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2020.5.19
Pick Up!
ニュース解説
どう変わった?
注目の診療報酬改定

今回の診療報酬改定では、急性期一般入院料1の絞り込みや働き方改革推進に向けた見直しが特徴的な改定になりました。ポイントを5項目に絞ってお伝えしていきます。

勤務医の負担削減が課題 増収分は"人"に使え

勤務環境が過酷とされる救急病院を対象とした「地域医療体制確保加算」が新設されたほか、医師事務作業補助体制加算などの従来からある項目が増点となり、病院の増収が期待されます。

「地域医療体制確保加算(520点)」の主な施設基準は、病院勤務医の負担軽減や処遇改善の実施、救急車等搬送件数が年間2,000件以上などです。年間2,000件未満の医療機関でも、「地域医療に特別な役割がある」医療機関は地域医療介護総合確保基金で財源を準備するとされています。

医師事務作業補助体制加算、看護職員夜間配置加算などの項目も増点となりました。いずれも、医師・看護師の負担軽減の効果が大きいとされています。これらの増収分は人員体制の充実やITの投資に振り向け、医師や看護師の負担軽減につなげることが求められています。

入院料Ⅰが算定できない病院続出の可能性

今回はステップダウンとなる入院料2・3へ誘導する施策が盛り込まれました。前回改定で急性期一般入院料1(旧7対1)の絞り込みが進まなかったことを踏まえたものです。約3割の急性期入院料1が入院料2などへ移行すると考えられます。

入院料2・3の見直しにより、重症度、医療・看護必要度Ⅰでも届出可能となりました。また、必要度の判定基準から「A得点1点以上、B得点3点以上」が削除されました。

許可病床数400床以上の医療機関は、必要度Ⅱが要件化されました。さらに必要度ⅠでもA項目の薬剤や、C項目はレセプト電算処理システムコードを用いることになり、必要度Ⅱと同じ基準になりました。必要度Ⅱを広めていく方向であることは間違いなく、まだ変えていないところは対応を検討すべきでしょう。

B項目の記録方法は簡素化しました。必要度の院内研修の指導者は院外研修修了者でなくても可能となりました。これらも負担軽減や働き方改革の一環とされています。

病床機能分化のさらなる推進が求められる

許可病床400床以上の地域包括ケア病棟の新規届出が禁止されるほか、同じ病院の急性期病棟からの転院患者の割合に制限を設けられました。地域包括ケア病棟の機能を明確化する方向性が見えます。

同一医療機関内のDPC対象病棟から地域包括ケア病棟に転棟した場合の算定ルールが変わります。従来は転棟すれば地域包括ケア病棟入院料の点数を算定していましたが、4月以降は入院日ⅡまでDPC点数を継続することになりました。

許可病床数400床以上の病院では、院内の一般病棟からの転棟が6割以上の場合は入院料が1割減算されます。また、既存の病院を除き、地域包括ケア病棟を新規届出することも不可となりました。急性期の基幹病院は急性期に特化し、急性期を脱したポストアキュートの患者は地域連携で診ることを求める厚労省の意図が読み取れます。

ポストアキュートとサブアキュートがメインの地域包括ケア病棟については、入院料1、3の在宅患者を支えるための施設基準の項目数も見直されました。「頑張れば満たせる」水準と言え、達成すべき目標として設定するといいでしょう。

リハビリや栄養ではアウトカムをより重視

回復期リハビリテーション病棟入院料は、実績指数のハードルが上がるなど、「アウトカム」をより重視する内容と言えます。

回復期リハビリテーション病棟入院料では、入院料1・3で実績指数が上がりました。入院料2・4・6に関しても実績指数の組み込みを行うという議論もされており、今後は拡大する可能性があります。実績指数というアウトカムに耐えうるか、対象外の病棟もシミュレーションしながら運営をするといいでしょう。

管理栄養士の病棟配置については入院料1では専任要件となり、新たに入院料2~6は努力義務となりました。管理栄養士の体制は整えておいたほうが無難でしょう。

長期の中心静脈栄養は療養病床から敬遠される

中心静脈栄養の患者に対しては、毎月継続的に必要性を確認し、患者や家族に説明することなどが条件に。長期の中心静脈栄養については、慎重な適応が求められます。

療養病棟入院基本料の医療区分3の評価項目では、「中心静脈栄養」に該当する患者に対して、中心静脈栄養の状態を日々確認し、毎月末に必要性を確認することが条件となりました。さらに、中心静脈注射用カテーテル挿入等の手技の点数には、患者や家族などへの説明に加え、他の医療機関に紹介する際の情報提供が要件に追加されました。長期の中心静脈栄養については慎重に適用することが明確に示されたといえます。

ACP(人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインによる体制)への対応やデータ提出加算が要件化されました。体制が整っていないところは準備が必要です。

(提供:株式会社日本医療企画)
以上

図表 出典:
厚生労働省「令和2年度診療報酬改定の概要」をもとに株式会社日本医療企画作成
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html

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