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医療・介護従事者のための
Newsコラム

医療や介護現場においての課題や話題を、各分野で活躍する第一人者へのインタビューなどを交えながら高くって気に情報を発信。ソラストが医療・介護従事者のために提供するNewsコラムです。

Top Runner
トップランナー Vol.7
2021.1.8

組織や自分自身を守るために
「コンプライアンス」の意味を理解しよう

お話を伺った人:
井上法律事務所
弁護士
井上 清成 氏

医療機関は人の生命を守る現場です。そのなかで、コンプライアンス(法令遵守)が重要であることはよく指摘されます。しかし、最近でも大学病院での診療報酬の不正請求が発覚するなど、法令の逸脱行為が起こってしまうのも事実。コンプライアンスとは何か、また、職場でコンプライアンスをどのように守っていくのがよいのかを、弁護士の井上清成氏に伺いました。

事業を上手に進めていくうえでコンプライアンスを守ることが大切

コンプライアンスの意味は、「法令遵守。特に、企業が法令・社会規範・企業倫理を守ること(広辞苑)」などとされています。コンプライアンスを守るとは、どう行動することですか。

井上 法令に違反したり、他者からの信頼を損ねないように行動すること、という意味で考えるとよいでしょう。

法令遵守と聞くと「今守っていることを、もっと厳しく、もっと力を入れて守ろう」と考えがちです。そうではなく、「いかに法令に妨げられずに、事業を行うか」と考えてみましょう。これは、「脱法行為をしよう」ということではありません。事業を進めていく過程で、不注意などで法令に違反してしまい、行政処分を受けたりすると、組織全体の事業が頓挫することにもなりかねません。法令などに触れたり、他者に対して不誠実な対応をとることなく、事業をどう上手に進めるかを考えて行動することが、コンプライアンスを守ることになります。

ただし、「守る」という言葉だけを注視するのも危険です。厳しく管理をし続けると、仕事の進め方などに柔軟性がなくなり、コンプライアンスからの逸脱行為を考える人が出てくる可能性もあるからです。法令を守ることだけを考えるのではなく、法令を守ることは組織や自分自身を守ることにつながるということを理解して、コンプライアンスを守っていくことが大切です。

さらに言えば、コンプライアンスを「守る」ことだけを強調してしまうと、「仕方がなくやるもの」になってしまいます。コンプライアンスは自分たちがやりたいことを、適法に行う上で必要な考え方。本来は生産的なものです。医療・介護従事者は、限られた条件のなかでアイデアを駆使し、実行することが上手な方が多いので、発想を柔軟にして、現場に即した体制を築き、コンプライアンスを守るようにしてください。

人の身体にかかわる業務だからこそコンプライアンスが重視される

医療現場では、ほかの職種に比べてコンプライアンスが特に重視されています。なぜでしょうか。

井上 人の身体を扱う、人権と大きくかかわる分野の業務を担っているからです。

特に法令では、人の心身に対して害することを厳しく罰しています。そのため、医療や介護のように直接人の身体にかかわる業務を行う人たちに対しては、高いコンプライアンス意識が求められ、法令違反を犯した際は、重い行政処分が科されます。

医療関係で言うと、カルテの改ざんや診療報酬詐欺、患者の心身をおびやかす行為などがコンプライアンスに関わるものとして事件化されていますが(図表)、いずれも他者の心身に大きな影響を及ぼす行為であるため、厳しく罰せられているのです。また、介護職も同様に、利用者という人間を相手にしている仕事であり、高いコンプライアンス意識が求められることを、頭に入れておく必要があります。

コンプライアンスを守るためには、職場で何をすることが必要ですか。

井上 コンプライアンスを守りにくい状況にしている体制や仕組みを改善することです。

井上 まずは先例を参考資料とし、自分たちの現場に合うように柔軟に改良してください。

カルテの適正な扱いについて例に挙げれば、改ざんが起こりにくいシステムを導入する、チェック体制を強化する、強化することにより人員に負担が出そうな場合は、そこをサポートする仕組みをつくる、といったことです。「改ざんしないように」と周知したり、守らない場合は厳しく罰するというだけではなく、コンプライアンスを守れる体制を整えていきましょう。

特に、現在の業務のこなし方は、昔のように「時間をかけての体力勝負」ではなく、「時間内に、要領よく」に変化しています。さらに、ハラスメントのように過去には問題となっていなかったことも、今は法令に触れる可能性もあります。そのため、昔ながらのルールではつじつまが合わなくなることも生じています。ルールに無理があると、違反も起こりやすくなりますので、職場内で無理が生じている業務がないかを見直し、違反が起きないようにすることも必要です。限られた人的資源や時間のなかで、組織を動かしながら違反に至らないようにしてください。

体制作りはどこから始めればいいですか。

井上 まずは先例を参考資料とし、自分たちの現場に合うように柔軟に改良してください。

できたものはそのまま使い続けるだけでなく、うまく機能するかを検証しながら、さらに改良を重ねていくようにしてください。また、改良には法律の知識が必要なため、弁護士や税理士などの力が必要です。しかし、最も重要なのは現場の知恵です。現場を熟知した人が、職場に合わせたルール作りを行わないと、絵に描いた餅になってしまいます。

繰り返しになりますが、体制づくりを進めるうえでは、コンプライアンスを守ることだけを意識するのではなく、自分たちが自由に活動するうえでコンプライアンスを守ることが大切だという点を、共有しましょう。いくら医療や介護を円滑に提供できていたとしても、その過程で法令に違反してしまっては、意味がありません。自分たちが提供したい医療・介護をスムーズに提供するうえで、法令に違反しないようにするためにはどの点に注意をしなければいけないのかを、皆で考えることが大切です。

(提供:株式会社日本医療企画)
以上

図表 出典:厚生労働省HP「コンプライアンスを守らなかったことによって起きた事故」より一部抜粋
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000084105_3.pdf