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地域医療連携とは?メリットや新たな地域医療構想を経営者向けに解説【監修つき】

公開日/2024.11.26 更新日/2026.03.04

医療を取り巻く環境が急速に変化するなか、地域医療連携は医療機関経営における重要な判断軸の一つです。本記事では、地域医療連携の基本から推進するメリット、新たな地域医療構想のポイントまでをわかりやすく解説します。病院経営者さまやクリニックの開業医さまは、ぜひ参考にしてください。

地域医療連携とは?

地域医療連携とは、地域内の病院・クリニック・介護福祉施設などがそれぞれの機能や役割を分担し、相互に連携することで、患者さんが住み慣れた地域で切れ目なく医療やケアを受けられる体制を整える仕組み

地域医療連携とは、医療・介護の各施設が地域の実情に応じて機能や役割を分担・連携することで、患者さんに継続的かつ切れ目のない医療・ケアを提供する体制を整備することを指します。急性期から回復期・慢性期、在宅医療までを一体的に支えることで、患者さんの安心と医療の質向上を目指します。

こうした地域医療連携の根幹にあるのが「地域医療構想」です。将来の人口動態や高齢化・医療需要の変化を見据え、医療機関の機能分化と連携を進め、限られた医療資源を有効活用することを目的としています。高齢化や慢性疾患の増加が進む中、地域全体で医療を支える視点が重要です。

地域医療連携を推進する目的

【切れ目のない医療提供の実現】
急性期〜慢性期〜在宅まで、患者さんが地域内で継続的に医療を受けられる体制をつくるため
【地域全体の医療レベルの維持・向上】
機能分担や資源の集約を進め、質の高い医療を効率的に提供できるようにするため
【医療従事者の負担軽減】
情報共有や適切な連携により重複業務・業務効率の低下を防ぎ、現場の負担を減らすため

地域医療連携を推進する最大の目的は、患者さんの症状や病期に応じて適切な医療を切れ目なく受けられる体制を整えることです。医療機関同士が役割分担を行い、限られた医療資源を有効に活用することで、地域全体の医療の質と効率性が向上します。

また、診療情報の共有や紹介・逆紹介を円滑にすることで、医療従事者の業務負担や重複作業を軽減し、持続可能な医療提供体制を構築する目的もあります。

地域医療連携の推進に向けた取り組み

地域医療連携の推進に向けて、どのような取り組みが行われているのでしょうか。ここでは、地域医療連携の推進に向けた4つの取り組みを具体的にみていきます。

地域医療連携推進法人制度

地域医療連携推進法人制度は、地域で良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針「医療連携方針」を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定する制度です。

医療の質を向上させつつ、地域全体の健康を支えることを目的としています。地域医療連携推進法人制度があることで、地域における医療資源の共有や患者さんの情報管理が効率的に行えるようになります。

※引用:厚生労働省「地域医療連携推進法人制度について」

医療機関の機能分化

医療機関の機能分化とは、地域内で病院や診療所の役割を明確にし、連携によって効率的な医療提供体制を構築する考え方です。病院は急性期・回復期・慢性期など病床機能に応じた医療を担い、診療所はかかりつけ医として日常的な健康管理を行います。

こうした役割分担を進めるため、病床機能報告や外来機能報告が実施され、地域全体で適切な医療資源の配置と連携が図られています。

地域医療支援病院制度

地域医療支援病院制度とは、地域の「かかりつけ医」や診療所を後方から支援し、地域全体の医療体制を支える中核的な病院を、都道府県知事が承認する仕組みです。紹介患者さんを中心に高度・専門医療を担うことで、大病院に軽症の患者さんが集中することを防ぎ、医療機関ごとの役割分担と連携を促進します。

あわせて、医療機器の共同利用や医療従事者への研修支援などを通じて、地域医療の質向上を図る役割も担っています。

参考:厚生労働省「地域医療支援病院について」

紹介と逆紹介

紹介と逆紹介は、患者さんが適切な医療を受けるために重要なプロセスです。紹介は、かかりつけ医から病院の専門医に患者さんを送ることをいいます。一方、逆紹介は、病院の専門医が治療の経過をみて、患者さんをかかりつけ医に戻すことです。

紹介と逆紹介の仕組みを整えることで、患者さんは必要な専門的治療を受けつつ、回復後はかかりつけ医のもとで継続的な健康管理が行えるようになります。

地域医療連携を推進する3つのメリット

少子高齢化の進展や医療現場の人手が不足する現代において、地域医療連携の確立は不可欠です。ここでは、地域医療連携を推進する3つのメリットをみていきます。

効率的で質の高い医療提供ができる

病院経営者へのメリット 自院の専門性を必要とする患者さんに医療を提供できる
開業医へのメリット 患者さんの身近な存在として、日常的な医療を提供できる

地域医療連携の推進によって、医療機関間での横断的な情報共有がスムーズに行えるようになり、患者さんに対して一貫した治療の提供が可能となります。

患者さんの情報が共有されることで、重複した検査や治療を避け、効率的に質の高い医療が提供できるようになるでしょう。

また、医療資源の有効活用にもつながり、人手不足が深刻化する医療現場において、限られたリソースを最大限に活かせます。

患者さんの紹介・逆紹介をスムーズに行える

病院経営者へのメリット 状態が安定した患者さんを、かかりつけ医や地域の診療所へ円滑に逆紹介できる
開業医へのメリット 日頃の診療を行ったうえで、必要な場合のみ病院への紹介を行える

地域医療連携が進むことで、患者さんの紹介や逆紹介がより円滑に行えるようになります。適切なタイミングで専門医や治療が行える医療機関に紹介でき、患者さんの病状に応じて必要な医療が提供できるでしょう。

地域医療連携によって、特定の医療機関に患者さんが集中することなく、医療資源を適切に活用できる環境が整い、必要な人に必要な医療が提供できます。

医師やスタッフの業務負担軽減につながる

病院経営者へのメリット 患者さんの診療情報や検査データ等をスムーズに共有でき、業務工数を削減できる
開業医へのメリット

地域医療連携は、医療従事者にとっても業務負担が軽減できるといったメリットがあります。紙ベースの記録や手続きが減少し、かつ情報共有が効率化されることで、医師やスタッフは患者さんのケアに専念できる時間が増えるでしょう。

地域医療連携の推進とともに業務効率化を図ることができ、医療従事者が働きやすい環境の整備につながります。

地域医療連携を推進するうえでの課題・デメリット

地域医療連携を推進することの必要性は高く、さまざまなメリットがある一方で、課題やデメリットも存在します。地域医療連携を推進するうえで、課題やデメリットについても押さえておきましょう。

医療資源の地域偏在がある

病院経営者への課題 ・近隣に同じ専門領域の病院がない場合、患者さんが集中する可能性がある
開業医への課題 ・診療所が少ない地域の場合、かかりつけ医としての機能が手一杯になる可能性がある
・紹介先の医療機関が遠方の場合、紹介が難しいケースもある

医療資源は地域によってどうしても偏りがあります。都市部では医療機関が集中する一方、一部地域では医師や看護師の不足が深刻です。この不均衡により、患者さんが必要な医療を受けるために長距離を移動する必要が出てくるなどの問題も発生しています。

地域間で医療資源に偏りがあってはスムーズに必要な医療を提供することは難しいため、地域間での医療資源のバランスをとることが連携の強化における重要な課題といえます。

医療機関の機能分担が明確でない

病院経営者への課題 機能分担や病院・診療所の内情が見えにくいことで、紹介・逆紹介が滞る可能性もある
開業医への課題

医療機関ごとの役割分担が不明確なケースもあります。各医療機関がどのような役割を果たすべきか、その機能分担が明確でないと、患者さんの紹介・逆紹介がスムーズにいかないケースも出てきてしまうでしょう。

効率的で質の高い医療を切れ目なく提供するためにも、医療機関の機能の明確化や機能分担を行うことが求められます。

システムの導入や活用が遅れている

病院経営者への課題 ・DXの推進が遅れている診療所等との情報共有が難しい
開業医への課題 ・DX推進の状況によっては病院と円滑な連携ができない
・ICTの活用・システムの導入に費用がかかる

地域医療連携を効果的に進めるには、情報共有システムの導入と活用が不可欠です。医療機関によっては、ICTの活用やシステムの導入が遅れているケースも少なくありません。情報共有がスムーズに行われないと、医療機関間の連携が滞ってしまうでしょう。

地域医療連携を推進するには、ICT活用やDX推進により、効率的な情報共有を実現することが重要です。

2040年以降を見据えた新たな地域医療構想

団塊の世代が後期高齢者となる2025年を経て、現在は2040年以降を見据えた「新たな地域医療構想」の検討が進められています。医療需要の質的変化や人材不足を背景に、これまで以上に地域医療連携の重要性が高まる見通しです。2026年度の診療報酬改定においても、基本方針に地域連携の視点が盛り込まれました。

新たな地域医療構想について

新たな地域医療構想は、現在も国を中心に議論が進められている段階です。主な論点として、2040年頃を見据え、医療機関が担う機能を可視化する「医療機関機能報告制度」の創設などが検討されています。従来の病床機能に加え、救急・在宅・高齢者医療など地域で必要な機能を整理し、連携や集約化を促す方向です。具体的な取り組みの方向性は、2028年度中までに決定される予定とされています。

2026年度診療報酬改定の方向性について

2026年度診療報酬改定の基本方針では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携、医療資源が乏しい地域を含む地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進が柱に位置付けられています。

あわせて、物価・賃金上昇や人手不足を踏まえ、医療従事者の処遇改善やICT等を活用した業務負担軽減も重視され、「地域で質の高い医療を受けられること」と「働きやすさの改善」の両立を図る方針です。

地域医療連携推進に向けて医療機関経営者がやるべきことは?

地域医療連携の推進に向けて、病院経営者や開業医は主体的に取り組んでいく必要があります。まずは、下記の3つのポイントに取り組むことが地域医療連携推進の第一歩といえるでしょう。

地域で必要とされる医療需要を把握する

地域医療連携を推進するには、その地域における医療需要の把握が欠かせません。まずは、地域で求められる医療ニーズを正しく把握し、各医療機関の役割を明確にし、分担を進める必要があります。

現在のニーズだけでなく、将来の医療需要も予測したうえで、必要な医療ニーズを満たせるよう計画的に準備を進めておくことが大切です。

「かかりつけ医」として地域の患者さんの健康を支える

診療所は「かかりつけ医」としての機能を高めることが求められます。まずは、患者さんが安心して健康の相談ができる環境を整備し、必要に応じて地域の中核病院を紹介するなど、状況に応じた対応ができる体制を整えましょう。

単に診療にきた患者さんを支えるだけでなく、健康診断や地域保健など、地域における社会的活動や行政活動に積極的に参加し、地域住民と信頼関係を築くことも大切です。

システムの導入を進めて近隣医療機関との連携を強化する

地域医療連携を円滑に進めるには、情報共有を効率化するシステムの導入が不可欠です。電子カルテや地域医療ネットワークシステムを活用することで、患者さんの情報共有が迅速に行え、医療の質の向上にもつながります。

多職種間の連携が求められる現場では、システムの導入・整備が業務効率化にも寄与します。システムの導入により、今後より重要性が高まっていく地域医療連携を進めることができるでしょう。

地域医療連携に向けて自院の役割の明確化とシステムの導入・整備を進めよう

地域医療連携は、患者さんが住み慣れた地域で治療を継続することが可能となり、医療機関は質の高い医療の提供や業務効率化が可能です。地域医療連携を進めるには、自院の機能を明確にすることや、効率的な情報共有を実現するシステムの導入と整備が求められます。

地域医療連携を推進するうえでは、さまざまな課題がみえてくるでしょう。病院経営の課題解決に悩んだ場合には、ソラストの医療機関経営支援サービスがおすすめです。

医事業務受託で蓄積した業務運営の経験をもとに、病院経営における改善機会の抽出と課題解決に取り組みます。お悩みの病院経営者さまや開業医さまは、ぜひ一度ご相談ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。
監修者:櫻井 寛司
医療法人の理事・理事長補佐として経営管理、財務、人事・労務、医師採用まで幅広く統括。 介護保険制度の開始当初から訪問介護・看護・リハ、デイケア、介護医療院など多様な医療・介護サービスの運営に携わる。 地域包括支援センター管理者や有料老人ホームの経営顧問も務め、地域医療・介護の体制づくりに貢献。 日本医療機能評価機構のサーベイヤーとして医療の質向上に取り組むほか、三次救急での臨床経験とMBAを背景に、実務と学術の両面から医療経営や介護制度に関する専門的な提言を行う。 2025年有限会社ラピモルト設立 代表に就任 医療福祉経営支援・研修支援会社 顧問先5社 2025年財団法人 IGP協会 理事

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