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クリニックの平均患者数は?安定経営のために行うべき対応を解説

公開日/2025.10.10 更新日/2026.03.24
目次

クリニック経営者さまの中には、自院の患者数が適正であるか気になる方も多いでしょう。患者数は収益に影響を与える要素ですが、今後は単なる患者数の増加だけでなく、クリニックの機能や役割に着目した対応が求められます。本記事では、クリニックの一般的な平均患者数に加え、安定経営に求められる取り組みを紹介します。

クリニックにおける平均患者数

クリニックにおける1日の平均患者数は、「外来患者総数÷無床診療所の総数÷営業日数」で算出できます。令和5年の医療施設調査によると、全国の無床診療所における外来患者数は8,576万4,808人、無床診療所総数は9万9,253件です。

月あたりの外来診療日数を21日(週5日)〜25日(週6日)と仮定すると、1日あたりの平均患者数は約34〜41人です。目安として、1日40人前後の患者数を目標にするとよいでしょう。

ただし、患者数を増やすことだけで経営安定につながるわけではありません。診療報酬改定や2030年に向けた地域医療構想など、今後の制度改定や政府の動向を踏まえると、別の視点から施策を練っていく必要があります。あくまでも患者数は「目安」と捉え、今後を見据えた経営の在り方を考えていきましょう。

参考:e-Stat「医療施設調査 令和5年医療施設(静態・動態)調査 全国編 第147表 一般診療所の患者数,診療科目(単科)・病床の有無別」

参考:e-Stat「医療施設調査 令和5年医療施設(静態・動態)調査 全国編 第142表 一般診療所数(重複計上),開設者・診療科目・病床の有無別」

患者数や1日あたりの診療単価による売上の違い

売上 = 1日の患者数×1日あたりの診療単価×診療日数

クリニックの売上は、上記の計算式で成り立ちます。ここから、職員の給料や必要経費を差し引いた分が実際のクリニックの収入です。

1日あたりの診療単価は「1日あたりの診療報酬点数×10円」で求められます。厚生労働省の資料(※)によると、クリニックにおける1日あたりの診療報酬点数は734.7点で、診療単価は約7,347円です。

これをもとに、シミュレーションした結果は以下のとおりです。1日あたりで見れば大きな数字ではないものの、1カ月・1年で考えると収益の差は大きくなります。

ただし、クリニックにおける1日あたりの診療報酬点数は、クリニックの診療科目や診療内容によって大きく変動します。手術を行う診療科の場合、通常の外来診療のみを行う場合などによって、1日あたりの診療単価は大幅に変わるため、自院の平均から算出するとよいでしょう。

【患者数や1日あたりの診療単価の違いによる収益計算例】
1日の患者数40人、1日あたりの診療単価7,347円
診療日数23日の場合
40人×7,347円×23日=6,759,240円
から1日あたりの診療単価が+1,000円になった場合 40人×8,347円×23日=7,679,240円(+920,000円/月の増加)
から患者数が+5人になった場合 45人×7,347円×23日=7,604,145円(+844,905円/月の増加)

参考:厚生労働省「令和6年社会医療診療行為別統計の概況」

※1日あたりの診療単価は平均値を使用しています。診療科目や診療内容により、数値は大きく変動します。

クリニックの患者数が伸び悩む主な要因

クリニックの患者数が増えない要因として、どんなことが考えられるでしょう。ここでは、地域への認知不足や集患対策の不備、患者さんのリピート率の低さ、立地や周辺環境の問題という3つの要因を詳しく紹介します。

地域への認知や集患対策ができていない

地域への認知が不足していたり、集患対策が十分に機能していなかったりすると、患者さんは集まりません。周辺住民にクリニックの存在や診療内容が知られていなければ、そもそも受診先の選択肢として検討されないでしょう。

また、情報発信を行っていても、想定する患者層のニーズとずれていれば来院にはつながりにくいです。まずは「誰に、何を伝えるのか」を整理し、地域の患者さんに自院の強みや特徴が正しく伝わっているかを改めて見直すことが、集患改善の第一歩となります。

◎解決に向けた考え方
・WebサイトやSNSを活用し、診療内容やクリニックの特徴を分かりやすく発信する
・地域イベントや健康相談会などに参加し、住民との接点を増やす

患者さんのリピート率が低い

新規患者さんの来院があっても、再診につながらなければ患者数は安定しません。リピート率が低い背景には、診療内容への不満だけでなく、待ち時間の長さや通院のしづらさなど、日常的な負担が影響しているケースも考えられます。

患者さんに「これからも通いたい」と感じてもらうためには、かかりつけ医として信頼関係を築くことが重要です。診療の質を高めることはもちろん、丁寧な説明やスタッフの対応、待ち時間の短縮など、患者さまの視点に立った来院環境の改善が、安定した患者数の確保につながります。

◎解決に向けた考え方
・患者対応や診療フローを見直し、満足度向上につなげる
・通院や再診を負担に感じさせない仕組みを整える

立地や周辺環境に問題がある

クリニックの立地や周辺環境も、患者数に大きく影響する要素の一つです。アクセスが悪い、駐車場が使いづらい、近隣に同じ診療科目のクリニックが多いといった条件は、来院のハードルを高めてしまいます。患者さまは通いやすさを重視して医療機関を選ぶ傾向があるため、立地条件は新規来院だけでなくリピート率にも直結すると考えられます。

まずは、現在の環境にどのような不利があるのかを整理し、その中で診療時間の工夫や案内の改善など、取れる対策を検討することが重要です。

◎解決に向けた考え方
・自院ならではの強みや特徴を明確にし、他院との差別化を図る
・アクセス面の課題を補う施策や案内を検討する

患者数だけで判断はNG!クリニック経営者に今後求められる対応

患者数は売上に影響を与える要素の一つですが、安易に患者数や頻回受診を増やすだけの取り組みは推奨されません。ここでは、医療業界の制度改定や国の取り組みなどの観点から、今後のクリニック経営に本当に求められる考え方や対応を紹介します。

2026年診療報酬改定や地域医療構想の取り組みによる影響

2026年6月の診療報酬改定では、医療機関の機能分化と役割の明確化が進められる方針です。物価高への対応として、物価対応料の新設や再診料の引き上げが決定しましたが、初診料は据え置かれ、評価に差が生じています。

加えて、「頻回受診の抑制」「患者自己負担の増加」「OTC類似薬の自己負担」などの論点から、外来機能の在り方も見直しが進められる想定です。

また、2030年に向けて進められる地域医療構想の取り組みにおいても、医療機関の機能に着目した役割分担が進められていきます。これらの見直しにより、単価の低さを補うために通院回数を増やす従来型の経営は今後さらに厳しくなっていくでしょう。

今後クリニックに求められる機能・役割

今後、クリニックには「慢性疾患の管理」や「かかりつけ医機能の強化」といった役割が中心に求められます。

また、現状は外来患者数が減少傾向にあり、地域医療構想の下では「在宅医療」の比重も高まっています。このような中で、クリニックには、急性期治療が終わった方々に対して慢性疾患を外来で管理することが求められていきます。外来患者数を補うために、在宅医療を強化していくことも必要でしょう。

クリニック経営者が行っていくべき取り組み

今後は、単純に「患者数を増加させる」だけでは増収できず、「頻回受診」と判断されてかえって査定減につながる恐れがあります。よって、「1日の患者数を増やす」よりも「紹介による初診患者さんを集め、診療圏を広げていく」視点が欠かせません。単に患者数や通院回数を増やすのではなく、上部の専門病院から初診患者さんを紹介してもらう体制づくりが必要です。

加えて、慢性疾患管理とかかりつけ医機能の強化を通じて患者さんとの信頼関係を築き、薬や物理療法だけに依存しない継続的な診療を行うことや、必要なときにスムーズに相談できる体制を整えることなどが求められます。

また、クリニックの利益率が高いことも指摘されており、圧縮の方向で今後の改定が行われる方針です。マイナンバーカードの利用により、患者さんの受診行動や診療内容がデータで把握されるため、政府の目線での改善が行われていきます。この視点も重視しながら、今後の運営方針を根本的に考えていく必要があるでしょう。

クリニック経営者必見!患者さんに来てもらうための6つの方法

今後のクリニック経営では、単純に患者数を増やすだけで収益増加が見込めるわけではありません。しかしそれでも、患者さんに自院を知ってもらい、患者さんにとって通院しやすい環境を整えていく取り組みは大切です。

ここでは、患者さんに来てもらいやすくするための具体的な取り組みを6つ紹介します。自院の課題を正しく見極め、優先順位をつけて取り組むことで、無理のない形で進めていきましょう。

クリニックのホームページを開設する

現在、多くの患者さんがインターネットで情報を収集しているため、クリニックのホームページ開設は必須です。わかりやすく見やすいデザインで、診療時間やアクセス、診療内容などの基本情報はもちろん、医師やスタッフの紹介、院内の写真を掲載することで、患者さんに安心感を与えられます。

また、患者さんが診療予約を行う「予約ページ」の使いやすさにも配慮することで、患者満足度向上に役立てられるでしょう。

ホームページの情報が更新されず、古い情報を載せたままでは信頼性を損ないます。ホームページは定期的なメンテナンスを行い、最新情報を掲載するようにしましょう。

SEO対策やMEO対策を行う

患者さんに知ってもらうためには、SEO対策に加えてMEO対策にも取り組むことが効果的です。SEOはホームページを検索結果で上位表示させる施策で、MEOはGoogleマップ上で自院を目立たせる対策を指します。地域名+診療科名で検索する患者さんに見つけてもらいやすくなるため、Googleビジネスプロフィールへの登録は欠かせません。

診療時間や住所、電話番号、診療内容を正確かつ最新に保ち、院内写真や投稿機能の活用、口コミへの丁寧な対応を行うことで、信頼性向上と来院促進につながります。

SNSマーケティングを行う

Instagram・X(旧Twitter)などの各種SNSを活用し、クリニックの情報発信を行うのも有効です。自院の日常や医療情報などを定期的に発信し、クリニックの個性や魅力を伝えて認知度向上を図ります。SNSは患者さんとのコミュニケーションを促進し、親近感や信頼関係の構築にも役立つでしょう。

ポータルサイトを活用する

医療機関を紹介するポータルサイトは、来院意欲の高い患者さんが医療機関を検索する際に利用するプラットフォームです。クリニック情報を掲載することで、より多くの患者さんに知ってもらう機会が増えます。

とくに、地域や専門分野に特化したサイトは効果的です。診療時間やアクセス、医師の専門性を具体的に記述し、写真も豊富に掲載して患者さんの興味を引きましょう。定期的に情報を更新することも重要です。

オフラインの広告活動を実施する

デジタルマーケティングに加え、オフラインの広告活動も効果的です。地域新聞やフリーペーパーへの広告掲載、看板設置は、近隣住民にクリニックの存在を知ってもらうチャンスです。

また、地域イベント協賛や健康セミナーの開催は、地域住民と直接接点を持てる貴重な機会です。オンラインとオフラインの両面からアプローチし、クリニックの存在感を高めて広範な層への集患を目指しましょう。

リピート率を高める取り組みを行う

かかりつけ医機能の強化のために、リピート率を高める取り組みが欠かせません。

マーケティングの世界には「1:5の法則」と呼ばれる考え方があり、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する約5倍のコストがかかるとされています。これはクリニック経営にも当てはまる考え方です。

かかりつけ医としての機能を強化させるために、治療の質だけでなく、診療内容のわかりやすい説明、スタッフの丁寧な対応、待ち時間の短縮など、来院から会計までを含めた患者体験全体の質を高めることが重要です。

ただし、単純な頻回受診の増加は査定減を招く恐れがあるため、注意しましょう。

・わかりやすい診療説明と質の高い医療を提供する
・次回予約をその場で案内し、通院のハードルを下げる
・オンライン予約システムやWeb問診を導入し、待ち時間や手間を軽減する
・問診票やアンケートを活用し、患者さんの声や来院動機、改善点を把握・分析する

増患対策とあわせて見直したいクリニックの運営体制

増患対策を進める際には、集患施策だけでなく、クリニックの運営体制そのものを見直すことも重要です。患者さんの満足度向上のためにも、ぜひ参考にしてください。

業務効率化に必要なツールを導入する

・電子カルテ
・電子処方箋
・予約管理システム
・Web問診システム
・オンライン診療予約システム

医療DXの基盤となる業務効率化ツールの導入は、「業務効率化」「医療の質向上」「働き方改革」に貢献します。たとえば、電子カルテや電子処方箋、予約管理システムなどは事務作業を減らし、スタッフが患者対応に集中できる環境を整えます。

電子カルテや電子処方箋、予約管理システムに加え、Web問診やオンライン診療予約システムを導入することで、受付や問診対応の負担を軽減し、待ち時間の短縮や診療の円滑化につながるでしょう。患者さんにとっての「通院しやすい環境」を整える取り組みが欠かせません。

とくにWeb問診は、来院前に患者情報を入力してもらえるため、診察の質向上や回転率改善に効果的です。また、診療予約システムと連携することで、無断キャンセルの防止や予約枠の最適化も期待できます。ツールを選定する際は、使いやすさやコストパフォーマンス、サポート体制、セキュリティなどを考慮し、自院の規模や運営方針に合ったものを選びましょう。

業務フローの定期的な見直しを行う

現在ある業務フローやマニュアルは、定期的に見直し、状況に合わせて改善が必要です。業務効率化ツールの導入と合わせて、コストカットできる点は積極的に探しましょう。

たとえば、ペーパーレス化による資材費削減や、電子カルテ・オンライン予約システムの導入による手作業の削減などが挙げられます。受付から会計までの患者導線を見直すことで、待ち時間の短縮やミス防止にもつながります。

現場スタッフの意見を取り入れながら改善を進めることで、より効率的な運営を実現できるでしょう。

スタッフの教育体制・採用を強化する

具体的なスタッフの教育方法
・医療事務向けのスキルアップ研修・定期勉強会を実施する
・電子カルテや予約管理システムなど、医療DXツールの操作研修を行う
・接遇・コミュニケーション研修で患者対応力を高める

円滑なクリニック運営を実現するためには、スタッフの教育体制や育成環境を整えることが欠かせません。どれだけ最新の医療機器やシステムを導入しても、医療事務やスタッフが十分に使いこなせなければ、業務効率の向上や待ち時間の短縮にはつながりにくいでしょう。患者さんにとっての「通院しやすさ」にも影響を与えます。

そのため、最新の医療知識や制度への理解に加え、電子カルテや予約システムを効果的に活用するための研修や、業務改善につながるスキルアップ支援が重要です。また、接遇やコミュニケーション力の向上は、患者満足度やかかりつけ医としての機能強化にも直結するため、継続的な教育とフォロー体制を構築することが求められます。

なお、医療事務スタッフの教育やスキルアップを効率的に進めたい場合は、eラーニングを活用した研修サービスを取り入れるのがおすすめです。ソラストでは、スマホで簡単に学べるe-ラーニング「テラススタジオ」や、病院・クリニックさま向けの従業員教育サービスを提供しています。

クリニックの患者数に関するよくある質問

ここでは、クリニックの患者数に関する疑問をQ&A形式で解説していきます。お悩みの病院経営者さまや開業医さまは、ぜひ参考にしてください。

Q. クリニックの患者数は、1日何人いれば「多い」と判断できますか?

A.明確な基準はありませんが、平均を考慮すると1日60人以上いれば「多い」と判断できるでしょう。

クリニックの患者数が「多い」と判断できる基準は一律ではありませんが、全国平均が1日30〜40人程度とされていることを踏まえると、1日60人以上来院していれば比較的多い水準といえます。ただし、診療科目やスタッフ体制、診療時間によって適正な患者数は異なるため、自院の処理能力や収支バランスを考慮して判断することが重要です。

Q. 内科クリニックでは、1日40人の患者数は少ないですか?

A.全国平均と比べても標準的な範囲であり、決して少なくはありません。

内科クリニックにおいて1日40人という患者数は、決して少なすぎる水準ではありません。全国平均と比べても標準的な範囲といえ、診療体制や患者単価によっては十分に安定経営を目指せます。ただし、生活習慣病などの再診患者さんが多い内科では、60人前後を目標とするケースもあり、自院の診療内容に応じた判断が重要です。

Q. クリニックの患者数が減少している場合、まず確認すべきポイントはどこですか?

A.安易に患者数を増やすことだけではなく、今後クリニックに求められる役割や機能から取り組むべき課題を確認していくことが重要です。

クリニックの患者数が減少している場合、患者数を増やすための取り組みを優先してしまいがちですが、今後は受診回数を増やすだけでは経営安定につながりにくくなっていきます。

よって、診療報酬改定や地域医療構想など国の施策・取り組みの動向を踏まえつつ、慢性疾患の管理やかかりつけ医機能の強化といった側面から、取り組みを進めていくことが重要です。

適切な集患対策と運営体制見直しで安定経営を目指そう

クリニックの平均患者数は診療科や立地で変動しますが、集患できない要因は認知不足やリピート率の低さ、立地問題などが挙げられます。また、今後クリニックを安定して経営していくためには、クリニックに求められる機能・役割を理解し、患者さんと信頼関係を構築していくことが欠かせません。多角的なアプローチで安定経営を目指しましょう。

ソラストは、医療機関経営支援サービスや医事関連受託サービス、医事関連人材派遣・紹介サービスなど、多数のサービスを展開しております。クリニック開業医さまの状況に合わせた支援をご提供いたします。ぜひ一度ソラストにご相談ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。
監修者:櫻井 寛司
医療法人の理事・理事長補佐として経営管理、財務、人事・労務、医師採用まで幅広く統括。 介護保険制度の開始当初から訪問介護・看護・リハ、デイケア、介護医療院など多様な医療・介護サービスの運営に携わる。 地域包括支援センター管理者や有料老人ホームの経営顧問も務め、地域医療・介護の体制づくりに貢献。 日本医療機能評価機構のサーベイヤーとして医療の質向上に取り組むほか、三次救急での臨床経験とMBAを背景に、実務と学術の両面から医療経営や介護制度に関する専門的な提言を行う。 2025年有限会社ラピモルト設立 代表に就任 医療福祉経営支援・研修支援会社 顧問先5社 2025年財団法人 IGP協会 理事

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