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SOAPとは?経営者が知るべき理由と書き方のコツを分かりやすく解説

公開日/2025.08.21 更新日/2026.02.13

SOAPとは、医療や看護の現場で採用されている電子カルテの書き方の一つです。患者さん情報の整理や的確な情報伝達に役立つメリットがあります。今回は、SOAPの形式を用いる利点や注意点、具体的な例文のOK例・NG例を解説。医療従事者・経営者向けに、記録の質を高めチーム医療を円滑にするポイントも紹介しています。

SOAPとは医療情報を分かりやすく記載する方法

SOAPとは、医療や看護の現場で使われる記録方法のことです。

SOAPとは、患者情報をS(主観的情報)・O(客観的情報)・A(評価)・P(計画)の4項目に整理して記録する手法です。情報を体系的に管理でき、適切な治療計画を立てるために役立ちます。

なお、「Subject(主観的情報)」「Object(客観的情報)」「Assessment(評価)」「Plan(計画)」の頭文字をとって、「SOAP」と呼ばれています。

SOAPを利用することは、現場だけでなく、経営者にとってもメリットがあります。

たとえば、記載ルールが明確になることで、カルテ作成時間が短縮されて業務効率化が図れます。スタッフの負担軽減により質の高い医療サービスへ注力できる環境が整うことは、結果として医院全体の経営改善にもつながるでしょう。

SOAPの項目に記載する具体的な内容と記載例

ここでは、SOAPを構成する4つの情報ごとに具体的な内容と記載例をご紹介します。

Subject(主観的情報)

Subject(主観的情報)は、患者さん自身の言葉や感覚に基づく情報です。たとえば、「お腹が痛い」といった主訴や痛みの度合い、不快感などが含まれます。患者さんが主観的に感じていることを、そのまま記録することが重要です。医療従事者には、患者さんとのコミュニケーションを通じて、情報を正確に聞き取ることが求められます。

【記載例】
【OK】
「昨日よりは息苦しさが少し楽になった気がする」
「咳と黄色い痰はまだ続いている」
「体の節々の痛みはだいぶ和らいだが、まだ起き上がるのがだるい」
「食欲はあまりなく、水分もあまりとれない」

【NG】
熱がありだるそう
あまり食べられていない様子
NG例は記録者の推測が含まれていますが、Subject(主観的情報)の項目には患者さんの言葉をそのまま記載するのが鉄則です。OK例のように「〜気がする」「〜だるい」といった本人の訴えを具体的に記述することで、医療者側の思い込みを排除し、正確な状態把握につなげています。

Object(客観的情報)

Object(客観的情報)は、患者さんの観察や検査を通じて得る、医療従事者視点の客観的なデータです。具体的には、血圧や体温、臨床検査結果といった数値や測定可能な情報が該当します。それぞれのデータは患者さんの主訴(Subject)を裏付け、状態を客観的に評価するための基盤となる重要な情報です。誰が見ても同じ解釈ができるように「事実」を正確に記録します。

【記載例】
【OK】
体温 37.8℃、血圧 130/75 mmHg、心拍数 95回/分、呼吸数 22回/分、SpO2 95%
咽頭扁桃に発赤あり
頸部リンパ節腫脹なし
胸部X線:異常陰影なし
脱水所見:口内乾燥あり

【NG】
バイタルサインは安定している
点滴施行中
NG例の「安定している」といった曖昧な表現は、人によって解釈が異なります。OK例では具体的な数値や観察事実を記すことで、誰が見ても同じ状態をイメージできるように改善されています。数値のような客観的な事実は、診断の根拠にもなるため重要です。

Assessment(評価)

Assessment(評価)は、主観的情報と客観的情報をもとに、患者さんの状態を医学的に評価するプロセスです。医療従事者は得られた情報を総合的に分析・考察して、考えられる診断名や健康状態、問題点を明確にします。患者さんの状態を正確に把握し、次に適切な治療を立てるための重要な基礎です。

【記載例】
【OK】
高熱、倦怠感、関節痛の持続
抗ウイルス薬を開始しているが、まだ解熱には至っていない
現時点で、肺炎などの合併症を疑う所見はない
高熱および経口摂取不良により脱水状態

【NG】
インフルエンザ
脱水
病名の記載は診断結果であり、経過の評価ではありません。OK例では「薬を使用したが解熱していない」「摂取不良により脱水」といった、Subject(主観的情報)とObject(客観的情報)に基づいた思考プロセスを明記しています。現状をどう分析したかを記すことで、次の計画の妥当性が高まります。

Plan(計画)

Plan(計画)は、評価に基づいて具体的な経過観察や治療計画を立てるステップです。薬物療法やリハビリテーション、生活指導など、患者さんの状態に応じた治療法やケアプランを策定し、実行に移します。この治療の方針や計画は、他の医療従事者も共有するため、わかりやすく具体的に記載することが重要です。

【記載例】
【OK】
抗インフルエンザ薬(タミフル)の内服を継続
高熱に対し、解熱鎮痛剤を使用
安静指示
1日1,200mlの経口水分摂取を促す

【NG】
治療を継続する
水分を摂るよう指導する
引き続き注意深く様子を見る
NG例の「指導する」「様子を見る」では、具体的な行動が不明瞭です。OK例のように「薬剤名」「水分量(1200ml)」など、具体的な指示内容や数値を明記する必要があります。誰が担当しても同じケアや治療を再現できるようにすることで、チーム医療の質が担保されるでしょう。

SOAPの書き方を用いる3つのメリット

SOAPの書き方を用いるメリットは、現場の診療レベルだけでなく、医院経営全体にも及びます。ここでは、医療サービスの質向上、経営上のリスク管理、そして業務効率化という3つの観点から、具体的なメリットを解説します。

質の高い医療サービスの提供を目指せる

<SOAPが質の高い医療サービスを支えられる理由>
・情報が混在しない
・誰が読んでもわかりやすい
・状況や課題をスムーズに把握できる

SOAP形式で記録する最大のメリットは、情報の客観性と共有のしやすさです。主観(S)と客観(O)を明確に区別することで、情報が整理され、根拠に基づいた正確な評価(A)へとスムーズにつながります。

また、統一された型で記録を残すため、経験年数や職種を問わず誰が見ても患者の状態を把握しやすいのも特徴です。結果として、スタッフ間の情報共有が円滑になり、チーム全体で一貫性のある質の高い医療を提供できる体制が整います。

保険請求やトラブル対応に強い

正確なカルテ記載は、適正な保険請求の根拠となります。SOAPにより診療プロセスが可視化されていれば、請求漏れや返戻のリスクを減らし、監査時にも診療の正当性を客観的に証明する資料として機能します。

さらに、万が一の医療訴訟やトラブルへの備えとしても有効です。たとえば「見落としがあった」と誤診を疑われた際も、当時の患者の訴え(S)と検査値(O)に基づき、なぜその判断(A)に至ったかという思考プロセスを提示できます。診療の論理的な正当性を客観的に証明できるため、法的なリスク管理の観点からも役立つでしょう。

業務効率化が図れる

記載項目が決まっていることは、現場の迷いを減らし、カルテ作成時間の短縮に直結します。医師や看護師の入力時間が減るだけでなく、内容を確認する医療事務員の作業負担も軽減され、院内全体の業務フローがスムーズになるでしょう。

こうした業務改善は、残業時間の抑制など、長期的な人件費や経営コストの削減にも寄与します。限られたリソースを診療そのものに集中させるためにも、効率的な運用体制の構築は重要です。

SOAPの書き方を用いる3つのデメリット

多くのメリットがあるSOAPですが、一方でいくつかのデメリットや課題も存在します。導入や運用にあたっては、以下の3つの点を理解し、状況に応じて適切に活用しましょう。

医療従事者に浸透させるための教育が求められる

SOAPの書き方を効果的に活用するには、実際にカルテ作成にあたるすべての医療従事者に、書き方のルールを浸透させる必要があります。職場内で、SOAPの目的や具体的な記載方法に関する教育が不可欠です。職員全員が同じレベルで実践できるようになるまでは、継続的な指導が求められます。

救急医療など緊急を要する現場には向かない

SOAPは詳細な情報を整理して記載するのに適していますが、その分、記載に時間がかかるデメリットがあります。緊急を要する救急医療の現場や、突発的な対応が求められる現場では活用が難しいでしょう。とくに、患者さんの状態が急変する可能性がある場合、記録に時間をかけることは現実的ではありません。

複数の症状・疾患がある場合や長期プランの作成には適さない

SOAPは基本的に一つの問題に対し解決策を導き出す構造のため、複数の疾患を抱える患者への対応には不向きです。たとえば、糖尿病と腰痛など複数の症状がある場合、それぞれにSOAPを作成すると情報が重複したり、冗長になったりして、かえって全体像が掴みにくくなる恐れがあります。

また、SOAPは短期的な問題解決に役立つ記録方法のため、長期的な視点が必要なケースに向かない記載方法です。

たとえば、慢性疾患の長期経過や退院後の生活を見据えたケアプランなど、時間の流れに沿った全体的な変化を追う必要がある場面では、情報が断片的になりやすくなってしまいます。

SOAPの書き方を有効活用するポイント【医療従事者向け】

SOAP形式による記録は、患者さんの状態を把握し、チームで情報を共有する重要な手段です。情報共有の質を高めるには、日々の情報収集と的確な分析、そして簡潔な記録が不可欠です。ここではSOAPを形骸化させず、有効活用するためのポイントを解説します。

SOAP形式の書き方をテンプレート化する

SOAP形式による記録方法を有効活用するために、テンプレート化を進めましょう。医療機関全体で周知を行い、標準的な記録方法として浸透させれば、業務効率の向上が期待できます。職員全員が基本の記録方法として認識することで、記載漏れの防止にもつながります。

基礎データの収集・分析と問題点の抽出を徹底する

質の高いSOAP形式の記録は、患者さんの基礎データの把握から始まります。年齢や既往歴、生活背景などの情報を収集・分析し、現在の状態における看護・医学的な問題点を洗い出しておくことが不可欠です。このプロセスを徹底することで的確な評価が行われ、適切な治療・ケア計画の立案につながります。

主観的情報はこまめにメモをしておく

患者さんの主訴(S)は、客観的情報を得るための検査やその後の評価・計画に活かすための極めて重要な情報です。記載漏れを防ぐため、患者さんの言葉はこまめにメモしましょう。

「いつもと違う」「昨日より痛い」などの訴えは、状態変化を捉えて適切な検査や治療方針を決定するための大切な根拠となります。

冗長な表現は避けて簡潔に記載する

SOAPによる記録は、多忙な多職種間で情報を共有する重要なツールです。表現が冗長だと要点がぼやけてしまい、情報の伝達効率を著しく低下させます。チーム内のスムーズな連携を阻害し、誤解を生む原因にもなりかねません。誰が読んでもわかるように、無駄を省いて要点を押さえた簡潔な記述を心がけましょう。

SOAPの活用のために医療機関経営者ができること

SOAP形式の記録は、医療の質と業務効率化に直結します。現場で活用し定着させるためには、経営層による戦略的なサポートが不可欠です。ここでは、活用ルールの明確化、研修体制の強化、外部リソースの活用など、経営者が主導できる具体的な施策を解説します。

SOAPの書き方を活用するケースを明確に決めておく

SOAPを効果的に活用するため、どのケースで使用するかをあらかじめ決めておきましょう。たとえば、複数の医療スタッフが関わるケースなど、とくに情報共有と問題解決が重要な場面で用いると効果を発揮します。

使用場面を統一することで、スタッフは迷わず記録でき、チーム全体でスムーズな情報共有と一貫したケアの実践ができるでしょう。

医師事務作業補助者等への研修体制を強化する

医師の負担軽減と質の高い記録のため、電子カルテの代行入力を行う医師事務作業補助者の役割は重要です。医師事務作業補助者に対する、SOAPの構造や目的を学ぶ研修を充実させましょう。

医師や看護師と共通認識を持つことで、代行入力の精度が向上し、チーム連携が円滑になります。結果として、医師の負担軽減と現場の業務効率化にもつながるでしょう。

外部受託や人材派遣・紹介サービスを活用する

院内で医師事務作業補助者の育成や研修体制を整えるのが難しい場合、アウトソーシングも有効な選択肢です。専門スキルを持つ人材を外部から確保することで、教育コストを抑えつつ即戦力を導入できます。

ソラストでは、専門教育を受けたスタッフによる「医事関連受託サービス」や「人材派遣・紹介サービス」を提供しています。質の高い医療事務体制の構築を支援します。

SOAP導入で業務効率化や医療の質向上を目指そう

SOAP形式の導入は、診療の質の向上だけでなく、適正な請求やリスク管理、業務効率化による経営改善にも大きく貢献します。現場への定着には教育コストがかかりますが、医師事務作業補助者の導入やアウトソーシングを上手く活用することで、スムーズな体制構築が可能です。

自院だけでの教育や運用に不安がある場合は、実績豊富なプロの力を頼るのも一つの手です。

ソラストでは、「医事関連受託サービス」や「人材派遣・紹介サービス」などを展開しています。医療機関の経営者さまやクリニック開業医さまの状況に合わせた適切な支援の提供が可能です。業務効率化や院内業務の整備、人材確保については、ぜひソラストにご相談ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。
監修者:櫻井 寛司
医療法人の理事・理事長補佐として経営管理、財務、人事・労務、医師採用まで幅広く統括。 介護保険制度の開始当初から訪問介護・看護・リハ、デイケア、介護医療院など多様な医療・介護サービスの運営に携わる。 地域包括支援センター管理者や有料老人ホームの経営顧問も務め、地域医療・介護の体制づくりに貢献。 日本医療機能評価機構のサーベイヤーとして医療の質向上に取り組むほか、三次救急での臨床経験とMBAを背景に、実務と学術の両面から医療経営や介護制度に関する専門的な提言を行う。 2025年有限会社ラピモルト設立 代表に就任 医療福祉経営支援・研修支援会社 顧問先5社 2025年財団法人 IGP協会 理事

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