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医療事務

医事課と医療事務の違いは?仕事内容と採用・業務効率化のポイントを解説

公開日/2026.05.07 更新日/2026.05.07
目次

医療機関には医事課と医療事務といった役割がありますが、その違いについて明確に整理できていない方もいるでしょう。主な違いは医療機関内での立ち位置で、医療機関の規模によっては、医事課がない場合もあります。今回は、医事課と医療事務の違いを明確にし、医事課の業務や運営課題、業務効率化のポイントなどを解説します。

医事課と医療事務の違いは?

医事課は医療事務の業務を組織として担う「部門名」であり、医療事務はその医事課で働く職種や仕事内容の総称です。まずは、医事課と医療事務それぞれの特徴から違いをみていきましょう。

医事課とは

医事課とは、診療報酬請求を中心に、受付対応や会計処理、統計管理など医療機関の事務機能を幅広く担う専門部署です。医療機関によっては「医事部」や「医事室」といった名称が使われるケースもありますが、医療の質と経営の両立を現場で支える役割を担う点は共通しています。

業務には診療報酬や保険制度に関する専門知識が欠かせず、病院運営を支える重要な組織として位置付けられています。

医療事務とは

医療事務とは、病院や小規模な医院で受付対応や会計処理、レセプト請求業務などを担当する職種を指します。規模の大きな病院では医療事務スタッフが医事課に配属されるケースが多く、医事課の一員として業務を担うことが一般的です。

一方で、診療所やクリニックなどの医療機関では、医事課という独立した部署が設置されていないことも多く、医療事務スタッフが幅広い事務業務を担当することもあります。

医事課が担う主な業務

ここでは、医事課という大きなくくりの観点から、医事課が担う主な業務を解説します。

診療報酬請求(レセプト)業務

診療報酬請求、いわゆるレセプト業務は、医事課の中核を担う重要な仕事です。診療内容をもとにレセプトを作成し、保険者へ診療報酬を請求する業務で、医療機関の収益を直接左右する重要な役割です。制度への理解と細かな確認作業が欠かせず、請求内容に漏れや誤りがあると収益を損なうリスクもあります。

月末から月初にかけて作業が集中するため、業務負担の大きさや属人化が生じやすい業務でもあります。

【具体的な業務例】
・診療内容の確認・点数計算
・レセプトの作成・点検
・オンライン請求の実施
・審査支払機関からの査定・返戻への対応
・月次の請求締め切り管理
・診療報酬改定への対応と算定ルールの更新

受付から会計までの窓口業務

受付から会計までの窓口業務も、医事課の重要な役割の一つです。受付は患者さんが最初に接する場面であるため、対応の質は医療機関全体の印象や満足度に大きく影響します。

保険証の確認から診療費の計算、会計までの一連の手続きを正確に進めると同時に、患者さんへの配慮ある対応が求められます。問い合わせや苦情への一次対応を担うことも多く、スタッフの対応力が重要とされる業務です。

【具体的な業務例】
・保険証・診察券の確認・受付
・患者さんへの案内・誘導
・電話・対面での問い合わせ・予約対応
・診療費の計算・徴収
・窓口での処方箋発行
・患者さんからの苦情・クレームへの一次対応

統計管理や報告書作成などの院内事務管理業務

医事課は、患者数や診療科別の収益などの院内データを集計し、経営判断に活用できる統計資料を作成する役割も担います。こうした情報は、病院経営の状況を把握するうえで重要な基礎資料となります。

また、診療報酬改定に向けた収支分析や行政への届出書類の作成など、外部対応を伴う事務も医事課の管轄です。直接収益を生む業務ではありませんが、経営の意思決定を支える情報基盤として重要な位置付けです。

【具体的な業務例】
・患者数・診療科別の受診統計の集計
・診療収益に関するデータの整理・報告
・施設基準に関わる地方厚生局への届出書類作成
・診療報酬改定に向けた収支分析
・カルテ・診療記録の管理・保管
・院内向け業務マニュアルの作成・更新

医療機関の経営者が直面する医事課の運営課題

多くの医療機関では慢性的な人手不足をはじめ、さまざまな課題がみられます。ここでは、医事課にフォーカスを当てて、病院経営者が直面する運営課題を解説します。

医療事務人材の慢性的な確保難

医療事務は、診療報酬や保険制度への理解が求められる専門性の高い職種です。しかし、有資格者や経験者の数は限られており、採用市場での競争は年々激化しているといわれています。

人材が定着しない状況が続くと、採用コストや現場の負担が積み重なり、残ったスタッフのモチベーション低下につながるリスクもあるでしょう。安定した人材確保には、給与や職場環境の整備に加え、未経験者を育成し戦力化できる体制づくりが求められます。

診療報酬改定への継続的な対応コスト

診療報酬は原則として2年ごとに改定されるため、そのたびに医事課の業務フローや算定方法の見直しが求められます。具体的には、スタッフへの研修や業務マニュアルの更新、システムの設定変更などが必要です。限られた人員や予算で運営する医療機関にとっては、大きな負担となるでしょう。

改定への対応が遅れたり内容を誤解したりすると、算定漏れや査定・返戻につながる可能性があるため、正確な情報収集と院内共有の体制づくりが欠かせません。

業務の属人化によるリスク

医事課の業務は、診療報酬制度や実務経験に基づく知識に依存する部分が多く、担当者個人のスキルに業務が偏りやすい傾向があります。その結果、担当者の退職によって業務継続が困難になるリスクを抱えやすいです。業務マニュアルが十分に整備されていない医療機関では引き継ぎが不十分となり、請求ミスや窓口対応の質の低下につながるおそれがあります。

こうしたリスクを抑えるためには、業務の標準化や文書化を進め、複数の担当者で相互に確認できる体制を経営主導で整えることが重要です。

医事課スタッフの採用で押さえるべきポイント

安定した収益を確保したり、患者満足度を向上したりするためには、医事課スタッフの質が重要です。ここでは、医事課スタッフの採用で押さえるべき3つのポイントを解説します。

医療事務の実務知識があるか

医事課スタッフを採用する際には、医療事務の実務知識をどの程度備えているかを確認することが重要です。

面接では、返戻対応の経験やレセプト点検の進め方など、具体的な実務エピソードを確認することで理解度を把握しやすくなり、採用精度を高められるでしょう。とくに、診療報酬の算定ルールは複雑で改定も多いため、請求業務の経験があるかどうかは即戦力を見極めるうえで大きな判断材料となります。

一方で、知識が十分でなくても学習意欲が高い場合は成長が期待できるため、採用後の教育体制とあわせて総合的に判断する視点も求められます。

【面接で確認するべきこと】
・実際にレセプトを作成・点検した経験があるか
・直近の診療報酬改定の内容を把握しているか
・自院の診療科で頻出する算定項目を理解できるか

関連する主な資格を持っているか

医療事務には国家資格はありませんが、関連資格の有無は基礎知識や学習経験を判断する一つの目安になります。なかでも診療報酬請求事務能力認定試験は、レセプト作成に関する実務能力を示す資格として医療業界で広く評価されている資格であり、専門性に期待できるでしょう。

また、医療事務管理士や医事コンピュータ技能検定なども、医療事務の知識やシステム操作の理解度を確認する参考になります。

ただし医療事務の場合は、資格よりも実務経験を重視する医療機関も多いのが実情です。そのため、あくまでも保有資格は専門領域や学習への主体性を見極める判断材料として活用する視点も持つことが採用を進めるポイントです。

【面接で確認するべきこと】
・どの資格を取得しているか(診療報酬請求事務能力認定試験・医療事務管理士など)
・資格取得の動機や、取得に向けてどのような努力をしたか
・資格取得後に業務で活かした経験があるか
・現在も継続的に学習・知識更新をしているか

医事課スタッフとしての適性があるか

医事課で働くスタッフには、正確性を重視する姿勢、守秘義務を守る意識、そして患者さんに対する誠実な対応といった基本的な適性が求められます。受付や窓口業務では患者さんとの円滑なコミュニケーションが欠かせず、レセプト点検や事務処理では数字や内容の細かな確認を怠らない注意力が重要です。

こうした適性は、短期間の研修で身につけることが難しい部分でもあるため、採用段階での見極めが医事課の安定した運営に大きく関わると考えられるでしょう。

【面接で確認するべきこと】
・患者対応でクレームや難しい場面に直面した際、どのように対処したか
・ミスを発見した際にどのように報告・対応したか
・チームで業務を分担した経験と、その中でのどのような役割を担ったか
・繁忙期(月末レセプト業務など)の業務負荷にどう対処してきたか

医事課の業務効率化に向けてやるべきこと【医療機関の経営者向け】

医事課の業務効率化は、病院経営者が主体となって推進していくことが重要です。ここでは、2026年度診療報酬改定の内容も含めて、業務効率化に必要なことを解説します。

医療DXに対応するために事務業務を簡素化する

近年の診療報酬改定では、医療DXの推進を背景に事務業務の簡素化と効率化が求められています。具体的には、診療に関する各種様式の見直しや運用方法の整理、記名押印の省略などです。

こうした見直しは、医療機関の事務負担を軽減するとともに、デジタル化を前提とした業務体制へ移行するための重要な取り組みとされています。

経営者としては、制度の方向性を踏まえながら業務フローを整理し、効率的な事務体制を整えていく視点が求められます。

医師事務作業補助体制加算の見直しに対応する

医療機関の規模や体制によっては、医師事務作業補助者が医事課に配置され、診療関連の事務作業を支える役割を担うことがあります。

2026年度の診療報酬改定では、ICT機器を活用して医師事務作業の効率化を図る医療機関に対し、人員配置の基準を柔軟に運用できる仕組みが示されています。対象のICT機器には、生成AIを活用した文書作成補助システムや音声入力システム、患者さん向けの説明動画などが含まれます。

こうした技術を積極的に取り入れることで、医師の負担軽減と医事課の業務効率化の両立が期待できるでしょう。

ITシステムを活用しレセプト業務を自動化する

レセプト業務はデジタル化との親和性が高く、電子カルテや医事システムと連携させることで請求作業の効率化を図ることが可能です。さらに、AIを活用したレセプト点検ツールの導入で、算定漏れや入力ミスなどのヒューマンエラーを減らす効果も期待されます。

こうしたシステムを活用すれば、膨大な確認作業を効率的に処理でき、医事課スタッフの負担軽減にもつながるでしょう。

ソラストの「iisy(イージー)」のような専門サービスを利用することで、自院でシステムを構築する負担を抑えながら業務の自動化を進めることも可能です。

iisy(イージー)とは?
ソラストが培ってきた医療事務業務の豊富な経験と専門性を活かし、レセプトチェックやオンライン請求などの医療事務業務をリモートで代行するサービス。医療機関スタッフが医業本来の業務に集中できる環境づくりを支援します。

医療事務スタッフを計画的に育成する

医事課の人材不足を解消するためには、場当たり的な採用だけでなく、採用から戦力化までを見据えた計画的な育成体制を整えることが重要です。実務を通じて学ぶOJTと体系的な研修を組み合わせることで、スタッフが段階的に業務を習得できる環境を整備できるでしょう。

たとえば、ソラストの「テラススタジオ」のような医療事務向けオンライン研修や、eラーニングサービスの活用で、教育の質とスピードの底上げが期待できます。

テラススタジオとは?
日本初の医療事務教育機関として創業したソラストのノウハウを生かした自立型Web学習サービス。1視聴2〜3分のカリキュラムで、医療事務の基本や診療報酬請求業務、接遇など実務に役立つコンテンツをスキマ時間に学べます。

外部委託・専門サービスを戦略的に活用する

医事課の業務の一部または全部を外部に委託することで、人材確保や育成にかかる負担を軽減しながら専門性を確保するのも有効な手段です。委託先を選定する際は、業務範囲や実績、費用とのバランスを比較し、自院の課題に合ったサービスを選ぶことが重要です。

また、「solabell(ソラベル)」のような診療報酬算定に関するナレッジアプリの活用で業務の属人化を防ぎながら、低コストで安定した運用を目指せます。こうした外部リソースを適切に取り入れることが、医事課の効率化につながるでしょう。

solabell(ソラベル)とは?
複雑な診療報酬制度のあいまいな解釈を減らし、「精度向上」「効率化」を実現する算定ナレッジアプリケーション。判断に迷う複雑なケースはソラストの経験豊富なスペシャリストに直接質問もできます。

医事課と医療事務の違いに関するよくある質問

ここでは、医事課と医療事務の違いに関するよくある質問に回答しています。

Q.医事課と総務課はどう違う?

A.医事課は受付や会計、レセプト請求など、患者対応と診療報酬業務を担う部署であり、総務課は人事・経理・設備管理など病院運営を支える事務全般を担当する部署です。

医事課は患者さんの受付や診療費の計算、レセプト請求など、診療に直接関わる事務業務を担当する部門です。一方、総務課は職員の人事・給与管理や物品管理、施設管理などを担い、院内スタッフや外部機関との調整を通じて病院全体の運営を支える役割があります。

つまり、医事課は「診療現場に近い事務」、総務課は「病院運営を支える管理部門」といった位置付けになります。

Q.未経験者でも医事課で採用・育成できる?

A.未経験者でも医事課での採用は可能であり、研修やOJTを通じて医療事務として育成していく医療機関も多くあります。

医療事務は専門知識が求められる職種ですが、必ずしも資格や経験が必須ではない場合もあり、未経験者を前提に教育体制を整えている医療機関もあります。

現場では受付業務などの比較的習得しやすい業務から経験を積み、徐々にレセプト業務などの専門的な仕事へとステップアップしていくケースが一般的です。求人でも「未経験可」とする医療事務の募集は多く、育成体制の整備が重要視されています。

Q.医事課スタッフの離職を防ぐために、経営者ができることはある?

A.経営者が主体となり、働きやすい職場環境の整備と適切なマネジメント体制を整えることが重要です。

医療従事者の定着には、職場の安全性や人間関係、キャリアの見通しなどを含めた環境整備が欠かせません。経営者や管理職がスタッフの声に耳を傾け、評価制度やキャリア支援、働き方の柔軟性などを見直すことで、安心して働き続けられる職場づくりにつながります。

Q.小規模な診療所やクリニックなどの医療機関でも、医事課の体制をきちんと整える必要はある?

A.小規模な診療所やクリニックなどの医療機関では独立した医事課を設けないことが多いものの、医療事務業務を適切に担う体制づくりは重要です。

医事課は本来、受付や会計、診療報酬請求など医療事務業務を組織的に担う部署として設けられることが一般的です。ただし、小規模な診療所やクリニックなどの医療機関では部署として分けず、医療事務スタッフが複数の業務を兼任するケースも少なくありません。

そのため、スタッフごとの教育や研修を通じて知識や対応力を高め、業務品質を維持する体制を整えることが重要です。

医事課と医療事務の違いを理解し、医事課運営を最適化しよう

医事課は医療事務業務を担う組織であり、受付や会計、レセプト請求、統計管理などを通じて医療機関の運営と収益を支える重要な部門です。人材不足や診療報酬改定、業務の属人化といった課題に対応するためには、採用・育成体制の整備や業務の標準化、IT活用などを経営者主導で進めていくことが欠かせません。

レセプト業務のサポートや教育の質向上・効率化、ナレッジアプリなど、ソラストは医療機関の経営者をサポートするさまざまなサービスを提供しています。必要なサービスをうまく活用し、自院に合った医事体制を構築してみましょう。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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