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Solasto online
2021.2.17

コロナ禍で"メンタルヘルス"を整える
3つのポイント

お話を伺った人:
東京TMSクリニック
院長
田中 奏多 氏

未だ、収束の兆しを見せない新型コロナウイルス。医療・介護の現場は、感染対策や患者の不安への対応に追われ、常に緊張感が漂っています。そのなかで働く医療・介護従事者は、一般の人とは違ったストレスにさらされ、心の不調をうったえる人も増えてきました。今回は、メンタルヘルス(心の健康状態)に詳しい田中奏多医師に、コロナ禍での心の状態とメンタルヘルス不調の予防法を教えていただきました。

感染対策への意識の高さがストレスをもたらす要因に

コロナ禍ではメンタルヘルス(心の健康)不調を訴える方が多く出ています。「コロナうつ」という言葉もありますが、どんな症状が出るのでしょうか。

田中 「コロナうつ」は医学用語ではないため、しっかりとした定義はありません。

コロナ禍において、社会情勢や生活様式に大きな変化が生じたことで、心身に不調が現れる状態を、一般に「コロナうつ」と呼んでいます。生活リズムが崩れたり、人と接する機会が減ることにより、精神を安定させる働きを持つ神経伝達物質であるセロトニンの分泌が低下し、心が引きこもりがちとなってメンタルヘルス不調をきたし、「コロナうつ」になりやすいと考えられます。

「コロナうつ」は医療・介護従事者でも起きているのですか?

田中 医療・介護従事者は、家族や同僚に加え、患者さん、利用者さんなどの「守るべき人」が多いこともあり、メンタルヘルス不調をきたしやすい状況にあります。

消毒の徹底など業務負荷が増えているうえ、患者さんなどから理不尽に怒られたり、新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関や、感染者が発生した介護事業所などで働く人に対して、心無い声が寄せられるなどの心的負担が増えていることも、「コロナうつ」になりやすい原因の一つです。

メンタルヘルス不調を放っておくとどうなりますか。

田中 最終的にはうつ状態が強くなり、突然身体が動かなくなったりします。

心身の負荷は自律神経に影響し、頭痛や肩こり、腰痛が強くなる、出勤前に吐き気がする、胸が詰まる感じがする、腹痛や下痢、便秘ぎみになるなど身体の症状が現れたりもします。不調が積み重なると、徐々に動けなくなる人や、「がんばろう」と気力で耐えていたのに、ある日気力が切れて突然動けなくなる人がいます。

睡眠を見直してメンタルヘルスを整えよう

メンタルヘルス不調に気づくポイントはありますか。

田中 心の不調は体力とも関係しているので、身体の変化を見ておきましょう。

怒られたり、ミスをしてしまった場合、大丈夫な人とそうでない人がいますよね。それは、気力と体力の関係性がキーとなっています。この2つは比例の関係です。体力が低下すると「活動できる幅」が少なくなり気力が低下し、気力が低下すると「活動をしたい」という気持ちが減少して体力も低下するという負のスパイラルに陥ります。体力が落ち出したら、メンタルヘルス不調が起こっているのでは、と考えましょう。また、女性の場合は、生理前の不調(イライラ、落ち込み)が出やすくなる点も、気づくポイントになります。

メンタルヘルス不調を予防できる方法を教えてください。

田中 気力は「頑張ろう」と思ってもなかなかコントロールできないので、まずは生活リズムに注目しましょう。

生活リズムがおかしくなっているときは、身体に不調が出やすくなります。逆に、生活リズムが安定すれば、身体も不調にならず、心も安定します。睡眠を通じて、生活リズムを整える方法を3つ紹介します。

①朝、同じ時間に光を浴びる
②お昼に計画仮眠をする
③夕方に体温を上げる(運動をする)

①は、中枢の体内時計をリセットさせる効果があります。人間の体内時計は24時間よりも少し長いサイクルとなっているため、放っておくとどんどんずれていきます。そこで、同じ時間に光を浴びて、調整します。

②は、眠くなる前に計画的に目をつむる(仮眠する)ことです。眠い時はすでに集中力が落ちている状態なので、その状態になる前に、いすに座ったままうつ伏せになって、計画仮眠をとります。20分以上経つと深い眠りに入るので、10〜15分でアラームをセットしておきます。

③を行うのは、夜に良い睡眠を取るため。人間の体温は1日のなかで変動があり、朝と夕方に体温が上がります。夕方に運動することで体温が上がりやすくなり寝つきも良くなります。夕方に運動する時間をとれない医療・介護従事者も多いと思いますが、背筋を伸ばしたり、階段を使って別の階のトイレに行ったり、その場でスクワットをするなど、ちょっとした運動をしましょう。スクワットは30秒程度でも大丈夫。こまめに身体を動かすことが大切です。まとめて10分というと大変ですが、30秒が20回積み重なると10分の運動になります。少しずつ意識的に身体を動かしてみてください。

休日や夜勤明けなど、ゆっくり寝たいときはどうしたらいいですか。

田中 「同じ時刻に朝日を浴びる」ことがポイントです。

休日に少し長めに寝たいときは、寝る時間を早めて、起きる時間を一定にしましょう。難しい場合は、朝決まった時間に一度起きて、光を浴びたうえで、二度寝するならOK。夜勤明けの場合なども同様で、同じ時間に光を浴びるといいでしょう。

特にコロナ禍の医療・介護現場では、不測の事態が起こることもあります。患者さん・利用者さんから必要とされる時に力を出せるよう、自分の身体をコントロールしておくことが重要ですね。

(提供:株式会社日本医療企画)
以上