レセプト精度調査の重要性は?病院や診療所の収益改善の方法を解説
レセプト請求は、医療機関の収益に影響する重要な業務です。適切に請求することが医療機関の安定した収益・経営につながりますが、潜在的なミスが発生して、正しく収益化できていないケースも少なくありません。今回は、病院や診療所の収益改善の方法として有効なレセプト精度調査について詳しく解説します。
病院経営の実態
第24回医療経済実態調査の結果から、病院経営の実態として赤字病院が多いことがうかがえます。一般病院の収益情報を見た場合、医業収益と介護収益を合わせた収益の合計金額は、医業・介護費用を下回っています。2億円以上の赤字であり、前々年度の損益差額約1.8億円よりもさらに赤字の傾向です。
なお、一般診療所の収益状況については、医業・介護収益が医業・介護費用を上回っています。
【病院・一般診療所の収支状況】| 一般病院 | 一般診療所 | |
|---|---|---|
| ①医業収益 | 33億5,721.3万円 | 1億6,438.1万円 |
| ②介護収益 | 652万円 | 443万円 |
| ③医業・介護費用 | 35億8,797.3万円 | 1億4,653.3万円 |
| 総損益差額 (①+②-③) |
−2億2,424万円 | +2,227.8万円 |
参考:e-stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 病院(集計1) 」
参考:e-stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 一般診療所(集計2) 」
【2024年度医業損益への影響】| 経常利益率が黒字の病院 | 経常利益率が赤字の病院 | |
|---|---|---|
| 2023 | 49.2% | 50.8% |
| 2024 | 38.8% | 61.2% |
また、6つの病院団体が合同で行った「2024年度診療報酬改定後の病院経営状況」のデータからも、経常利益で赤字の病院の割合は、2023年度の50.8%から2024年度は61.2%へ増加しており、病院経営の状況は厳しい状況にあることがわかります。
病院・診療所の収入構成
病院・診療所の収入の大部分を占めるのは、「保険診療収益」です。保険診療収益とは、医療サービスに対する対価として、医療機関が受け取るお金を指します。診療報酬の点数をもとに算出されます。
病院・診療所の窓口で患者さんが支払うお金は一部であり、残りの医療費は後から請求して、健康保険組合などの保険者から支払われます。つまり、この後から請求する診療報酬こそが、病院・診療所の収益に大きく影響します。
参考:e-stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 病院(集計1) 」
参考:e-stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 一般診療所(集計2) 」
診療報酬請求の算定漏れ・算定誤り・潜在的算定項目とは
| 用語 | 意味 | 主な発生原因 |
|---|---|---|
| 算定漏れ | 本来請求できるはずの項目が、 何らかの理由で請求されていないこと |
・担当者の知識・確認不足 ・システムの入力ミス ・情報共有不足 |
| 算定誤り | 誤った項目での請求や、 算定要件を満たしていないにもかかわらず請求すること |
・実際の診療内容と記録の不一致やタイムラグ ・システムの入力ミス |
| 潜在的算定項目 | 対象患者に対して指導等を実施すれば 算定できるが、現状実施できていない項目のこと |
・最新の診療報酬に関する情報不足 ・複雑な算定要件 |
診療報酬の不適切な請求は、病院・診療所の赤字につながりかねません。
診療報酬を正しく請求できない主な原因として、「算定漏れ」「算定誤り」「潜在算定項目」が挙げられます。ここでは、「算定漏れ」「算定誤り」「潜在的算定項目」がおよぼす影響を詳しく解説します。
算定漏れ・算定誤り・潜在的算定項目がおよぼす影響
診療報酬の算定漏れや算定誤り、そして潜在的算定項目が発生することで、本来受け取れるはずの診療報酬が算定できません。さらに、これらのミスを修正するための再請求業務が発生し、医療事務スタッフの業務効率が低下したり、残業時間の増加にもつながったりします。
また、算定ミスが多発すると、支払基金や国保連合会からの問い合わせや返戻が増加し、医療機関の信頼性を損なう可能性があります。最悪の場合、指導監査の対象となるリスクも高まるでしょう。
適切な診療報酬請求は、安定した経営と医療の質維持のために不可欠です。
収益状況の改善に!レセプト精度調査の重要性
医療機関の経営を安定させるには、適正な診療報酬請求が不可欠です。レセプト精度調査は、収益改善と業務効率化を実現するための強力なツールとなります。
ここでは、レセプト精度調査の重要性や導入メリット、実施方法について解説します。
レセプト精度調査とは
レセプト精度調査とは、医療機関が請求したレセプトとカルテや検査結果などの診療記録を詳細に突合し、算定漏れや算定誤り、過剰請求がないかどうかを徹底的にチェックするものです。
単に請求ミスを指摘するだけでなく、その原因を深く掘り下げることで、病院・診療所の業務フローの改善点を見つけ出し、ひいては収益改善につなげることを目的としています。
レセプト精度調査は、請求業務の透明性を高め、経営基盤を強化するための重要なプロセスです。
レセプト精度調査を導入するメリット
・業務効率の改善
・返戻・査定の削減
・医療機関の信頼性向上
・経営の安定化
レセプト精度調査は、とくに医療機関の収益向上と業務効率化に大きく貢献します。請求ミスによる無駄な労力やコストを削減し、本来の医療業務に集中できる環境を整えることで、医療機関全体の経営体制を強化し、持続的な成長を支援します。
レセプト精度調査の実施方法
ソラストでは、医療機関の現状や課題に関するヒアリングを実施し、調査範囲や期間を決定します。次に、提供されたレセプトデータとカルテなどの診療記録を突合し、算定の適正性や漏れ・誤りを詳細に分析。同時に、医療スタッフへのヒアリングを通じて、業務フロー上の問題点も洗い出します。
最終的に、これらの調査結果に基づいて、具体的な改善策や増収提案が報告書として提出されます。
レセプト精度調査は、専門業者などの第三者に依頼することが効果的です。
病院・診療所経営をサポート!ソラストのサービス
病院・診療所の経営を安定化させるには、適切な診療報酬請求が不可欠です。ソラストでは、病院・診療所の経営をサポートするさまざまなサービスを展開。中でも、「診療報酬請求精度調査」は、請求業務の精度を高めたい方、収益を改善したい方におすすめです。
ソラストの「診療報酬請求精度調査」
ソラストの「診療報酬請求精度調査」は、現在の診療報酬請求の実態を把握し、算定の機会損失と算定漏れ・誤りの両軸から調査・分析して、課題や問題点を洗い出します。
調査が難しい潜在的算定項目やレセプトチェック・カルテ突合調査も、長年のノウハウを集約したICTツールを活用して調査・分析を実施。
診断結果は、全体の件数や影響金額の集計、診療報酬項目ごとの結果詳細に分けて、わかりやすく報告します。
【ソラストの診療報酬請求調査を実施したお客さまの声・実際の収益改善例】| お客さまの声 |
|---|
| ・今回の診断結果で、堅実に実施している部署、担当者については評価してあげたい(266床 A院長) ・これから取組むべき課題が見つかった。ありがとう。(304床 B院長) |
| 実際の収益改善例 |
| ・精度調査実施前後で月額約160万円、年間で約2,000万円相当の収益改善につながった(199床 C病院) ・精度調査実施前後で月額約86万円、年間で約1,000万円相当の収益改善につながった(130床 D病院) |
ご利用いただいた2つの医療機関様では、診療報酬請求精度調査サービスをご利用いただいた結果、診療報酬請求を最適化することで大きく収益改善に繋がりました。
実質的な収益改善をサポート「伴走型収支改善支援」
ソラストでは、診療報酬請求精度調査を実施後に、貴院の伴走者として実質的な収益改善の支援を実施するサービスも展開しています。
医療機関経営支援に精通したアドバイザーが、伴走型コンサルサービスによってサポートを提供。現状の分析と課題の提案から、行うべき取り組みやその取り組み実施後の評価、さらなる改善支援まで、「PDCA」のサイクルで伴走してサポートします。
全国1,500以上の医療機関で業務サポートを行ってきた豊富な経験を活かし、多角的な視点から経営を支援いたします。
レセプト点検をリモートで代行「レセプト点検プラン」
ソラストでは、リモートでレセプトチェック業務を代行する「レセプト点検プラン」もご用意しています。外部の専門家の視点でレセプトチェックを行い、相談や質問にも対応します。レセプト点検に不安がある方、医療事務スタッフの負担軽減を目指したい経営者さまにおすすめです。
レセプト精度調査で病院・診療所の経営を安定させる!
診療報酬は病院・診療所の収益の大部分を占めるものであり、正しく請求できないと医療機関の経営を圧迫する恐れがあります。診療報酬請求を適切に行えていると思っていても、認識できていない算定漏れや算定誤り、本来算定できる可能性があるにもかかわらず請求していない項目が存在するかもしれません。
こうした場合に、第三者視点から診療報酬請求の適切性を調査・分析できる「レセプト精度調査」の実施がおすすめです。
ソラストでは、「診療報酬請求精度調査」をはじめ、PDCAのサイクルで伴走してサポートを行う「伴走型収支改善支援」、多角的に病院・診療所経営を支援する医療機関経営支援サービスを展開しています。医療機関の経営や業務効率化、収益改善に課題がある場合は、ぜひご活用ください。