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医療事務

病院経営の課題を解決する医療コンサルタントとは?利用のメリットを解説

公開日/2025.12.22 更新日/2025.12.22

現在病院は、赤字や人手不足など複合的な課題を抱えています。日々の医療業務と並行して、経営課題の解決に取り組むのは難しいもの。そこで検討したいのが「医療コンサルタント」です。今回は病院経営の課題を踏まえ、医療コンサルタントの役割や導入状況、活用のメリット・デメリットを解説します。

病院経営の課題

現在、病院の経営状況は赤字が増加傾向という厳しい局面を迎えています。

医療経済実態調査(※1、2)によると、一般病院の赤字は2億円以上にものぼります。また、厚生労働省の統計(※3)には、令和6年中の1日の平均外来患者数が前年に比べて1.7%低下し、病床稼働率も77%にとどまっているというデータがあり、経営状況の悪化が伺えます。

さらに、慢性的な人材不足やスタッフの離職率上昇も大きな課題の一つです。

こうした複合的な課題を解決し、地域医療を維持するには、院内の努力だけでは限界があります。まずは現状を正確に把握し、外部の医療コンサルタントなど専門家の力を借りる選択肢を検討することが、持続可能な経営への第一歩となるでしょう。

※1参考:e-Stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 病院(集計1) 」

※2参考:e-stat「医療経済実態調査(医療機関等調査) / 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査) / 報告 一般診療所(集計2) 」

※3厚生労働省「令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況 Ⅱ病院報告

医療コンサルタントとは?病院に関わる主な業務内容

医療コンサルタントとは、医療機関の経営課題を分析して解決策の提案・実行支援を行い、医療機関の成長をサポートする外部の専門家です。

複雑化する病院経営において、医療コンサルタントの役割は多岐にわたり、経営改善から人材面、施設管理まで幅広く支援します。ここでは、医療コンサルタントの主な業務内容を紹介します。

【医療コンサルタントの主な業務内容】

医療機関経営のサポート

医療コンサルタントのもっとも重要な役割の一つが、収益状況の改善です。現状の収支構造の分析やコストの見直し、診療報酬の算定漏れがないかなどの確認を行い、収益状況の改善を目指します。

具体的には、病床稼働率の低下や外来患者数の減少といった課題に対し、地域のニーズに合った診療科目の見直し、効率的な予約システムの導入、未収金対策の強化など、データに基づいた具体的なアクションプランを作成し、その実行までを支援します。

医療機関の持続可能な経営基盤の確立を目指すのが、医療コンサルタントの役割です。

建設や移転の支援・施設の維持管理

大規模な病院の建設や移転は、経営に直結する大きなプロジェクトです。

医療コンサルタントは、地域医療計画に基づいた移転先の選定や競合調査、建築業者や医療機器ベンダーの選定支援、資金調達計画の策定など、専門的な知見を活かして経営者をサポートします。

また、開院後の病院が適切かつ効率的に運営できるよう、設備維持管理やコスト削減につながるファシリティマネジメントに関する助言なども行います。

医療の質向上に向けた業務の改善

病院経営の改善は、単なる不要なコストの削減ではなく、提供する医療の質の向上と両立して初めて成功します。

医療コンサルタントは、医療現場における業務フローのボトルネックを特定し、DXの導入サポートや部署間の連携をスムーズにするマニュアル整備などを提案します。

職員の残業削減や負担軽減といった働き方改革を推進し、結果として患者さんへの医療サービスの質向上へとつなげるのも医療コンサルタントの役割です。

人材の育成・採用支援

質の高い医療を提供し続けるには、優秀な人材の確保と定着が不可欠です。

医療コンサルタントは、病院のビジョンに合致した医師、看護師、医療技術者の採用戦略を立案し、求人媒体の選定から面接プロセスの改善まで支援します。

また、入職後の職員に対しては、リーダーシップ研修や多職種連携を強化するチームビルディングなどの教育プログラムを提供し、組織全体の能力底上げと、高い職員定着率の実現をサポートします。

最新の医療情報の提供

医療を取り巻く環境は、診療報酬改定、医療法改正、感染症対策などにより常に変化しています。経営者がこれらの複雑な情報をタイムリーかつ正確に把握し、経営に反映させるのは容易ではありません。

医療コンサルタントは、これらの最新情報を収集・分析し、その医療機関への影響度を明確にしたうえで、具体的な戦略をわかりやすく提示します。

経営判断の遅れを防ぎ、常に時代に即した適切な経営を維持できるよう支援します。

病院経営における医療コンサルタントの現況

医療コンサルタントを活用し、経営改善に成功している医療機関もあります。ここでは、病院経営における医療コンサルタントの現況をみていきます。

医療コンサルタントを導入している医療機関の現状

総務省の資料(※)では、民間病院等が外部コンサルタントを活用し、経営改善に成功した事例が多いことが報告されています。この結果を踏まえ、国としても厳しい医療環境の中で経営を立て直すために、経営や診療報酬制度に精通した外部人材の積極的な活用を推奨しており、公的支援事業の利用も有効な手段としています。

なお、医療機関が外部から支援や指導を受けることは広義の「コンサルティング」に含まれるため、税務や法務の指導を含めれば、ほぼすべての医療機関が何らかの形で外部専門家のサービスを利用しているのが現状です。 こうした現状は、複雑化する経営環境において、外部の知見が不可欠であることを示しています。

※参考:総務省「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」

医療コンサルタントの活用による具体的な課題解決方法

医療コンサルタントは、まずその医療機関の経営・財務データを徹底的に分析し、現状の把握や赤字の原因となっている構造的なボトルネックを特定します。

そのうえで、診療報酬の算定漏れの改善や不要なコストの削減、人員配置の最適化など、その医療機関が取るべき具体的なアクションプランを提案します。提示したアクションプランに基づいて計画の実行から効果検証までを支援することで、課題解決に導きます。

医療コンサルタントを活用するメリット・デメリット

メリット デメリット
・外部の専門家のサポートを受けて経営状況を改善できる
・収益改善や業務効率化、採用強化など多角的なサポートを受けられる
・院内スタッフがコア業務に集中できる
・一定の費用がかかる
・現場との連携が必要
・自院の状況に適した医療コンサルタントの選定が不可欠

医療コンサルタントの活用は多くの成功事例を生む一方で、デメリットもあります。メリット・デメリットを理解したうえで、自院に合った判断を下すことが重要です。

ここでは、医療コンサルタントを活用するメリット・デメリットを解説します。

医療コンサルタントを活用するメリット

・外部の専門家のサポートを受けて経営状況を改善できる
・収益改善や業務効率化、採用強化など多角的なサポートを受けられる
・院内スタッフがコア業務に集中できる

医療コンサルタントを導入する最大のメリットは、外部の専門家による客観的な視点とノウハウを取り入れられる点です。収益改善や業務効率化、採用強化など専門家による多角的なサポートを一貫して受けられます。

また、院長や幹部職員は本来のコア業務である医療提供や経営の意思決定に集中できるようになり、限られたリソースをもっとも重要な部分に振り向けられます。

医療コンサルタントを活用するデメリット

・一定の費用がかかる
・現場との連携が必要
・自院の状況に適した医療コンサルタントの選定が不可欠

医療コンサルタントを導入する際のデメリットとして、コストの課題が挙げられます。一定期間にわたるコンサルティング費用が発生するため、費用対効果を慎重に見極める必要があるでしょう。

また、医療コンサルタントが提案する改善策を実行するには、医療現場の職員との密な連携や、新しい業務プロセスへの理解が不可欠です。

そのため、現場の負担が増えすぎないように配慮し、自院の文化や状況に適合したコンサルタントを慎重に選定しなければ、期待通りの成果を得られないリスクがあります。

ソラストの医療経営コンサルタントサービス

ここでは、ソラストが提供する医療経営コンサルタントサービスを紹介します。

伴走型収支改善支援

ソラストでは、医療機関の伴走者として収益改善をサポートする「伴走型収支改善支援」を提供しています。

医療機関経営支援に精通したアドバイザーが、現状の分析と課題の提案から、行うべき取り組みやその取り組み実施後の評価、さらなる改善支援まで、「PDCA」のサイクルで伴走してサポートを行います。

全国1,500以上の医療機関で業務サポートを行ってきた豊富な経験を活かし、多角的な視点から経営を支援いたします。

診療報酬適正化診断

ソラストの「診療報酬適正化診断」は、独自のノウハウを結集したチェックツールを活用し、算定の機会損失を洗い出し、経営改善策を見出すサービスです。

診断結果を踏まえた課題の抽出・明確化を行い、ソラストならではの豊富な情報網や経験を活かして運用改善策を提案します。実際に診断を行ったお客さまからは、「これから取り組むべき課題が見つかった」「関係部署とのコミュニケーション強化による改善が見られた」などの声をいただいています。

診療報酬請求精度調査

ソラストの「診療報酬請求精度調査」は、現在の診療報酬請求の実態を把握し、算定の機会損失と算定漏れ・誤りの両軸から調査・分析して、課題や問題点を洗い出すサービスです。

調査が難しい潜在的算定項目やレセプトチェック・カルテ突合調査も、長年のノウハウを集約したチェックツールを活用し、診療報酬に精通したプロが調査・分析を実施します。診断結果は、全体の件数や影響金額の集計、診療報酬項目ごとの結果詳細に分

けて、わかりやすく報告します。

病院経営におけるコスト削減

サービス名 特徴
医事関連受託サービス 医事業務を外部委託することで、コスト削減と業務品質の安定化を目指せる
医事関連 人材派遣・紹介サービス 専門性の高い人材を確保し、一時的な欠員や業務量増加に対応できる

上記サービスでは、医療スタッフの採用や教育、労務管理など、雇用にかかるコストを抑えることが可能です。

「医事関連受託サービス」では、医療事務のプロであるソラストのナレッジとノウハウをフル活用できるため、診療報酬請求精度の向上や事務作業の負担軽減が期待できます。

「医事関連 人材派遣・紹介サービス」では、専門性の高い人材を必要なときに必要な分だけ確保できるため、コストを最適化しつつ、業務効率化も目指せます。

【クリニック向け】リモート医事サービスiisy

ソラストの「iisy」は、クリニック向けに開発されたリモート型医事サービスです。レセプト点検やオンライン請求業務といった煩雑な医事業務を、リモートで専門スタッフが代行します。

クリニックの職員は、コア業務である患者さん対応に集中できるようになります。医療事務の採用難や人件費高騰の課題を解決しながら、医事会計の精度向上と安定経営を目指せるでしょう。

医療コンサルタントに関するQ&A

ここでは、医療コンサルタントに関するよくある質問に回答しています。

Q.医療コンサルタントの導入を検討するべき判断基準は?

A. 院内のリソースだけでは解決できない構造的な経営課題がある場合に、導入の検討がおすすめです。

収益悪化が続いている、特定の部門の病床稼働率が長期間低いまま、スタッフの離職率が改善しないなど、院内の努力だけでは解決の糸口が見えない状況にある場合は、外部の専門家である医療コンサルタントの客観的な診断とノウハウが不可欠です。課題の深刻化を防ぐため、早めの導入を検討しましょう。

Q.医療コンサルタントの選び方は?

A. 自院が抱える課題領域に特化した専門性があるか、実績が十分であるか、などを基準に選びましょう。

第一に、自院が解決したい最優先課題に対する豊富な実績や成功事例があるかを確認しましょう。また、提案内容が自院の規模や地域特性に合っているか、そして現場職員とのコミュニケーションが円滑に取れるかどうか、なども選定の重要なポイントです。

外部の専門家の力を借りて、医療機関の質を上げませんか

現在、病院は赤字増加・患者数減少・離職率上昇など複合的な課題に直面しています。構造的な課題を院内だけで解決するのに限界がある場合は、医療コンサルタントの客観的な知見と多角的な支援が有効的です。

医療コンサルタントは、収益改善から業務効率化、人材確保まで、経営の持続性を高めるための具体的な行動計画を作成・実行支援し、医療機関の課題解決に貢献します。

ソラストは、医療機関の経営状況を正確に分析し、適切な解決策をご提案します。具体的なサービス内容や導入事例について、ぜひ一度お問い合わせください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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