病院機能評価とは?費用・メリット・最新動向をわかりやすく解説
病院機能評価は、日本医療機能評価機構が実施する医療機関への第三者評価制度です。認定を受けるメリットは知っているものの、準備や費用がネックとなり、受審に踏み出せない医療機関も多いでしょう。本記事では、病院機能評価のメリット・デメリットや最新動向を徹底解説。受審されない病院が増えている背景と、効果的な支援サービスについても紹介します。
病院機能評価とは?
病院機能評価とは、公益財団法人日本医療機能評価機構が実施する第三者評価制度です。医療機関が提供する医療の質や運営管理の状況といった「基本的な機能」を客観的に評価し、各病院の強みや改善点を明確にする役割を担っています。
医療機関は、評価を通じて自らの医療提供体制を見直し、継続的な改善を促進できるでしょう。結果として、地域住民や患者さんからの信頼性を高め、より安全で質の高い医療サービスを提供する体制を整えることへとつながります。
病院機能評価の機能種別
【主たる機能】| 機能種別名 | 特徴 |
|---|---|
| 一般病院1 | 主として、日常生活圏域等の比較的狭い地域において 地域医療を支える中小規模病院 |
| 一般病院2 | 主として、二次医療圏等の比較的広い地域において 急性期医療を中心に地域医療を支える基幹的病院 |
| 一般病院3 | 主として、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修を実施する病院または準ずる病院(特定機能病院・大学病院本院等) |
| リハビリテーション病院 | 主として、リハビリテーション医療を担う病院 |
| 慢性期病院 | 主として、療養病床等により慢性期医療を担う病院 |
| 精神科病院 | 主として、精神科医療を担う病院 |
| 緩和ケア病院 | 主として、緩和ケア病棟もしくはホスピスを保有している病院 |
引用:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価ガイドブック」
【高度・専門機能】| 機能種別名 | 特徴 |
|---|---|
| 救急医療・災害時の医療 | 地域で高次救急機能を担う病院で、「三次救急を担う病院」 または「三次救急に準ずる病院」であること |
| リハビリテーション(回復期) | 地域で高水準の回復期リハビリテーション機能を担い、以下を満たすこと ・主たる機能種別または副機能で「リハビリテーション病院」を受審している ・回復期リハビリテーションを継続して行う適切な体制が整っている ・常勤の「公益社団法人日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医」が、回復期リハビリテーション病棟の主治医または担当医として従事している ・回復期リハビリテーション病棟での「リハビリテーション提供単位数」が 1 日当たり平均 6 単位以上である |
引用:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価ガイドブック」
引用:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価(高度・専門機能)の概要」
病院機能評価には、病院の役割に応じた7つの「主たる機能」があります。各病院は、自院が持つ役割・機能に合わせて選択し、評価を受審します。必要に応じて「副機能」として、別の機能を追加受審することも可能です。
さらに、通常の審査(本体審査)を受けた病院は、高度な医療提供や技術開発を行う「高度・専門機能」の評価も追加で受けられます。「高度・専門機能」には、「救急医療・ 災害時の医療」「リハビリテーション(回復期)」の2種類があり、病院の専門性を多角的に評価する仕組みです。
病院機能評価の評価対象領域
| 評価対象領域 | 内容 |
|---|---|
| 第1領域(患者中心の医療の推進) | ・病院組織の基本的な姿勢について ・患者の安全確保等に向けた病院組織の検討内容、意思決定について |
| 第2領域(良質な医療の実践1) | 病院組織として決定された事項を、診療・ケアにおいて確実・安全に実践できているか |
| 第3領域(良質な医療の実践2) | 確実で安全な診療・ケアを実践するうえで必要な機能を、各部門において発揮できているか |
| 第4領域(理念達成に向けた組織運営) | 良質な医療を実践するうえで基盤となる病院組織の運営・管理状況について |
引用:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価ガイドブック」
病院機能評価では、病院組織全体の管理状況や運営の実態、提供する医療の質の程度などを適切に評価するため、4つの評価対象領域が定められています。
病院が安全で質の高い医療を提供しているか、効率的に運営されているか、患者さん中心の体制が整っているかなどを多角的に検証し、その実態を明らかにします。
【最新】病院機能評価の認定病院数の推移
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国の病院数 | 8,044(概数) | 2025年3月末時点 |
| 認定病院数 | 2,168 | 2025年8月22日時点 |
| 認定病床数 | 641,557(概数) | 2025年3月末時点 |
| 認定病院の推移 | 2009年の2,574病院数から減少傾向だが、2022年度の診療報酬改定以降は微増傾向にある | |
2025年3月末時点で全国の病院数は8,044施設です。2025年8月22日現在、病院機能評価の認定を受けているのは2,168病院で、これは全体の約27%にあたります。この認定病院数は、新規受審と更新受審の合計です。
認定病院数は2009年をピークに減少傾向でしたが、2022年度の診療報酬改定の際に認定を望ましいとする診療報酬が設定されました。この改定を機に、認定病院数は微増傾向に転じています。
参考:公益財団法人 日本医療機能評価機構 病院機能評価結果の情報提供
参考:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価とは」
病院機能評価の受審費用と準備期間はどのくらいかかる?
病院機能評価の受審費用や準備期間はどのくらいかかるのでしょうか?ここでは、その費用の目安や準備に必要な期間と体制づくりについて紹介します。
受審費用の目安
【主たる機能種別】費用の目安| 審査体制区分 | サーベイヤー(※) | 総費用(税込) | うち申込金 |
|---|---|---|---|
| 審査体制区分1 | 3名 | 1,485,000円 | 370,000円 |
| 審査体制区分2 | 3名 | 1,848,000円 | 460,000円 |
| 審査体制区分3 | 6名 | 2,695,000円 | 670,000円 |
| 審査体制区分4 | 6名 | 3,058,000円 | 760,000円 |
| 一般病院3 | 9名 | 5,588,000円 | 1,400,000円 |
病院機能評価の訪問審査を担当する「評価調査者」。「診療」「看護」「事務」「薬剤」「療法士」の5つの専門領域を持ち、多角的な視点から審査を行います。
| 受審時期 | サーベイヤー | 総費用(税込) |
|---|---|---|
| 主たる機能種別と同時 | 1名 | 242,000円 |
| 認定期間中 | 2名 | 616,000円 |
| 受審時期 | サーベイヤー | 総費用(税込) |
|---|---|---|
| 救急医療・災害時の医療 | 3名 | 880,000円 |
| リハビリテーション機能(回復期) | 3名 | 880,000円 |
参考:公益財団法人 日本医療機能評価機構「病院機能評価ガイドブック」
病院機能評価の受審費用は、病院の規模ごとに分けられている審査体制区分によって大きく変動します。費用にはサーベイヤーの派遣費や諸経費が含まれており、「主たる機能種別」の本審査の場合は申込金の前払いが必要です。
本体審査費用だけでも約150万円から550万円程度かかります。さらに、主たる機能種別以外の副機能を同時に受審する際は、評価範囲などに応じて、追加で20~60万円程度がかかります。
準備に必要な期間と体制づくり
病院機能評価の受審には、通常2~3年の準備期間が必要です。この期間中に、各部署から選任された担当者でプロジェクトチームを立ち上げ、集中的に準備を進めます。具体的には、組織体制の強化や医療安全管理体制の整備、職員教育の徹底など、多岐にわたる項目への対応が求められます。
とくに、経営層が明確な方針を示し、全職員が一体となって取り組む体制を築くことが、評価成功の鍵です。
病院機能評価のメリット・デメリット
病院機能評価を受けることによるメリットやデメリットは何でしょうか?ここでは、受審によって得られるメリットと、注意すべきデメリットについて紹介します。
病院機能評価のメリット
・病院の課題を客観的に把握し、具体的な改善目標を設けられる
・患者さんや地域からの信頼性が高まる
・職員のモチベーション向上と組織力の強化に貢献する
病院機能評価の受審は、医療の質や安全管理の向上に直結します。第三者評価を受けることで、客観的な視点から改善点を発見でき、組織全体の質の向上に役立てられるでしょう。
その結果、患者さんや地域からの信頼性が高まり、選ばれる病院を目指せるようになる点もメリットです。また、改善点や病院の評価が明らかになることは、職員のモチベーション向上と組織力強化にもつながるでしょう。
病院機能評価のデメリット
・書類作成や体制整備など職員の業務負担が増える
・人員不足の病因では準備自体が困難になりやすい
・更新手続きにも費用と手間が発生する
病院機能評価の受審には費用負担が大きく、また、書類作成や体制整備など職員の業務負担が増えがちです。とくに人員不足の病院では準備自体が難しく、受審を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
さらに、一度認定されても認定を受け続けるには5年ごとの更新と3年目の中間報告が必要です。更新の都度、費用と書面審査のための書類作成などの手間が発生します。自院の職員だけで、繁忙な業務の合間を縫って更新準備を進めることは容易ではありません。
なぜ受審されない病院が増えているのか
・受審費用や準備にかかる労力に対する費用対効果への疑問を抱きやすいため
・認定更新の継続的な負担が大きいため
多くの病院が日常業務に追われ、評価準備に十分な時間や人員を割けていないのが実情です。受審の意義は理解されつつも、「コストと労力に見合わない」と判断する病院が増えており、とくに中小病院ではその傾向が顕著に見られます。
人手不足も相まって、評価の準備そのものが困難なケースも多く、結果として受審病院数の伸び悩みにつながっています。
ソラストの「病院機能評価受審支援」サービス
・受審準備の全段階を網羅した支援をご提供
・自己評価や受審シミュレーションなどを通じ、伴走しながら助言・支援を実施
ソラストの病院機能評価受審支援サービスは、最新の評価基準情報にもとづいて各病院が水準を達成できるようにサポートします。受審予定の1年半前から直前まで、各段階に応じたきめ細やかな対応が特徴です。貴院の状況に応じて、ケアプロセスやカルテレビューなどのシミュレーション支援を単独でご利用いただくことも可能です。
事前組織立ち上げから現状把握、改善活動と自己評価支援、訪問審査に向けた受審シミュレーションまで、貴院に寄り添いながら、効率的かつ効果的な受審準備を強力に後押しします。
こんな病院経営者さまにおすすめ!
・準備期間や費用、職員への負担を最小限に抑えたいと考えている方
・医療の質や安全性の向上と、経営の安定を両立させたい方
ソラストの支援サービスは、多忙な経営者の皆さまに代わって、複雑な受審プロセスを円滑に進めます。ソラストの専門知識とノウハウで、貴院の課題解決と目標達成を強力にサポートいたします。
【病院機能評価受審支援サービスを利用されたお客さまの声】※一部抜粋
・「受審体制の準備から受審シミュレーションまで行っていただいた。職員は他部署の仕事も見えるようになり風通しもよくなった。S評価に格上げされた項目も複数ある認定となりました。」(200床未満 リハ病院 院長)
・「定例会議の参加や各部門シミュレーションを実施していただいた。訪問審査受審時に院内が良くまとまっているとの評価をいただけるようになっていた。」(400床未満 一般病院 企画室長)
支援サービスで効率よく、病院機能評価の受審対策を進めよう
病院機能評価は、病院の医療の質向上を目指して、日本医療機能評価機構が行う審査制度です。受審の意義は認めつつ、コストと労力の面から受審数が伸び悩みの傾向がありました。しかし、2022年度の診療報酬改定により診療報酬上の優遇が行われて以降、改めて病院機能評価の受審を検討する医療機関が増えてきました。
また、病院機能評価で認定されることは、病院全体の継続的な改善や患者さんからの信頼獲得に貢献します。支援サービスを利用して、効率的かつ効果的な受審対策を行いましょう。
病院機能評価受審の課題解決は、ぜひソラストにご相談ください。貴院の状況に合わせた支援により、医療の質向上と持続可能な病院経営を強力にサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。