ベースアップ評価料は今からでも届出できる?メリットや経営者が行う手続きを解説
ベースアップ評価料は2024年から始まった算定項目のひとつです。届出・算定は任意のため、まだ届け出ていない医療機関もあることでしょう。今回はベースアップ評価料のメリットやデメリット、今から届け出ても間に合うのか解説します。具体的な手続きなども詳しく紹介するので、ご検討中の経営者は参考にしてみてください。
ベースアップ評価料とは【基礎知識】
ベースアップ評価料は、令和6年の診療報酬改定の際に新設された新しい評価料です。これは医療業界における職員の賃金改善を目的とした制度で、これによって得られた診療報酬は対象となる医療職員の賃上げに使用されます。
政府は、対象となる医療職員の基本給を令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%上昇させることを目標としています。
対象となる職員は医師と歯科医師を除く、主に医療に従事する職種で、事務作業を行う職員は含まれません。
【ベースアップ評価料の算定で賃上げ対象になる職種一覧】
引用:厚生労働省「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)専用届出様式作成の手引き【令和7年1月改定版】」
ベースアップ評価料が誕生した背景
ベースアップ評価料が誕生した背景には、医療業界が他業界の賃上げの流れに追いついていない問題があります。現在、他業界では賃上げの動きが加速している一方で、医療業界は責任が重く、大変な仕事でありながら賃金が低い、と悩む声が多く聞かれています。
この問題を改善する手助けとして、令和6年の診療報酬改定でベースアップ評価料が新設されました。
ベースアップ評価料を届出・算定する3つのメリット
ベースアップ評価料を届出・算定すると対象職員の給料が上がり、上記のようなメリットがあります。以下で一つひとつ見ていきましょう。
他業界への人材流出防止に役立つ
ベースアップ評価料を算定し、対象職員の賃金が上昇することで、仕事に対するモチベーションにつながり、離職率の低下に寄与すると考えられています。
現在、医療業界は給料が他業界に比べて低いため、離職率が高いという課題があります。
低賃金が理由で他の業界への人材流出が懸念されていますが、ベースアップ評価料により賃金を改善して、人材確保にも役立てたいという制度です。
質の高い人材の確保や定着率向上を目指せる
賃金改善ができれば、より高度なスキルを持つ人材の確保が進みやすくなります。あわせて、待遇の改善により職員の定着率向上も目指せるでしょう。その結果、安定した人材基盤を築ける可能性もあります。人材の面だけでなく、対象職員のモチベーションの面からも質の高いサービスの提供を可能にするでしょう。
賃上げ促進税制や給付金を活用できる
ベースアップ評価料を届出すると、公的制度の活用が可能なケースもあります。
ひとつは「賃上げ促進税制」で、職員の給与を増額した分の一部を税額控除できます。すでにベースアップ評価料を届出している場合には、「生産性向上・職場環境整備等支援事業」の活用も可能です。これは、業務効率化やさらなる賃上げに活用する条件で最大18万円の給付金を受け取れるものです。
ベースアップ評価料を届出・算定する3つのデメリット
一方で、ベースアップ評価料を届出・算定には注意点もあります。届出前にはその点も含めて十分に検討しましょう。
手続きが煩雑で事務業務の負担が増加する
ベースアップ評価料は、一度届出を行って終わりではなく、算定開始後は年度ごとに賃金改善実績報告書や賃金改善計画書の作成・提出が必要です。つまり、事務作業量の増加が見込まれます。集計・入力ミスなく正しい手続きが必要なため、負担に感じるケースもあるでしょう。
患者さんから説明を求められることもある
ベースアップ評価料を導入すると、患者さんが負担する医療費にベースアップ評価料が上乗せされます。患者さんからのクレームや、なぜ上乗せされるのか、説明が求められるケースもないとはいえません。
ベースアップ評価料の目的や制度の概要について、職員が適切に説明できるよう、医療機関の中で情報共有することや患者さんへの情報公開が必要です。
費用負担が増えて経営状況が悪化する可能性もある
ベースアップ評価料の届出を行う場合、算定によって得られる収入以上の費用を従事者に人件費(賃金引上げ)として還元することが求められます。場合によっては、医療機関としての費用負担がかなり大きくなるでしょう。各医療機関の状況により、経営状況が悪化する可能性がある点に注意が必要です。
ベースアップ評価料の届出はまだ間に合う?
まだベースアップ評価料の届出をしていない医療機関も、令和7年3月以降に新規で届出が可能です。
たとえば、令和7年5月に届出を行った場合には、翌月分からベースアップ評価料が算定でき、早期に算定開始できるのが特徴です。ベースアップ評価料の届出を検討中の医療機関でも、間に合わないということはありません。これから届出することで、ベースアップ評価料を得られます。
ベースアップ評価料の届出方法
2.「届出書」「賃金改善計画書」の作成
3.管轄の地方厚生(支)局の専用メールアドレスへ資料を添付し提出する
届出方法は、厚生労働省のベースアップ評価料等特設ページから様式をダウンロードして作成します。「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」のみを届出する医療機関の場合は、「評価料Ⅰ専用届け出様式」のExcelファイルに入力しメールに添付するだけで届け出が完了できるように簡略化されました。また、基本的にメールのみで届出が完了しますが、やむを得ない事情の場合、書面による提出も可能です。
届出の際に必要な書類
・評価料Ⅰ専用届け出様式
従来版様式を用いる場合
・別添2 届出書
・様式95 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
・様式96 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)
・様式97 入院ベースアップ評価料
・(別添)賃金改善計画書
・(別添)賃金引上げ計画書作成のための計算シート
「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」のみを届出する場合は「評価料Ⅰ専用届け出様式」Excelファイルを作成すれば完結します。作成にあたっては、直近1カ月の初・再診料算定回数がわかる資料の参照が必要です。
また、従来版様式を用いて届出する場合には、様式96、97はそれぞれ外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料を届出する場合のみ必要です。
ベースアップ評価料の種類・施設基準・点数
ベースアップ評価料には上記の種類があります。それぞれ対象の医療機関や施設基準、点数など条件は異なります。以下でその違いについて、分かりやすく表にまとめたので参考にしてみてください。
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)
| 対象の医療機関 |
◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) 病院、有床診療所(医科)、無床診療所(医科) |
|---|---|
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◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ) 有床診療所(医科)、無床診療所(医科) |
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| 施設基準 |
◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) ・外来医療または在宅医療を実施している保険医療機関である ・主として医療に従事する職員が勤務している ・令和6年度および令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施しなければならない ・当該評価料は対象職員のベア等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いる ・ 令和6年度に対象職員の基本給等を令和5年度と比較して2.5%以上引き上げ、令和7年度に令和5年度と比較して4.5%以上引き上げた場合には、40歳未満の勤務医、勤務歯科医、事務職員等の職員の賃金の改善(※)を実績に含めることができる ・令和6年度、令和7年度の職員の「賃金改善計画」を作成していること ・労働基準法の遵守 ・対象職員への「賃金改善計画書」や就業規則等の周知 など |
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◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ) ・医科点数表などの入院基本料、同部第三節の特定入院料などの短期滞在手術等基本料を算定していない保険医療機関である ・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行っている保険医療機関である ・ 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)および歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で得られた収入額が、対象職員の給与総額の1.2%未満である ・当該評価料を算定する場合は令和6年度および令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施しなければならない ・ 当該評価料は対象職員のベア等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いること ・ 令和6年度、令和7年度の「賃金改善計画」を作成していること ・常勤換算2名以上の対象職員が勤務していること ・当該保険医療機関において、以下の社会保険診療等に係る収入金額の合計額が総収入の80%を超えること ア 社会保険診療 イ 健康増進法 ウ 予防接種 エ 助産 オ 介護保険法 カ 障害者支援 キ 児童福祉 ク 補助金 ・ 労働基準法の遵守 ・対象職員への「賃金改善計画書」や就業規則等の周知 など |
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| 点数 |
◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ) 1日につき 1 初診時 6点 2 再診時等 2点 3 訪問診療時 イ 同一建物居住者等以外の場合 28点 ロ イ以外の場合 7点 |
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◆外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ) 1日につき 1 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)1 イ 初診又は訪問診療を行った場合8点 ロ 再診時等1点 2 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)2 イ 初診又は訪問診療を行った場合16点 ロ 再診時等2点 3 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)3 イ 初診又は訪問診療を行った場合24点 ロ 再診時等3点 4 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)4 イ 初診又は訪問診療を行った場合32点 ロ 再診時等4点 5 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)5 イ 初診又は訪問診療を行った場合40点 ロ 再診時等5点 6 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)6 イ 初診又は訪問診療を行った場合48点 ロ 再診時等6点 7 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)7 イ 初診又は訪問診療を行った場合56点 ロ 再診時等7点 8 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)8 イ 初診又は訪問診療を行った場合64点 ロ 再診時等8点 |
※賃金改善については、公立病院における人事院勧告に伴う給与の増加分を含めることも可能です。
外来・在宅ベースアップ評価料は、病院や診療所など、外来・在宅診療を行っている保険医療機関が対象です。
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は、(Ⅰ)を算定している医療機関の中でも賃上げが十分にできなかった場合や、特定の条件を満たしている場合に届出可能なものです。
(Ⅰ)は最大28点、(Ⅱ)は最大64点となっています。
参考:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する取扱いについて」
入院ベースアップ評価料
| 対象の医療機関 | 病院、有床診療所(医科) |
|---|---|
| 施設基準 | ・医科点数表などの入院基本料、同部第三節の特定入院料などの短期滞在手術等基本料を算定している保険医療機関である ・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)または歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行っている保険医療機関である ・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)および歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で得られた収入額が、対象職員の給与総額の2.3%未満であること ・当該評価料を算定する場合は令和6年度および令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施しなければならない ・当該評価料は対象職員のベア等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いる ・令和6年度、令和7年度の「賃金改善計画」を作成していること ・常勤換算2名以上の対象職員が勤務している ・当該保険医療機関において、以下の社会保険診療等に係る収入金額の合計額が総収入の80%を超えること 当該保険医療機関において、以下の社会保険診療等に係る収入金額の合計額が総収入の80%を超えること ア 社会保険診療 イ 健康増進法 ウ 予防接種 エ 助産 オ 介護保険法 カ 障害者支援 キ 児童福祉 ク 補助金 ・ 労働基準法の遵守 ・対象職員への「賃金改善計画書」や就業規則等の周知 など |
| 点数 | 1~165点(1日につき) ※区分によって点数が異なる 【区分について】 届出時に見込まれるベースアップ評価料(Ⅰ)による賃金改善率と入院患者数に応じて、届出できる区分(1~165)が決定。 【算出方法】 ① 「対象職員の給与総額×2分3厘 – (外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される点数の見込み)×10 円」÷「当該保険医療機関の延べ入院患者数×10 円」 ② 「①」で算出した値を元に、1〜165の区分が決定。 |
入院ベースアップ評価料は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出をしている病院または有床診療所が算定できるものです。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)で得られた収入額が、対象職員の給与総額の2.3%未満であることが条件です。点数は1~165点で、入院1日につき1回算定できます。
参考:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する取扱いについて」
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)
| 対象の医療機関 |
◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 訪問看護ステーション |
|---|---|
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◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ) 訪問看護ステーション |
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| 施設基準 |
◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) ・主として医療に従事する職員が勤務している ・令和6年度および令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施している ・当該評価料は対象職員のベア等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いる ・ 令和6年度に対象職員の基本給等を令和5年度と比較して2.5%以上引き上げ、令和7年度に令和5年度と比較して4.5%以上引き上げた場合には、事務職員等の職員の賃金の改善(※)を実績に含めることができる ・令和6年度、令和7年度の職員の「賃金改善計画」を作成していること ・労働基準法の遵守 ・対象職員への「賃金改善計画書」や就業規則等の周知 など |
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◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ) ・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)の届出を行っている訪問看護ステーションである ・訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)で得られた収入額が、対象職員の給与総額の1.2%未満である ・当該評価料を算定する場合は令和6年度および令和7年度において対象職員の賃金の改善を実施しなければならない ・当該評価料は対象職員のベア等およびそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費等の増加分に用いる ・令和6年度、令和7年度の「賃金改善計画」を作成していること ・常勤換算2名以上の対象職員が勤務している ・当該訪問看護ステーションにおいて、以下の社会保険診療等に係る収入金額の合計額が総収入の80%を超えること (イ) 社会保険診療 (ロ) 健康増進法 (ハ) 予防接種 (ニ) 助産 (ホ) 介護保険法 (ヘ) 障害者支援 (ト) 児童福祉 (チ) 補助金 ・労働基準法の遵守 ・対象職員への「賃金改善計画書」や就業規則等の周知 など |
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| 点数 |
◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 780円(月1回) |
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◆訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ) 10~500円(月1回)※当該区分は以下の手順で算出。 ①「対象職員の給与総額×医療保険の利用者割合×1分2厘-訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される金額の見込み」÷「訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定回数の見込み」 ②「①」の値に応じて該当する範囲の中で事業所が区分を決定 ・「①が0を超える」訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)1:10円 ・「①が15以上」訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)2:20円 ・「①が475以上」訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)18:500円 |
※賃金改善については、公立病院における人事院勧告に伴う給与の増加分を含めることも可能です。
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)、(Ⅱ)は訪問看護ステーションを対象としたベースアップ評価料です。(Ⅰ)で780円、(Ⅱ)で10~500円それぞれ月1回を限度として算定できます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は(Ⅰ)だけでは賃金改善が不十分な場合に届出し、算定するものです。
厚生労働省 「訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて
【経営者向け】ベースアップ評価料の届出後に必要な手続き
令和7年3月3日までの期間に、すでにベースアップ評価料の届出が完了している医療機関は今年度中に手続きが必要です。手続きの時期と具体的な方法について、以下で詳しく紹介します。
1:前年度分の必要事項を確認する【3〜4月】
| 必要な対応 |
|---|
| ・ベースアップ評価料による収入を集計する(賃金改善を始めた月〜前年度3月までの分) ・賃金改善実績額を計算する(賃金改善後の給与-賃金改善前の給与) |
まず、自院が賃金改善を開始した月〜前年度3月分のベースアップ評価料収入がいくらになるか計算します。次に、この制度によって実際に増加した賃金の「賃金改善実績額」を集計します。基本的に賃金改善後の給与から賃金改善前の給与を引いて計算します。
ただし、賃金改善実績には勤続年数の増加や昇進、業績に連動して引き上がる賞与などで増加した賃金は「ベア等」には含まれません。
2:今年度分の賃金改善計画書を作成・提出する【4〜6月】
続いて、「今年度分」の賃金改善計画書を作成します。集計した昨年度のベースアップ評価料と賃金改善実績額の差額を参考にしながら、必要に応じて今年度分の賃金改善計画を見直して作成できます。昨年度のベースアップ評価料に余りが出ている場合は今年度に繰り越して、今年度分の賃金改善分に使用してください。
今年度分の賃金改善計画書は毎年4月に作成し、提出締め切りは6月末日です。
賃金改善計画書は届出様式のファイルに含まれています。提出は届出と同様に管轄の地方厚生(支)局の専用メールアドレスへ資料を添付し提出します。
3:前年度分の賃金改善実績報告書を作成・提出する【8月】
ただし、令和6年度中にベースアップ評価料の届出をした医療機関は、令和7年8月31日までに前年度分の賃金改善実績報告書を作成し、提出します。令和7年度の4月以降に届出を行った場合は、来年度の8月に「令和7年度分」の賃金改善実績報告書を提出しましょう。
なお、前年度分の賃金改善実績を報告する際は、ベースアップ評価料で得た収入以上に人件費(賃金引上げ)として還元した実績を示す必要があります。万が一不足する場合は、一時金などで対応することが必要です。
厚生労働省のベースアップ評価料特設ページに掲載されている「報告書専用様式」を使うと作成しやすいです。
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紹介したように、ベースアップ評価料を活用することで対象職員の給料を底上げできます。職員の給料が上昇すると離職防止や質の高い職員の獲得につながり、医療機関をよい方向へ導けるでしょう。ただし、手続きの煩雑さや患者さんへの説明などのデメリットがあることも事実です。もしサポートをご希望の場合はソラストへご相談ください。
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