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2026年診療報酬改定で何が変わる?基本方針や医療機関経営者がやるべきことを解説

公開日/2025.12.18 更新日/2026.05.21

医療機関経営者は、2026年度の診療報酬改定に関する最新情報や必要な対応の把握が重要です。この記事では、診療報酬改定の基本方針とそれに伴う変更ポイントの予想を解説します。医療機関経営者が今からやるべき3つの対策も紹介するので、今後の安定経営に向けた準備を進めましょう。

【最新】2026年度診療報酬改定の改定率

本体改定率 +3.09%
内訳
賃上げ分 2年度平均 +1.70%
(2026年度 +1.23%、2027年度 +2.18%)
物価対応分 2年度平均 +0.76%
(2026年度 +0.55%、2027年度 +0.97%)
【施設類型ごとの配分】
・病院 +0.49%
・医科診療所 +0.10%
・歯科診療所 +0.02%
・保険薬局 +0.01%
食費・光熱水費分 +0.09%
2024年度診療報酬改定以降の経営環境悪化を踏まえた緊急対応分 +0.44%
【施設類型ごとの配分】
・病院 +0.40%
・医科診療所 +0.02%
・歯科診療所 +0.01%
・保険薬局 +0.01%
上記以外のもの 医科 +0.28%
歯科 +0.31%
調剤 +0.08%
処方や調剤、長期処方
リフィル処方等にかかるもの
−0.15%

参考:厚生労働省「総-1令和8年度診療報酬改定の改定率等について」

2026年度診療報酬改定の診療報酬本体改定率はプラス3.09%、薬価等の引き下げ分(マイナス0.87%)を含めた全体改定率はプラス0.22%と、12年ぶりの大幅なプラス改定となりました。実際の施行時期は、医療機関等の事務負担軽減に配慮して前回改定のスケジュールを踏襲し、2026年6月1日から適用されます。

この大幅な引き上げの背景には、物価高騰への対応や医療従事者の賃上げに関する議論があったことが挙げられます。改定率の内訳は上記の表の通りで、薬価の引き下げ分の充当や医療DXの推進、安定的な医療提供体制の維持を目指す内容となっています。

2026年度診療報酬改定の4つの柱

今回の改定では、物価高騰への対応や医療の持続可能性を確保するための方針がどのように示されたのでしょうか。ここでは、人材確保や機能分化、医療の効率化などを軸とした「4つの柱」を紹介します。

物価高騰を踏まえた人材確保・働き方改革などの推進

2026年度改定の重要な論点の一つは、物価高騰と深刻な人手不足への対応です。他産業に劣らない賃上げの実現に向け、診療報酬(本体)改定率の内訳として「賃上げ対応分」が示されています。

具体的には「ベースアップ評価料」を大幅に引き上げ、対象を事務職員まで拡大しています。さらに、物件費の高騰への対応として「物価対応料」を新設し、経営基盤を支えます。これらを通じて、現場の処遇改善を進める方向性が示され、持続可能な医療体制の維持と人材確保を目指す方向性が示されています。

医療機関の機能分化・連携、地域包括ケアシステムの推進

2040年に向けた生産年齢人口の急減と、医療・介護ニーズが複雑な85歳以上の増加を見据え、効率的な医療提供体制の構築を推進する方針が示されました。

特に「治し、支える医療」の実現に向け、医療機関の役割分担と連携を強化する方向性が示されています。かかりつけ医と専門病院の外来機能分化を明確にし、地域包括ケアシステムを深化させています。また、医療資源が少ない地域への支援や、多職種でのタスク・シフト/シェアの推進などが示されています。

安心・安全かつ質の高い医療の実現

医療DXやICT連携を活用し、安心・安全で質の高い医療を推進する方針が示されています。医療DXに係る評価を改組し、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設され、サイバーセキュリティ対策も強化されます。救急や周産期医療など重点分野の評価を充実させ、アウトカムに着目した評価も推進されています。

また、歯科のデジタル化推進や、薬局の対人業務・医薬品の安定供給確保についても重視する方向性が示されています。イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等を図る方向性を推し進める内容です。

効率化・適正化による医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

制度の持続性を高めるため、効率化と適正化を徹底する方針が示されています。DXによる業務効率化に加え、リフィル処方箋や長期処方の活用を周知し、OTC類似薬等の在り方の検討や市場実勢価格を反映した薬価の適正化を行う方向性となりました。

また、費用対効果評価制度を活用するとともに、ポリファーマシー対策などの薬剤適正使用を推進しています。生活習慣病管理料の署名廃止などの事務負担軽減も図り、限られた財源を有効活用する仕組みが確立されます。

参考:厚生労働省「総-1個別改定項目について」

参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の基本方針について(基本認識、基本的視点、具体的方向性①)」

2026年度診療報酬改定で新設・拡充される主な内容

【病院】急性期総合体制加算の新設

現行の制度・点数 改定後の制度・点数
総合入院体制加算1 260点 急性期総合体制加算1 210~530点
総合入院体制加算2 200点 急性期総合体制加算2 150~470点
総合入院体制加算3 120点 急性期総合体制加算3 120~440点
※代表的なものをピックアップして記載

2026年度改定では、地域の拠点病院を評価するため「急性期総合体制加算」が新設されました。総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合し、多様な診療科を持つ「総合性」と手術実績等の「集積性」をあわせ持つ体制が評価されます。

背景には、人口の少ない地域の救急体制維持や、従事者の処遇改善を強力に支える狙いがあります。高い看護必要度や医療提供機能に係る体制も要件化され、地域における高度な急性期医療の安定提供を目指しています。

【病院・クリニック】物価対応料の新設

代表的な項目 点数(1日につき)
病院・クリニック向け
外来・在宅物価対応料
初診時 2点(2027年度:4点)
再診時 2点(2027年度:4点)
訪問診療時 3点(2027年度:6点)
主に病院向け
入院物価対応料
急性期病院A一般入院料を算定する場合 66点(2027年度:132点)
急性期一般入院料1を算定する場合 58点(2027年度:116点)
地域一般入院料1を算定する場合 32点(2027年度:64点)
※代表的なものをピックアップして記載

2026年度改定では、歴史的な物価高騰による医療機関の経営負担を軽減するため「物価対応料」が新設されました。初診料や再診料、入院料等に上乗せして算定できるもので、急騰する光熱水費や食材料費への対応が目的です。

外来・在宅と入院の区分で点数が設定され、2027年度には点数を倍増させる段階的な引き上げも予定されています。物価変動による経営悪化を防ぎ、地域の医療基盤を持続させるための重要な評価です。

【病院・クリニック】電子的診療情報連携体制整備加算の新設

2026年度改定では、医療DXを推進するため「医療情報取得加算」と「医療DX推進体制整備加算」を統合し、新たに「電子的診療情報連携体制整備加算」を設置しました。

マイナ保険証や電子処方箋を活用し、質の高い医療を提供する体制を評価するものです。背景には電子データ共有の促進があり、サイバーセキュリティ対策の徹底も要件化されました。医療情報取得加算と比較して点数が引き上げられ、安全で効率的な医療の実現を強力に後押しします。

【病院・クリニック】基本診療料の引き上げ

主な項目 現行の点数 改定後の点数
病院・クリニック向け
初診料 291点 291点
再診料 75点 76点
外来診療料 76点 77点
主に病院向け
急性期一般病院基本料 急性期病院A:1930点
急性期病院B:1643点
急性期一般入院基本料 急性期一般1: 1688点 急性期一般1: 1874点
地域包括ケア病棟入院料1 40日以内:2838点
41日以上: 2690点
40日以内:2955点
41日以上: 2807点
回復期リハビリ病棟入院料 入院料1: 2229点 入院料1: 2346点
※代表的なものをピックアップして記載

物価高騰への対応と処遇改善を目的として、再診料や入院基本料が引き上げられました。一方で、初診料については据え置きとなっています。

この背景には、急騰する光熱水費への対策や、他産業に劣らない賃上げを実現するための原資確保があり、医療機関の安定経営を支える狙いがあります。現場の実態に即して入院基本料等の評価が底上げされ、地域医療の維持に向けた手厚い配分となりました。

2026年度診療報酬改定によって主に変わること

2026年度の診療報酬改定により、医療機関の体制は具体的にどのように変わるのでしょうか。では、患者さんの負担増や医療機関の役割分担、BCP策定の義務化といった「主な変更点」を紹介します。

患者さんの自己負担増加

2026年度改定では、制度を維持するため患者さんの自己負担が増加します。市販薬に近い「OTC類似薬」の給付見直しや入院時の食事代引き上げにより、受診時や入院時の支払いが高くなります。医療機関は窓口での丁寧な説明が求められ、患者さんの納得感を得る対応が重要です。

背景には限られた財源の有効活用があり、セルフメディケーションの推進や医療資源の適正な活用を促す仕組みが強化されています。

機能・役割の明確化

医療機関の役割分担を明確にし、病院とクリニック間の紹介・逆紹介を円滑にするための見直しが行われました。機能強化加算の厳格化や、生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料の内容整理が柱です。

生活習慣病管理料では療養計画書の患者署名の廃止など事務負担を軽減する一方、長期処方の周知などが要件化されました。医療機関は自院の機能を再定義し、地域連携を強化して効率的な医療を提供することがこれまで以上に求められます。

BCP(業務継続計画)の策定義務化

大災害時でも在宅患者への診療を継続できるよう、在宅療養支援診療所や病院等に対し、BCP(業務継続計画)の策定が義務化されました。計画の策定に加え、定期的な見直しと訓練の実施が算定の要件となります。

機能強化加算などの施設基準にも盛り込まれ、より厳格な対応が求められます。未策定の場合は点数算定に直結するため、早期の体制整備が不可欠です。地域全体の災害対応力を高める重要な見直しといえます。

参考:厚生労働省「総-1個別改定項目について」

2026年度診療報酬改定に向けてやるべきこと

2026年度の大幅な改定をスムーズに迎えるために、医療機関は今からどのような準備を整えるべきか気になるでしょう。ここでは、確実な賃上げやBCPの策定、医療DXの推進、患者さんへの周知といった、優先的に取り組むべき対策を紹介します。

確実な賃上げの実施に向けた準備を行う

2026年度改定では「ベースアップ評価料」が大幅に拡充されました。まずは賃上げ対象となる全職員を整理し、加算の取得分で賃上げ原資を賄えるか詳細な試算を行いましょう。

算定の届出準備に加え、実績報告を適切に行うための資料作成や規定整備も重要です。2027年度の段階的な増点も見据え、早期にシミュレーションを行い、確実な処遇改善と人材確保につなげるための準備を整える必要があります。

参考:厚生労働省・令和8年度診療報酬改定に関する賃上げ対応について

BCP(業務継続計画)の策定を行う

在宅療養支援診療所や病院に対しBCP(業務継続計画)の策定が義務化されました。災害時も診療を継続できるよう、計画の策定だけでなく定期的な見直しや訓練の実施が求められます。

機能強化加算などの施設基準にも関わるため、未策定の医療機関は早期の準備が不可欠です。厚労省のひな形等を活用し、自院の体制に即した実効性のある計画を整え、有事のリスク管理を徹底しましょう。

医療DXの推進と利活用に向けた体制整備を行う

新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」を取得するには、マイナ保険証の利用率向上や電子処方箋の活用といった実績が求められます。単に機器を導入するだけでなく、現場で積極的に利活用している実態が上位区分の算定を左右します。

また、サイバーセキュリティ対策の徹底も必須条件となるため、システムの安全な運用体制を早期に確立し、データを活用した質の高い医療を提供できる体制を整えることが重要です。

患者さんへの周知や案内の方法を見直す

2026年度改定では、OTC類似薬の給付見直しや入院時の食事代増額など、患者さんの自己負担が増える項目があります。窓口でのトラブルを防ぐため、院内掲示による周知を徹底しましょう。

また、スタッフが改定内容を正しく理解し、適切に説明できる教育・研修体制を整えることも不可欠です。丁寧な案内で患者さんの納得感を得られるよう、説明用マニュアルの作成など、現場の対応力を高める準備を早期に進めましょう。

2026年度診療報酬改定に関するQ&A

2026年度の診療報酬改定はプラス改定となるのか、施行時期や賃上げへの影響など、気になる点も多いのではないでしょうか。では、改定率の内訳や実施スケジュール、給与アップの見通しについて、Q&A形式で紹介します。

Q. 2026年度診療報酬改定はプラス改定になる?

A. はい、全体でプラス2.22%という12年ぶりの大幅なプラス改定という結果でした。

今回の改定は、物価高騰への対応と医療従事者の「賃上げ」の実現が最大の焦点です。薬価などの引き下げ分を充当しつつ、本体部分に手厚い配分を行うことで、深刻な人手不足の解消や処遇改善、さらには安定的な医療提供体制の維持を目的としています。医療機関の経営を強力に支援する前向きな内容となっています。

Q. 2026年度診療報酬改定はいつから施行される?

A. 診療報酬本体は2026年6月1日より施行されます。ただし、薬価(材料費を除く)については4月1日に施行されます。

現場の事務負担を軽減するため、前回同様に「6月施行」のスケジュールが維持されました。ただし、薬価改定(材料価格を除く)のみ4月1日に先行して実施される点に注意が必要です。

この施行時期の差は、システム改修の負担分散や職員の習熟期間を確保するための配慮であり、医療機関には計画的な準備が求められます。

Q. 2026年度診療報酬改定で医療従事者の給料は上がる?

A. はい、賃上げ分として改定率の内訳にプラス1.70%(2年度平均)が確保されています。

今回の改定では、他産業に劣らない賃金アップを実現するため「ベースアップ評価料」などが大幅に引き上げられ、ベースアップ評価料賃上げの目標は令和8年度に3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)、令和9年度にさらに3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)となりました。これにより、医療従事者の処遇改善が強力に推進されます。

各医療機関には、これらの加算を適切に活用し、職員の給与へ確実に反映させることが、人材確保の観点からも強く求められています。

2026年の診療報酬改定を正しく理解して、経営に活かしましょう

2026年度改定は12年ぶりの大幅プラスとなり、賃上げや物価高対応、医療DXの推進が主軸です。新設される加算等の診療報酬をを適切に活用し、人材確保と経営の安定化を図ることが不可欠です。BCP策定や患者周知など、早期の準備が今後の経営を左右します。最新情報を踏まえ、計画的な対策を進めていきましょう。

ソラストでは医療機関経営支援サービスを中心に、経営者の皆様を支える多様なサービスを展開しています。医療機関の経営者の方の状況に合わせ、専門的な知見から最適な支援をご提供します。2026年度診療報酬改定への迅速な対応や経営課題の解決は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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