繕費
・固定資産税など
人件費 ・医師給与
・看護師・職員給与
・賞与
・法定福利費
・退職給付費用 など
その他経費 ・水道光熱費
・通信費
・広告宣伝費
・消耗品費など

厚生労働省の「医療経済実態調査(医療機関等調査)/第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)/報告」によると、病院経営において人件費(給与費)が占める割合は57.4%と最も高く、経費の半分以上を占めています。

医療は「人」が提供するサービスであるため、人件費率が高くなるのは必然ですが、近年の人手不足や賃金上昇が経営をさらに圧迫しています。

コスト削減を進める際は、この大きな割合を占める人件費をいかに最適化し、効率的な人員配置を行えるかが鍵となるでしょう。

参考:e-Stat「医療経済実態調査(医療機関等調査)/第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)/報告」

【経費の種類別】病院のコスト削減施策7選

コストはさまざまな観点から削減が可能です。ここでは、経費の種類別に病院のコスト削減施策をみていきます。

【医療材料費・医薬品費】仕入れ先の見直しや価格交渉を行う

医療材料費は日々の診療に欠かせない経費ですが、定期的な仕入れ先の見直しや価格交渉により、コストを大幅に抑えられる可能性があります。

まずは部署別や品目別に利用状況を詳細に分析し、無駄な在庫や単価のばらつきを把握してみてください。また、他院の価格事例との比較や共同購入の検討を行うことで、医療の質を落とさずに支出を最適化できます。現場の協力も得ながら、戦略的な購買管理を進めてみましょう。

なお、他医療機関とのベンチマーク分析による価格交渉も、見直しの効果的な方法の一つです。

【医療材料費・医薬品費】適正在庫を保つ

医薬品の過剰在庫は、管理工数の増大や期限切れによる廃棄リスクを招きます。無駄を削減するには、現場の使用状況を定期的に分析し、必要量に応じた発注体制へ改める必要があります。

具体的には、過去の使用実績をもとに目標在庫量を設定し、発注基準や安全在庫数を見直しましょう。すべての品目ではなく、まずは高額な薬剤など優先順位をつけて取り組めば、効率的に在庫の適正化が図れます。

【委託費】必要性や頻度を見直す

清掃や給食、検体検査などの外部委託費は、契約内容が形骸化しがちです。現在の委託内容が過剰でないか、あるいはIT化や効率化によって院内で対応可能かを検討し、費用対効果を踏まえて調整しましょう。

とくに契約更新のタイミングは、複数社からの相見積もりを実施して市場価格と比較する絶好の機会です。品質を落とさずにコストを最適化できるよう、早めに現状分析と見直しの準備を進めましょう。

【設備費】リストアップして管理を行う

設備費の削減には、まず医療機器や電子カルテなどの保有資産を整理・リスト化し、現状を正確に把握することが大切です。

更新の優先順位を明確にし、保守費用と導入コストのバランスを考慮した資機材選定を行うことで、長期的な支出を抑制できます。

また、稼働率の低い機器の集約や、使用しなくなった機器の売却・下取りも検討してみてください。計画的な設備投資計画を策定し、無駄のない資産運用を目指しましょう。

【人件費】パート・アルバイトスタッフを増やす

病院経営で最大の割合を占める人件費を最適化するには、柔軟な雇用体系としてパート・アルバイトを有効活用しましょう。業務の繁閑に応じた人員配置を行うことで、突発的な業務への対応力を維持しつつ、定型業務の効率化による過剰な待機時間の削減や残業代の抑制につながります。

導入時には、専門性の高いスタッフが本来の業務に集中し、補助的業務にパート・アルバイトを配置するなどのタスク・シフティングによる業務分担や職務設計の見直しを並行して行い、現場の混乱を防ぐ調整が不可欠です。多様な働き方の推進は、採用力の強化や離職防止といった副次的な効果も期待できます。

【人件費】ITツールを導入し業務を効率化する

電子カルテやシフト管理システム、勤怠管理ツールなどの導入は、煩雑な事務作業を自動化し、スタッフの業務工数を削減する有効な手段です。情報の共有がスムーズになることで、転記ミスなどのヒューマンエラー防止にもつながります。

導入の際は、現場の使いやすさや操作性を重視し、円滑な定着に向けた支援体制を整えることがポイントです。業務の効率化によって残業時間を短縮できれば、大きな人件費削減効果が期待できるでしょう。

【固定費】契約先やプランを見直す

電気・ガス・通信・保険料などのインフラ関連費用は、毎月発生し続ける固定費です。これらは一度見直せば長期的な削減効果が続くため、経営へのインパクトが大きい項目です。

最新プランへの変更や契約先の切り替え、省エネ機器導入による使用方法の見直しなど、具体的な対策で効果的にコストを最適化できます。

自動引き落としで管理が疎かになりがちな分野こそ、定期的な精査と他社比較を行い、無駄を徹底して省きましょう。

病院のコスト削減の取り組みを成功に導くコツ

病院のコスト削減の取り組みには、スタッフをはじめとした院内全員の協力が不可欠です。ここでは、コスト削減の取り組みを成功に導くコツをお伝えします。

プロジェクトチームを設置する

コスト削減を成功させるには、医師、看護師、事務スタッフなど多職種から代表を選び、プロジェクトチームを設置することが有効です。現場の声を反映させることで施策の実効性が高まり、メンバーを通じて各部署へ改善の意識を浸透させられます。

全職員が当事者意識を持って取り組める体制を整え、院内全体で共通認識を持つことが重要です。

現状のコストと課題を洗い出す

病院の収支や費目ごとの支出を分析し、課題を明確にします。経費項目ごとに、診療科別や過去数年との比較を通じて可視化を図りましょう。

数値をグラフなどで視覚化すれば、削減対象の優先順位が判断しやすくなります。現状を客観的に把握し、効果が高い項目から着手することが、実効性の高いコスト削減へと導きます。

経費削減の目的・目標・優先順位を明確にする

病院の存続や医療の質向上といったコストの最適化が狙いであることを明確にすることが大切です。抽出した削減候補は「実行の容易さ」「医療の質への影響」「効果の大きさ」を軸に優先順位を付けましょう。

組織全体で納得感のある具体的な目標を掲げることで、現場の協力を得ながら一丸となって取り組める環境が整います。

取り組み成果の「見える化」を行う

取り組みの成果を数値やグラフで可視化し、目に見える形で示すのも効果的です。医療の質を損なわずに効率を上げられたというプラスの効果を共有することで、スタッフの意識改革やモチベーション向上につながります。

浮いたコストが最新設備の導入や待遇改善に還元される好循環を伝え、院内一丸となった継続的な取り組みを促進しましょう。

院内全体で意識改革を進める

院内全体で共通の目的を共有し、部署を横断して協力し合う組織文化を育てることも大事です。単なる経費削減ではなく、良質な医療の維持に向けた自分たちの課題として、職員一人ひとりの意識改革を促します。

定期的な成果共有を通じてコスト意識を定着させ、全職種が自律的に取り組める体制を築くことがコスト削減の成功へとつながります。

経費削減でお悩みなら!ソラストの伴走型収支改善支援サービス

経費削減には、ソラストの伴走型収支改善支援サービスが活用できます。ここでは、伴走型収支改善支援サービスについて紹介します。

伴走型収支改善支援サービスとは

ソラストの伴走型収支改善支援サービスは、課題解決の提案に留まらず、PDCAサイクルの全段階で病院経営者さまの伴走者として支援するサービスです。現場に寄り添い、確実な経営強化をトータルでサポートします。

豊富な現場実績とノウハウを凝縮した独自ツールによる分析が強みで、レセプト精度向上や算定漏れ是正を通じ、実質的な収益改善を後押しします。

実際に病院実務に携わるスタッフならではの観点から経営改善の提案を行います。

伴走型収支改善支援サービスでできること

・経費適正化支援サービス
・診療報酬増収支援サービス

ソラストでは、「経費の適正化」と「診療報酬増収」の両面から経営をサポートします。独自の分析ツールを用いたレセプト精査や業務効率化の提案など、即効性のある実行支援と効果的な改善支援が強みです。

経費の見直しや加算漏れの防止など、現場の状況に合わせた具体的な解決策で、持続可能な病院経営の実現を支援します。

【こんな病院経営者さまにおすすめ】
・価格交渉が適切にできていない
・財務上の課題が何か把握できていない

成功事例

A病院の場合
施策 ・購入・消費・在庫データの分析
・材料委員会での報告
・物品集約提案
・物品切り替えサポート
結果 物品の切り替えにより年間2,000万円相当の経費削減に成功
B病院の場合
施策 ・後発医薬品への切り替えシミュレーション
・購入動向などの現状分析
・卸業者変更提案
・在庫適正化提案
結果 後発医薬品切り替えや卸業者変更により、年間500万円相当の経費削減に成功
C病院の場合
施策 ・レセプトの査定対策、再審査請求の強化支援
・算定漏れ対策支援
・DPCコーディング適正化支援
・新規施設基準提案
結果 診療報酬の適正化により年間2,200万円相当の増収に成功

A病院では、「内部要因の分析」を行ったうえで、物品集約や切り替えといった購買管理の最適化により、年間2,000万円の経費削減を実現しました。

コスト削減を考える際は、価格交渉や取引先変更など外部とのやり取りを見直すことを一番に考えてしまいがちです。重要ではありますが、まずは自院の状況を適切に把握し、なぜ問題が起こっているのかといった「内部要因の分析」も大切といえます。

また、B病院では、後発医薬品への切り替えや卸売業者の変更などの施策を中心に行い、年間500万円相当の経費削減に成功しています。さらにC病院では、レセプト査定や算定漏れ対策を徹底したことで、年間2,200万円相当の増収を叶えました。

病院のコスト削減に関するQ&A

ここでは、病院のコスト削減に関するよくある質問に回答しています。

Q.病院全体でコスト意識を高めるには?

A. 経営状況や削減の目的を透明化し、全職員が「自分たちの課題」として捉えられる環境を整えることが重要です。

病院全体でコスト意識を高めるには、透明性の高い情報共有がポイントとなります。「見える化」の際は単に数字を並べるのではなく、削減によって得られる利益によってスタッフにどのように還元されるかといった背景と意義を丁寧に伝えましょう。具体的な目標設定と成果の共有を繰り返すことで、自発的な組織文化を醸成できます。

Q.医療従事者のコスト意識を高めるには?

A. コスト削減の成果が「自分たちの働きやすさ」や「患者サービス」の向上にどう還元されるかを明確に示すとよいでしょう。

各部署の支出状況や削減成果を数値で可視化し、現状を共有することで当事者意識が高まります。ただし、管理業務が増えて現場の負担が重くなり、本来の医療業務が圧迫されないようITツールの活用などで配慮する必要があります。

コスト削減を目的化せず、無駄を省くことが医療の質向上につながるというポジティブな意義を浸透させましょう。

【部門別】医療従事者のコスト意識を高めるポイント
部門 ポイント
看護師 日常的に使用する診療材料の無駄な開封を防いだり、業務フローの見直しによる残業時間の短縮を図ったりする。
薬剤 ジェネリック医薬品の積極的な採用や適正な在庫管理を行い、期限切れによる廃棄リスクを抑える。
栄養 食材の仕入れルートの見直しや、残菜調査に基づく献立の最適化によってフードロスと材料費を削減する。
検査 試薬の在庫管理を厳格化するとともに、外部委託と院内検査の費用対効果を定期的に比較・検証する。

Q.人件費の削減を行う際の注意点は?

A.医療の質や職員のモチベーションを損なわない配慮が必須です。

単に給与や人員を削減するのではなく、業務効率化や配置の最適化を通じて、スタッフの負担を減らしながら生産性を高める視点が不可欠です。強引な賃金カットや人員削減は、離職の増加や医療事故のリスクを招きます。長期的にみると採用コストが増加してしまい、逆効果になることもあります。

IT導入による業務効率化やタスク・シフティングを進め、残業代の抑制を図るなど、スタッフの意欲を維持しつつコストを最適化する手法を選びましょう。

Q.経費削減を進めるうえで、院内から反発を招かないためには?

A. 削減の目的が「単なる支出カット」ではなく「良質な医療の継続と職場環境の改善」にあることを丁寧に伝えて、現場に納得してもらう必要があります。

関係者との対話を丁寧に行い、削減の目的と意義を共有することが基本です。一方的な指示は現場の不信感やモチベーション低下を招くため、プロジェクトの初期段階から現場の意見を吸い上げる体制を整えましょう。

また、削減によって浮いた資金を最新機器の導入や働きやすさの向上に充てるなど、職員にとっての具体的なメリットを提示することで、前向きな協力体制を築きやすくなります。

病院のコスト・経費を削減して良質な財務体制を築こう!

病院のコスト削減は、医療の質を維持しつつ持続可能な経営を実現するために不可欠な課題です。人件費や材料費などの各経費を可視化し、現場の理解と協力を得ながら戦略的に取り組みましょう。単なる支出カットに留まらず、IT活用や業務効率化を通じて、経営基盤の強化と職員の負担軽減を両立させましょう。

具体的な削減策や収益改善でお悩みの場合、専門家の支援を検討してみてはいかがでしょうか。

ソラストでは、豊富な知見を活かして「経費の適正化」と「診療報酬の増収」の両面から貴院をサポートします。具体的な支援内容については、以下のリンクからご確認ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

関連コラム

他カテゴリーのコラムはこちら