レセコンとは?できること・電子カルテとの違い・医療DXへの対応を解説
「レセコンでは具体的に何ができるのか」「電子カルテとは何が違うのか」と疑問を感じている医療事務担当者や事務長もいるでしょう。
レセコンは、診療内容をもとに診療報酬点数を計算し、レセプトの作成・請求や患者会計などを支援する医療機関の基幹システムです。近年は電子カルテとの連携だけでなく、オンライン資格確認や電子処方箋など医療DXへの対応も重要になっています。
一方、システムを導入しているだけで適正な請求が保証されるわけではありません。
診療報酬改定後の設定確認や請求前の点検、返戻・査定の分析など、院内での継続的な管理も必要です。本記事では、レセコンの特徴や電子カルテとの違い、2026年度診療報酬改定や医療DXを踏まえて求められる対応などを詳しく解説します。
レセコンとは
レセコンは、正式には「レセプトコンピューター」と呼ばれ、病院・クリニックの医療事務で広く利用されています。
まずはレセコンが担う役割や仕組み、電子カルテとの違いについて解説します。
レセコンが担う役割と仕組み
レセコンは、患者の診療内容や処置、投薬などの情報をもとに診療報酬点数を計算するシステムです。算定した内容から患者の自己負担額を算出し、保険者へ診療報酬を請求するためのレセプトを作成するのも、レセコンの役割です。
診療報酬には算定条件や回数制限など複雑なルールが定められているため、レセコンの活用により、診療報酬計算やレセプト作成にかかる医療事務担当者の負担を軽減できます。また、多くの製品には入力内容や算定内容を確認する機能があり、請求前のチェックにも活用可能です。
電子カルテとの違い
電子カルテとレセコンの違いは、主に記録・管理する情報と使用目的です。電子カルテは、患者の問診内容や診察所見、検査、処置、処方などの診療情報を記録・管理します。
一方、レセコンは診療情報をもとに診療報酬を計算し、患者会計やレセプト請求へつなげるシステムです。主な利用者にも違いがあり、電子カルテは医師・看護師などの医療従事者、レセコンは医療事務スタッフが中心です。
両システムを連携すれば、電子カルテへ入力した診療内容をレセコン側へ反映できるため、二重入力や転記ミスを減らせます。
製品には、電子カルテとレセコンが一体化したタイプと、別々のシステムを連携させるタイプがあります。また、レセコンの運用形態は、インターネット経由で利用する「クラウド型」と、院内にサーバーを設置する「オンプレミス型」が代表的です。
導入・保守方法や費用、通信環境への依存度などが異なるため、自院の運用環境に合わせて選ぶ必要があります。
レセコンで対応できる主な業務
レセコンはレセプト作成だけでなく、診療報酬の計算や患者会計、帳票発行、請求データの管理など、幅広い医事業務を支援します。
ここでは、医療機関で一般的に利用されているレセコンの主な機能を紹介します。
診療報酬点数の計算
レセコンに診察・検査・処置・投薬などの情報を入力すると、登録された診療報酬マスタをもとに点数が算出されます。製品によっては、入力した診療内容に応じて算定可能な項目を提示・判定する機能も搭載されています。
診療報酬改定時には点数の変更に合わせてマスタが更新されるため、最新の内容が正しく反映されているか確認が必要です。また、自動計算された結果だけに頼らず、回数制限や併算定の可否、施設基準など、自院に関係する算定要件も確認しましょう。
患者負担額の計算・会計
レセコンでは、診療報酬点数と患者の保険資格・負担割合などをもとに、窓口で支払う患者負担額を計算できます。初診時に登録した患者情報や保険情報を管理し、再診時の受付・会計に利用できる点も特徴です。診察終了後の会計情報をすばやく確定できるため、窓口業務の効率化や患者の待ち時間短縮にもつながります。
また、自動精算機と連携できる製品では、会計データを受け渡し、支払いまで自動化できる場合があります。ただし、保険資格や公費情報の登録に誤りがあると、患者負担額にも影響するため、正確な会計処理につなげるためにも、受付時の登録情報確認を徹底しましょう。
レセプトの作成・点検
レセコンでは、患者情報や傷病名、診療行為、薬剤、医療材料といったデータを管理できます。製品によっては、算定回数や傷病名との整合性、入力漏れなどのチェック機能を活用すると、返戻・査定につながる可能性のある項目を確認できます。
一方、医学的な妥当性や複雑な算定要件まで、レセコンだけで完全に判断できるわけではないため、診療録とレセプトの内容を照合する作業も必要です。レセプト査定の主な理由や返戻との違いについては、以下の記事も参考にしてください。

処方箋や各種帳票の発行
レセコンには、患者会計に必要な領収書や診療明細書などを発行する機能があります。院外処方をおこなう医療機関では、医師が入力した処方情報をもとに、処方箋の印刷・出力を支援できる製品もあります。
電子カルテと連携している場合、医師が入力した処方内容を会計や帳票作成へ反映できるため、転記や手書きによる作業の削減が可能です。ただし、領収書・診療明細書などの発行機能や処方箋の出力方法、電子処方箋への対応状況は製品によって異なります。
導入・運用時には、自院で必要な帳票や機能に対応しているか確認しましょう。
請求・患者データの管理
レセコンでは、過去のレセプトや請求履歴を確認できるため、返戻・査定への対応や再請求にも活用できます。電子カルテと連携すれば、診療情報と請求情報の二重入力を減らし、データの不一致を防ぐうえでも有効です。
また、蓄積した請求データは、診療報酬改定前後の収益比較や算定状況の分析にも利用できます。なお、レセコンで取り扱うデータには個人情報や診療情報が含まれるため、アクセス権限の設定やデータのバックアップなど、セキュリティ対策も欠かせません。
2026年度診療報酬改定・医療DXでレセコンに求められる対応
2026年度診療報酬改定では、医療DXの推進が引き続き重視されており、レセコンにも改定内容の反映や院内外のシステムとのデータ連携が求められます。「医療DX推進体制整備加算」「医療情報取得加算」が廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されました。オンライン資格確認や電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスなどへの対応状況も確認が必要です。
ここでは、2026年度診療報酬改定と医療DXを踏まえ、レセコン運用で確認したい主な対応を解説します。
診療報酬改定に合わせてシステムを更新する
診療報酬改定では、点数の変更に加え、算定項目の新設・廃止や算定要件の変更も発生します。レセコンも改定内容に合わせて、点数マスタや医薬品マスタ、材料マスタなどの更新が必要です。
改定前には、メーカーや保守業者による対応、自動更新、手動更新など、自院のレセコンがどのような方法・タイミングでアップデートされるのか確認しておきましょう。また、システムのアップデートが完了しても、自院の施設基準や届出状況に応じた個別設定まで自動で更新されるとは限りません。改定後に発出される通知や疑義解釈によって運用が変わる場合もあるため、施行後も継続した確認が必要です。
更新後はテスト入力をおこない、算定から患者会計、レセプト出力まで正しく反映されているかを確認します。
医療データを連携できる環境を整える
医療DXの推進に伴い、特定のベンダー内だけで完結する仕組みから、異なるシステム間でも医療情報を共有しやすい環境への移行が進められています。電子カルテやレセコンに蓄積されたデータを標準化すれば、システムの変更やほかのサービスとの連携を進めやすくなります。そのため、レセコンを長期間利用する場合は、現在利用できる機能に加え、今後の標準化やデータ連携への対応状況も確認が必要です。
対応時期や連携できるシステムはベンダーによって異なります。自院で利用している製品のロードマップを確認するとともに、将来的なシステム変更も見据えて、データを保存・移行できる形式まで把握しておきましょう。
オンライン資格確認・電子処方箋と連携する
医療DXの進展に伴い、レセコンではオンライン資格確認や電子処方箋など、院外のシステムと情報を連携する場面が増えています。オンライン資格確認では、取得した患者の資格情報を受付・請求業務へ反映できます。最新の資格情報を確認できるため、資格情報の誤りによる返戻を防ぐうえでも有効です。
また、電子処方箋を利用する際は、電子カルテやレセコンなど院内システムとの適切な連携が必要です。複数のシステムで患者情報や診療情報をやり取りするため、設定に不備があると情報の不一致や業務停止につながる可能性があります。
新たな医療DXサービスを導入する際は、ベンダーへ連携方法や必要な改修、運用開始時期を確認しておきましょう。
医療情報を守るためのセキュリティを強化する
レセコンでは機密性の高い情報を取り扱うため、適切なセキュリティ対策が欠かせません。院内ネットワークで運用している場合も安全とは限らず、端末やネットワーク、バックアップなど複数の面から対策する必要があります。サポートが終了したOSやソフトウェアは脆弱性が残るため、使用環境も定期的に確認しましょう。
クラウド型・オンプレミス型のいずれも、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿ったシステム・運用・組織面での対策が必要です。また、障害やサイバー攻撃によって電子カルテが利用できなくなった場合に備え、代替手順をあらかじめ定め、院内で共有しておくことが重要です。
あわせて、データのバックアップや復旧手順、緊急時の連絡先も整理しておきましょう。
参考:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)」
レセコンを適切に運用するためのポイント
レセコンには診療報酬の算定やレセプト点検を支援する機能があるものの、適正な診療報酬請求につなげるには、システムの設定と人による確認を組み合わせる必要があります。
ここでは、日常の請求業務で押さえておきたいポイントを確認しましょう。
診療報酬改定後は設定・マスタまで点検する
診療報酬改定後は、新設・変更・廃止された診療行為や加算がレセコンへ正しく反映されているか確認します。点数マスタだけでなく、医薬品マスタや材料マスタ、公費関連マスタなども最新の状態になっているか点検が必要です。施設基準や届出が必要な項目については、自院の届出状況とレセコン上の算定設定が一致しているかも確認しましょう。
また、改定後に発出される通知や疑義解釈によって運用が変更された場合は、レセコンの設定に加えて院内の入力方法も見直します。更新後には実際の診療を想定したテスト入力をおこない、会計からレセプト出力まで正しく処理されるか確認することが重要です。テスト入力では、新基準に沿った入力が漏れなくおこなわれているかを重点的に確認しましょう。
請求前に診療録とレセプトを照合する
レセプトを提出する前に、傷病名や診療行為、薬剤、医療材料、算定回数などが診療録の内容と一致しているか照合します。レセプトチェックシステムで確認した後、医師がおこなった診療と医療事務担当者が入力した請求内容に相違がないかを目視で確認すると効率的です。
年齢要件や回数制限、併算定の可否など、レセコンの自動チェックだけでは判断しにくい算定要件もあります。患者の保険資格や公費情報など、請求先に関するデータにも誤りがないか確認が必要です。エラーや確認メッセージが表示された際はそのまま解除せず、必ず原因を確認したうえで対応します。
医療事務担当者だけで判断できない場合は、医師や関係部門へ確認しましょう。
返戻・査定の傾向を定期的に分析する
返戻・査定が発生した場合は、対象のレセプトを確認し、資格情報や傷病名、算定項目、薬剤、医療材料など原因別に整理します。特定の診療科や医師、診療行為、入力担当者などに誤りが集中していないかを確認すると、改善すべき箇所を把握しやすくなります。件数だけでなく、返戻率・査定率・減点額・再請求による回収額なども継続的に把握することが重要です。同じ誤りが繰り返されている場合は、入力時のチェック方法やセット登録、院内マニュアルなどを見直します。
分析結果は医事課内だけにとどめず、必要に応じて医師・看護師・薬剤師などの関係職種にも共有しましょう。
システムと医療機関の役割を理解して算定ルールを共有する
レセコンは医学的な妥当性まで判断する機能ではないため、診療報酬点数表や通知、疑義解釈、施設基準などを確認し、自院に関係する算定ルールを整理する必要があります。レセコンによる計算・チェックと、医師や医療事務担当者による確認の役割を分け、両方を組み合わせて適正な請求につなげます。
改定内容や院内ルールを関係職種へ共有し、スタッフへの教育をおこなって入力・確認方法を統一しましょう。ルールから外れることがあった場合には速やかな確認が必須です。
なお、診療報酬の算定ルールを確認する際は、必要な情報へすぐにアクセスできる環境を整えておくのも有効です。ソラストでは、診療報酬算定に関する疑問を手軽に検索・確認できる診療報酬算定ナレッジアプリ「solabell」を提供しています。
算定業務の効率化や院内での知識共有に、ぜひご活用ください。
問い合わせ・サポート体制を決めておく
レセコンの操作方法やマスタ更新、エラー、オンライン請求など、問い合わせ内容ごとに院内の担当者を決めておきます。ベンダーの受付時間や連絡方法、緊急時の問い合わせ先も、スタッフがすぐに確認できる状態にしておきましょう。
障害が発生した際は、発生日時やエラー画面、直前におこなった操作などを記録すると、ベンダーへ状況を正確に伝えやすくなります。問い合わせ内容と回答も院内で共有し、同じ操作ミスや問い合わせの繰り返しを防ぐ仕組みが必要です。
また、レセコンが停止した場合に備え、受付・診療・会計を継続するための代替手順や、復旧後の入力方法まであらかじめ決めておきましょう。
この記事の著者
株式会社ソラストは、1965年に医療事務の教育機関として創業した、
医療事務の教育と、医療機関向けの医事業務受託・人材サービスを手がける会社です。
(グループ社員約30,000人)
始まった会社です
- 1965年創業
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- 約1,400の医療機関
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