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診療報酬の算定漏れを防ぐ対策7選!原因とミスを減らすコツを解説

公開日/2025.10.31 更新日/2025.10.31

医療機関の収益減少や経営状況の悪化にも影響を与える、診療報酬の「算定漏れ」。本記事では、なぜ算定漏れが起こるのか、主な原因とミスを防ぐための7つの具体的な対策を詳しく解説します。業務フローの見直しからツール活用まで、ミスを減らし、安定した医療経営を実現するためのヒントをぜひチェックしてください。

診療報酬の算定漏れが医療機関にもたらすリスク

・本来得られるはずの報酬が確保できなくなる
・経営状況の悪化につながる可能性がある
・レセプト再請求の手間が発生し、業務効率が低下する
・医療の質や信頼性の低下につながるおそれがある

診療報酬の算定漏れは、医療機関に多大なリスクをもたらします。本来得られるはずの診療報酬を確保できなくなるため、収益が減り、経営を悪化させる可能性があります。経営資金の不足は、設備投資や人材育成に支障をきたすことにつながり、医療の質を低下させかねません。

また、診療報酬の算定漏れが続けば、医療機関の信頼性が低下し、患者さんや取引先からの信頼を失うリスクも増大します。算定漏れが発覚した場合には、ミスを直してレセプト再請求を行う手間も発生するため、業務効率も著しく低下するでしょう。

収益や業務効率の低下といったさまざまなリスクを回避し、安定した医療経営を確立するためにも、診療報酬の算定漏れ対策が不可欠です。

診療報酬の算定漏れの主な原因

診療報酬の算定漏れは、医療機関の経営に大きな影響を与えます。では、なぜ算定漏れが発生してしまうのでしょうか。5つの主な原因をご紹介します。

カルテへの記載漏れ

【具体的なミスの例】
・医師による診療内容のカルテへの記載漏れ
・医師事務作業補助者によるカルテへの記載漏れ
・看護師による実際に行った医療行為の記載忘れ など

カルテへの記載漏れは、算定漏れの主要因です。医師や医師事務作業補助者がカルテ入力の際に診療内容を記載し忘れてしまう、看護師自身が行った医療行為について記載漏れがある、などが具体的なミスの例として挙げられます。

多忙な医療現場では、細かな記載が疎かになりがちです。「後で詳しく記載しよう」として、結果的に一部の診療内容の記載を忘れてしまうケースもあるでしょう。

記載漏れによって診療内容や処置の詳細が曖昧になってしまうと、適切な診療報酬の算定を妨げ、最終的に医療機関の収入に悪影響を及ぼします。また、レセプト作成をするスタッフから再度医師などへカルテ内容の確認をする必要も発生し、業務効率が低下するでしょう。

レセプト(医事会計システム)への入力漏れ

【具体的なミスの例】
・カルテ記載内容のレセプトシステムへの転記漏れ
・検査や処置の入力漏れ
・薬剤の処方量や回数の入力間違い など

カルテに記載があっても、レセプト(医事会計システム)への入力時に見落としや入力漏れが発生するケースは少なくありません。

とくに多忙な医療現場の業務の中では、ヒューマンエラーが生じやすいです。レセプト(医事会計システム)に正確な情報が入力されていないと、適切な算定が行われず、診療報酬の算定漏れにつながってしまいます。

入力後のレセプトチェック不足

【具体的なミスの例】
・同じ傷病名の二重記載
・コメントが必要な診療行為のコメント不記載
・入力担当者以外の複数人での確認不足 など

レセプト(医事会計システム)の入力後にチェックが不十分であると、算定漏れが発生するリスクが高まります。入力作業が完了した後に、内容を確認するプロセスが欠けている場合、誤りや入力漏れに気づけず、そのまま請求されてしまいます。

時間的制約や人員不足からチェック体制が甘くなることが原因で、最終的に医療機関の収益減少を招く可能性があります。

制度変更や改定への理解不足

【具体的なミスの例】
・新設された加算項目を見落としている
・廃止された点数を誤って算定している
・算定要件が変更された項目を旧基準で請求している など

診療報酬の制度変更や改定に対する理解不足も、算定漏れの大きな原因です。診療報酬改定は2年に1度あり、関連する法令やルールの改定も比較的多くあります。常に最新の情報を把握していなければ、誤った基準で算定を行うリスクが高まるでしょう。

情報収集の怠りや、変更点のスタッフへの周知不足が原因で、本来得られるはずの報酬を取りこぼすことになります。定期的な情報収集と研修が不可欠です。

スタッフの知識・教育不足

【具体的なミスの例】
・新しい加算点数の存在を知らず、請求し忘れる
・特定の検査や処置の算定条件を誤って理解しており、不適切な請求をしてしまう
・カルテ記載の重要性の認識不足で、請求できない項目が発生する など

新人や経験の浅いスタッフが多い医療機関では、個人の知識・スキル不足が診療報酬算定漏れの原因になる場合もあります。診療報酬請求は専門的な業務であるため、制度や算定手続きに関する理解が不十分だと、誤った入力や不適切な記録が行われるリスクが高まるでしょう。

十分な教育・研修を実施できていないと、スタッフ個々に正確な知識が身につかず、結果として医療機関の収益を損ねてしまいます。

診療報酬の算定漏れを防ぐ対策7選

診療報酬の算定漏れは、医療機関にとって避けたい問題です。適切な対策を講じることでリスクを大幅に軽減できます。ここでは、算定漏れを防ぐための具体的な7つの対策を紹介します。

業務フローを見直す

カルテ入力、レセプト(医事会計システム)入力、レセプトチェックなど、現在の業務プロセスを詳細に分析し、どの段階でミスが発生しやすいかを特定しましょう。そのうえで、各プロセスにおける役割分担を明確化し、業務の流れを見直します。

もし、工数を割いているステップがあれば、カットすることで無駄を削減できます。業務フローを見直す際は、現場のスタッフの声や悩みも積極的に取り入れることで、現場の実情に即した実効性のある改善が期待できるでしょう。

カルテへの正確な記載を徹底する

医師や医師事務作業補助者など、カルテ入力に携わるすべての職種が、診療内容や処置の詳細を正確に記載する意識を持ちましょう。カルテ入力時点でのミスを減らすことで、後のレセプト作成時のエラーや情報の抜け・共有漏れを防げます。

また、カルテの記載ルールを統一すると、全スタッフが同じ基準で記録を行えるようになるでしょう。具体的な記載例の共有や、定期的な監査を実施することで、記載の質を維持・向上でき、算定漏れのリスクが低減します。

ダブルチェックの体制を整える

二重の確認プロセスの導入によって、レセプト(医事会計システム)の入力ミスや記録漏れを早期発見し防ぐことが可能です。たとえば、スタッフAがレセプトを作成した後に、別のスタッフBが確認し、最終的に医師が確認するといった複数段階のチェックが理想的です。

ダブルチェックの体制を整える際には、スタッフ間のコミュニケーションを円滑にすることが求められます。責任を明確にしつつ協力できる環境を作り、見落としを減らすことが重要です。

スタッフ間の情報共有を徹底する

スタッフ同士で情報を確実に共有できるように徹底することも、診療報酬の算定漏れ対策に効果的です。情報共有不足はスタッフ間で認識のズレを生み、算定漏れの原因となります。

診療報酬の変更点や新ルール、院内方針などをスムーズに伝達できる体制を整えれば、業務の一貫性が保たれ、ミスの発生を抑えられます。定期ミーティングや情報共有ツールの導入が有効です。全員が同じ認識を持ち、統一された手順で業務を進めることが正確な請求につながるでしょう。

スタッフへの研修・教育を充実させる

スタッフへの研修・教育の充実は、診療報酬算定漏れ対策の要です。最新の医療制度や診療報酬の情報を学べる環境を整えれば、スタッフの知識のアップデートに役立ち、誤りを未然に防げます。新人スタッフには基礎知識に加え、実務に即した教育を行うとよいでしょう。

また、定期的な研修を通じて、スタッフ間でのスキルの均一化を図ることも大切です。個人の知識不足によるミスを減らし、チーム全体の算定精度を高められるでしょう。

ツールを活用して効率化を図る

ツールを活用した効率化は、算定漏れ対策に不可欠です。レセプト点検ツールなど、診療内容の入力ミスや漏れをチェックできるツールを活用しましょう。入力ミスや漏れを自動で検知し、スタッフの確認負担を大幅に軽減し、より正確な算定ができます。

積極的にテクノロジーを取り入れることで、業務効率を高めつつ、算定漏れのリスクを最小限に抑えることが可能です。

改善後の状態を維持する

診療報酬の算定漏れ対策は、一度実施して終わりではありません。対策を講じた後は、継続的にミスを防げるように、その状態を維持する必要があります。改善後の業務フローやチェック体制が形骸化しないように、定期的に効果を評価し、必要に応じて修正を加えることで常に最適な業務環境を保てます。

改善後のよりよい状態を保つために、スタッフからの改善提案を募る機会を設ける方法もおすすめです。継続的な見直しを行うことで、業務フローやチェック体制をバージョンアップしていきましょう。

診療報酬算定漏れへの対策に!ソラストの「solabell」

「solabell(ソラベル)」は、レセプト業務のスペシャリスト不在に悩む医療機関におすすめのナレッジアプリです。導入により、診療報酬請求業務の「精度向上」と「効率化」を実現します。

solabellの機能

ナレッジ機能 診療報酬の算定ルールやQ&Aなどを集約した知識データベース
点数表機能 最新の診療報酬点数表を素早く検索・参照できる機能
知りたい・調べたい機能 疑問点をキーワード検索やカテゴリー選択で解決できる機能
しおり機能 よく参照する点数やナレッジを保存しておける機能
メモ機能 検索結果やナレッジに対して個人的なメモを残せる機能
教えてsolabell ソラストのスペシャリストに不明点を質問できる機能

「solabell」の「ナレッジ機能」には、ソラストが長年培ってきた診療報酬に関する知識・知見が集約されており、算定の疑問を迅速に解決します。「点数表機能」では、常に最新の診療報酬点数早見表を確認でき、制度変更にも即座に対応可能です。

「知りたい・調べたい機能」で疑問点を素早く解消し、「しおり機能」でお気に入り情報を保存ができます。「メモ機能」で自分だけの情報を追加できます。さらに「教えてsolabell」では、ソラストの専門スタッフが疑問解決をサポートし、業務効率と精度を飛躍的に向上させます。

「診療報酬の算定漏れを減らしたい」「スタッフの知識レベル向上を目指したい」医療機関経営者さまにおすすめです。

【こんなケースにおすすめ!】
・レセプト担当者の経験が浅く、算定ミスが多い医療機関さま
・新人・若手職員の育成に課題を感じている医療機関さま
・職員の知識・スキル向上を図り、経営安定化を目指したい医療機関さま

診療報酬の算定漏れが発生した場合の対応は?

レセプト請求後に診療報酬の算定漏れが発覚した場合には、レセプトの再請求が可能です。再請求を行う場合は、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会など保険診療の「審査支払機関」に対して、一度提出したレセプトの「取り下げ願い」を提出し、その後再請求を行います。

ただし、レセプトの再請求手続きは煩雑で時間と手間がかかり、さらに取り下げた分のレセプト収入が滞ることで病院経営にも影響が出るため、算定漏れの原因特定と再発防止策が不可欠です。関係者全員に情報を共有し、同様のミスが他の部門でも発生していないかを確認して、組織全体の改善と将来のリスク低減につなげましょう。

診療報酬の算定漏れ対策をして、安定した経営を目指そう

診療報酬の算定漏れは、医療機関の信頼低下や収益減少による経営悪化のリスクをもたらします。主な原因には、カルテ記載漏れやチェック不足、制度理解不足などが挙げられます。診療報酬の算定漏れを防ぐために、業務フローの見直しやダブルチェック体制の構築、ツール活用などさまざまな角度から対策を行いましょう。スタッフへの教育も充実させて、ミスを減らし、安定した医療経営を目指すことが重要です。

ソラストでは、診療報酬算定ナレッジアプリ「solabell」をはじめ、医療事務スタッフのスキル向上を目的とした「テラススタジオ」、リモート医事サービスの「iisy」などを展開しております。病院経営全体の精度・効率を飛躍的に向上させたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。貴院の安定経営と業務改善を強力に支援いたします。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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