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2026年診療報酬改定で何が変わる?基本方針や医療機関経営者がやるべきことを解説

公開日/2025.12.18 更新日/2026.08.24

「改定内容が多く対応が追いつかない」「ベースアップ評価料の届出要否が判断できない」と悩む医療機関の院長・事務長・医療事務担当者は少なくありません。

2026年度の診療報酬改定は近年では稀に見る大幅プラスである一方で、新設加算の届出対応や施設基準の見直し、減算規定への対応といった判断を迫られる改定です。

対応の遅れが収益機会の損失や減算リスクに直結するため、改定内容を正確に把握したうえで、早期の対応が求められます。

本記事では、2026年度診療報酬改定の仕組みや改定率、4つの基本方針、主な変更点と優先的に取り組むべき対策を経営・運営視点で解説します。

2026年度診療報酬改定とは

まずは、2026年度診療報酬改定の概要を確認しましょう。

診療報酬改定の基本的な仕組みと目的

診療報酬改定とは、医療機関がおこなう診察や処置、検査、投薬などに対して国が定める報酬点数を見直す制度で、原則2年ごとに実施されます。

診療報酬は1点10円で計算され、点数や算定要件の見直しを通じて、国は在宅医療や医療DXなど重点分野への対応を促しています。

改定内容は、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会(中医協)へ諮問し、点数や算定要件などの審議を経て、答申・告示・通知の流れで決定される仕組みです。

医療機関は告示・通知・疑義解釈資料まで確認し、院内運用を更新しなければなりません。

参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」

2026年度診療報酬改定のスケジュール

2026年度診療報酬改定は、2025年12月に社会保障審議会医療部会で基本方針が取りまとめられ、年末の予算編成で改定率が決定されました。

その後、2026年2月13日に中医協で答申がおこなわれ、3月に告示・関連通知が発表、薬価改定は4月1日、診療報酬改定は6月1日に施行されています。

施行後も疑義解釈資料が順次公表されているため、実務では告示や通知だけでなく、最新の疑義解釈まで確認しておきましょう。

また、一部の加算や施設基準には経過措置が設けられており、一定期間は旧基準で算定できる項目もあります。

しかし、経過措置の終了後は新基準へ対応できなければ算定不可や減算となる可能性があるため、自院が届け出ている加算や施設基準の期限を早めに確認しておく必要があります。

改定率と全体動向

2026年度診療報酬改定では、本体改定率が2026・2027年度の2年間平均でプラス3.09%となり、近年では大幅な引き上げとなりました。

背景には、医療従事者の賃上げや物価高騰への対応、医療提供体制の維持などがあります。

ただし、今回の改定率はあくまで全体平均であり、実際の影響は、算定している加算や施設基準の充足状況によって医療機関ごとに異なります。

今回の改定では、ベースアップ評価料の届出を前提とした処遇改善が強く推進され、賃上げを実施していない医療機関には入院基本料などが減算される仕組みも導入されました。

また、改定全体を俯瞰すると、下記の3点が政策の方向性として読み取れます。

1.賃上げ・処遇改善を実質的に義務化し医療機関の経営改善を促す
2.漫然とした頻回受診や不要な検査・投薬を抑制して医療費を適正化する
3.医療DXを「導入」から「実際のデータ連携・活用」へ進め、全国の医療データを標準化・集約する

政策の流れも踏まえた新設加算の活用や、運営体制の見直しが安定経営につながります。

2026年度診療報酬改定の4つの基本方針

ここでは各基本方針の内容と医療機関経営への影響を解説します。

基本方針①物価・賃金上昇への対応

2026年度診療報酬改定で特に重要なテーマのひとつとして、物価や賃金の上昇に対応した医療従事者の処遇改善が挙げられます。

特にベースアップ評価料が大幅に見直され、医療機関には加算を活用した賃金への適切な反映が求められるようになりました。

また、物価高騰への対応として入院料の見直しや、入院時食事療養費・光熱水費に関する評価も引き上げられています。

これらの点数は2027年度に向けて段階的に拡充される予定であり、単年度ではなく中長期的な対応が必要です。

一方で、ベースアップ評価料の届出をおこなわない医療機関には減算規定も設けられているため、届出を見送っている医療機関は早急な対応を検討する必要があります。

基本方針②医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

医療保険制度を持続可能なものとするため、今回の改定でも医療提供の効率化や適正化を進める方向性が打ち出されています。

その一環として、生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲が見直され、併算定できる医学管理料が拡大されるなど、診療内容に応じた柔軟な算定が可能になりました。

一方、生活習慣病管理料(Ⅰ)では、少なくとも6か月に1回以上の血液検査実施が要件化されるなど、算定要件が厳格化された項目もあります。

これらを十分に理解しないまま運用すると、査定や返戻のリスクが高まります。

また、薬価改定は毎年実施される流れが継続しており、薬剤費の変動が病院経営へ与える影響も無視できません。

今後も医療費適正化の流れは続くと考えられるため、既存の算定を適正化すると同時に、新たな加算取得にも積極的に取り組む姿勢が求められます。

基本方針③医療DXの推進

2026年度改定では、医療DXの重点がシステム導入からデータ連携・活用へ移り、医療情報を活用できる体制整備が求められます。

医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は「電子的診療情報連携体制整備加算」として再編され、オンライン資格確認や電子カルテの活用がより重視されています

また、オンライン診療に関する評価の見直しや、医療安全・感染対策・BCP(事業継続計画)への対応など、院内体制の整備も求められるようになりました。

さらに、生活習慣病管理料では療養計画書への患者署名が不要となるなど、患者・医療機関双方の負担軽減につながる変更もおこなわれています。

今後は、質の高い医療提供だけでなく、データ連携や記録管理を適切に実施できる医療機関がより高く評価される方向へ進むと考えられます。

医療DX推進に向けた取り組みについては、下記コラムも参考にしてください。

基本方針④その他重点課題

今回の改定では、2040年頃を見据えた医療提供体制の再構築も重要なテーマのひとつです。

病院・診療所・介護施設などがそれぞれの役割を担い、地域全体で患者を支える体制への転換が進められています。

具体的には、紹介患者を受け入れる医療機関への評価や診療情報提供料の見直しにより、大病院への患者集中を緩和し、かかりつけ医機能を強化する方向性が示されました。

また、高齢者救急への対応として地域包括医療病棟の施設基準や加算も見直され、地域包括医療病棟の普及を後押しする制度設計となっています。

さらに、救急・小児・周産期・精神医療など地域医療を支える分野への重点的な支援も盛り込まれました。

医療機関は、自院の役割を整理し、改定によって拡大する収益機会と影響を受ける分野を分析したうえで、中長期的な経営戦略へ反映させる意識が求められます。

2026年度診療報酬改定の主な変更点

2026年度改定では賃上げ・物価高対応・医療DX・生活習慣病管理料・入院料という幅広い領域にわたって変更がおこなわれています。

ここでは医療機関経営に特に影響の大きい主な変更点を解説します。

入院料の見直し

2026年度診療報酬改定では、物価高騰や人件費の上昇を踏まえ、入院料に関する評価が大きく見直されました。

入院時食事療養費や光熱水費に対する評価が引き上げられ、有床診療所や病院では増加する運営コストの一部を診療報酬で補える仕組みです。

さらに、地域包括医療病棟の入院料再編など評価体系も変更されたため、施設基準や届出内容を定期的に点検し、算定漏れや返還リスクを防ぎましょう。

生活習慣病管理料の改定

2024年度改定で特定疾患療養管理料から再編された生活習慣病管理料は、2026年度改定でも算定要件や包括範囲を中心に見直しがおこなわれました。

生活習慣病管理料(Ⅱ)では包括対象外として併算定できる医学管理料が拡大され、従来より算定できるケースが増える可能性があります。

一方、生活習慣病管理料(Ⅰ)では血液検査を少なくとも6か月に1回以上実施する必要があり、検査記録の管理体制もより重要になりました。

また、眼科・歯科医療機関連携強化加算が新設され、新たな算定機会も生まれています。

さらに、療養計画書への患者署名が不要となり事務業務は効率化されたものの、計画書の作成・管理は継続して必要です。

地域包括医療病棟の新設・見直し

地域包括医療病棟では、2026年度改定により入院料や施設基準が見直され、病棟機能に応じた評価へ移行しました。

入院料は急性期病棟の併設状況や緊急入院・手術の有無によって区分され、より実態に即した評価体系になっています。

また、高齢者救急の受け皿として地域包括ケアシステムを支える役割が重視され、施設基準や関連加算も再編されました。

算定には新たな施設基準を満たしたうえで届出をおこなう必要があるため、自院が対象となるかを早期に確認し、必要な体制整備を進める必要があります。

継続届出中の医療機関も、基準変更で要件を満たさなくなる可能性があるため、届出内容や運用状況を定期的に見直し、返還リスクを防ぎましょう。

医療機関経営者が今からやるべき対策

新設加算や施設基準、減算規定への対応が遅れると収益機会の損失や減算につながるため、早めの対応が重要です。

ここでは、医療機関経営者が優先的に取り組むべき3つの対策を解説します。

改定内容を正確に把握して算定体制を見直す

まず優先したいのは、自院に関係する改定内容を整理し、算定体制を見直す取り組みです。

2026年度改定では、新設・廃止・点数変更となった項目が複数あるため、診療科や算定項目への影響を把握し、電子カルテやレセコンの設定を速やかに更新しましょう。

特にベースアップ評価料は届出の有無によって収益に大きな差が生じるため、最優先で確認すべき項目です。

また、生活習慣病管理料など影響の大きい項目についても、算定要件や包括範囲の変更を踏まえて運用フローを見直しましょう。

告示や通知だけでなく、施行後に公表される疑義解釈資料も継続的に確認し、院内で情報共有できる仕組みを整えておくと、算定漏れ防止につながります。

施設基準の充足状況を点検する

新設加算や各種入院料を算定するためには、施設基準の充足が前提です。

そのため、新たな施設基準だけでなく、継続して届出をおこなっている基準についても改定内容を踏まえて再確認しましょう。

BCP(事業継続計画)の整備や患者への周知など、文書管理や院内体制に関する要件も増えているため、適時調査を見据えた準備も欠かせません。

また、施設基準の管理を担当者任せにすると、異動や退職のたびに管理精度が低下するおそれがあります。

管理台帳の整備や定期点検を仕組み化し、継続的に確認できる体制を構築しましょう。自院だけで判断が難しい場合は、専門家による第三者点検の活用も有効です。

施設基準の充足状況を第三者の視点で点検したい場合は、下記もご活用ください。

また、運用管理状況が適切かどうかを点検したい場合については、施設基準運用遵守支援のご利用を検討してみてください。

スタッフへの周知と院内体制を整備する

診療報酬改定へ適切に対応するには、医師・看護師・医療事務など院内全体での改定内容の共有が重要です。

職種ごとに影響する項目を整理した研修や資料配布をおこなうと、現場での対応漏れを防ぎやすくなります。

また、電子カルテやレセコンの設定変更が必要な項目は、更新担当者や確認方法をあらかじめ決めておけば、設定ミスを防止できます。

患者負担額や同意書など患者対応が変わる項目についても、院内掲示や窓口対応を早めに整備しておきましょう。

さらに、診療報酬改定への対応は施行後も疑義解釈資料などにより継続的な見直しが必要です。

算定ルールの確認に不安がある場合は、ソラストの診療報酬算定ナレッジアプリ「solabell」を活用し、専門スタッフへ相談できる体制を整えてください。

よくある質問

ここでは2026年度診療報酬改定に関して医療機関の担当者が疑問に感じやすい3つの質問に答えます。

2026年度診療報酬改定はいつから適用されますか?

2026年度診療報酬改定は、薬価改定が2026年4月1日、診療報酬本体が2026年6月1日に施行されました。

そのため、医療機関では4月と6月の2段階で制度変更へ対応する必要がありました。

診療報酬については、2026年6月1日以降に実施した診療行為から改定後の点数や算定要件が適用されています。

また、施行後も疑義解釈資料や追加通知が順次公表されるため、最新情報を継続的に確認し、院内ルールを随時更新していきましょう。

さらに、施設基準の届出が必要な加算は地方厚生(支)局への期限内の届出が求められるため、届出時期を見落とさないよう管理しておきましょう。

次回改定は2028年度が予定されており、今回の対応状況を踏まえた中長期的な準備も重要になります。

改定率はどのくらいですか?

2026年度診療報酬改定の本体改定率は2026・2027年度平均でプラス3.09%となり、医療従事者の賃上げや物価高騰、医療提供体制の維持を目的とした大幅なプラス改定です。

ただし実際の影響は、医療機関ごとの届出状況や算定している加算、施設基準の充足状況によって大きく異なります。

特にベースアップ評価料を届け出ていない場合は減算規定が適用されるため、プラス改定であっても実質的な減収となる可能性があります。

また、薬価改定は引き続き毎年実施される方向性であるため、診療報酬だけでなく薬剤費の変動も含めて収支への影響を継続的に確認しておきましょう。

医療機関が特に注意すべきポイントはどこですか?

今回の改定では、ベースアップ評価料の届出状況が特に重要で、未届出の場合は減算が適用されるため早急な対応が必要です。

また、生活習慣病管理料では、血液検査の実施要件や患者署名不要化、眼科・歯科医療機関連携強化加算など実務に直結する変更点の把握が重要です。

さらに、医療DX関連加算の再編では、電子カルテやレセコンの設定漏れが算定へ影響する可能性もあるため、ベンダーと連携した点検が重要です。

加えて、施設基準の変更や届出期限も見落とさないよう管理し、自院に関係する改定項目から優先順位をつけて対応を進めると、効率的かつ確実な改定対応につながります。

自院だけでは把握しにくい算定漏れや収益改善の余地を客観的に確認したい場合は、ソラストの「診療報酬適正化診断」をご活用ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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