本ページは、2026年8月28日に開催されたWebセミナーのレポートです。
- 全国自治体病院の95.0%が医業赤字に直面し、費用増加の72.5%を給料費・材料費が占める中、改定率+3.09%を活用した診療単価の引き上げが急務です。
- 急性期病院A(1,930点)」や「地域包括医療病棟(最高3,367点)」への転換など、自院の強みと地域ニーズに応じた機能選択と集約化が求められます。
- 医療職を含めた部門横断タスクフォースの構築とDPCデータ分析により、現場の算定漏れを防ぐ動的PDCAと伴走型経営改善が不可欠です。
全国自治体病院協議会の決算調査によると、自治体病院の95.0%が本業である医業収支で赤字に陥っています。
医業費用の増加額のうち72.5%が給料費と医療材料費で占められており、物価高や人件費高騰が経営を強烈に圧迫しています。
令和8年度診療報酬改定の本体改定率は+3.09%(賃上げ+1.70%、物価高騰+0.76%等)と30年ぶりの高水準となりましたが、費用に相殺されるため手元に資金は残りません。
ベースアップ頼みではなく、診療報酬単価そのものを適正に引き上げる構造改革が必要です。
単価引き上げに向けた具体的な施策と病棟機能転換
高度急性期・急性期では、年間救急搬送2,000件以上・全麻手術1,200件以上を満たす「急性期病院A一般入院料(1,930点)」や「急性期総合体制加算」の取得が重要です。
ある病院では、ER型救急体制へのシフト等により救急応需率を88.3%から96.2%へ向上させ、月平均145件の増収を実現しました。
一方、高齢者救急が主体の病院では、急性期併設なしで最高3,367点となる地域包括医療病棟への転換が有力な選択肢です。
ただし自院転棟5%未満や在宅復帰率80%以上といった厳格な要件を維持するため、PFMセンターによる一元管理や入棟後48時間以内の多職種評価体制の確立が求められます。
経営層を補佐するサポート体制の構築
これらの施策を実行に移すには、事務職だけでなく医療職も含めた部門横断タスクフォースを組織し、DPCデータや財務データの可視化からスモールスタートで成果(クイックウィン)を重ねる経営企画的サポート体制が不可欠です。
自治体病院の経営改善においては、単に診療報酬の知識を得るだけでは不十分であり、現場の医療スタッフ(医師・看護師・コメディカル)が納得し主体的に動ける仕組みづくりが本質的課題となります。
特に「一般行政職の定期異動によるノウハウ希薄化」や「現場と事務の温度差」という構造課題に対し、DPCデータ等の定量的エビデンスに基づく対話と、医療職を巻き込んだ部門横断チームによる小集団活動(クイックウィンの積み重ね)が極めて有効です。
制度の改定内容を絵に描いた餅で終わらせず、現場運用に落とし込んで確実に算定漏れを防ぎ、医業収益の向上から獲得した資金を最新設備や働き方改革へ再投資する経営の好循環を確立することが求められています。
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