診療報酬請求事務能力認定試験とは?廃止理由・関連資格・勉強方法を解説
「診療報酬請求事務能力認定試験はどのような資格?」「廃止された現在、医療事務資格を取るなら何を選べばいい?」と疑問を感じている人もいるでしょう。
診療報酬請求事務能力認定試験は、レセプト作成や診療報酬請求に関する専門的な知識・技能を認定する医療事務資格でした。ただし、2025年12月の第63回試験を最後に試験事業は終了しており、現在は新たに受験できません。本記事では、診療報酬請求事務能力認定試験の内容や合格率・難易度、廃止の経緯を解説します。
現在取得できる医療事務資格や関連資格、資格選びのポイント、独学・通信講座・通学の違いも確認して、自分に合った次の選択肢を見つけましょう。
診療報酬請求事務能力認定試験とは
まずは、診療報酬請求事務能力認定試験終了前の試験内容や合格率・難易度、廃止された背景について解説します。
診療報酬請求事務能力認定試験の試験内容
診療報酬請求事務能力認定試験は、公益財団法人日本医療保険事務協会が実施していた全国一斉統一試験で、診療報酬請求事務に従事する人の資質向上を目的としていました。受験時には医科または歯科を選択し、学科試験とレセプト作成を中心とする実技試験に取り組みます。
学科では、医療保険制度や公費負担医療制度、診療報酬、薬価基準、医療用語、医学・薬学、医療関係法規、介護保険制度などが出題されました。また、実技では診療内容などの情報を読み取り、診療報酬のルールに沿ってレセプトを作成する能力が問われました。
資料の持ち込みが認められており、診療報酬点数表から必要な情報を探し、レセプトへ正確に反映する実践力が求められる試験であった点も特徴のひとつです。
診療報酬請求事務能力認定試験の廃止理由
診療報酬請求事務能力認定試験は、2025年12月14日に実施された第63回試験を最後に終了し、主催していた日本医療保険事務協会も2026年3月31日に解散しています。試験終了の背景には受験者数の減少があり、若年人口や医療事務を学ぶ学生の減少などによって、従来の規模で試験を継続するのが難しくなったとされています。
また、電子レセプトや医療DXの普及など、医療事務を取り巻く環境の変化も背景にあります。なお、試験終了後も合格実績は無効にならず、履歴書などへ記載可能です。
これから資格を取得する人は、レセプト請求・電子カルテ・医師事務作業補助など、学びたい業務に合わせて別の資格を選びましょう。
診療報酬請求事務能力認定試験の終了後に検討したい資格4つ
診療報酬請求事務能力認定試験は医療事務資格の中でも難易度が高く、現時点で同等の位置づけとなる後継資格があるわけではありません。一方、医療事務やレセプト作成、診療報酬請求など、実務に役立つ知識・技能を学べる資格はほかにもあります。
ここでは、医療事務分野でのスキルアップを目指す人が検討できる4つの資格を紹介します。
①医科 医療事務管理士®技能認定試験
医科 医療事務管理士®技能認定試験は、技能認定振興協会(JSMA)が実施する資格です。医療保険制度や診療報酬の知識に加え、外来・入院のレセプト作成や点検能力が問われます。外来だけでなく入院に関する診療報酬請求についても学べるため、病院で医療事務として働きたい人にも適した試験です。
診療報酬請求事務能力認定試験の終了後も、レセプト作成や診療報酬算定を重点的に学びたい人に適しています。
参考:JSMA 技能認定振興協会「医科医療事務管理士®技能認定試験」
②医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)は、一般財団法人日本医療教育財団が実施する医療事務資格です。診療報酬請求事務に加えて、受付や患者対応など、医療事務職に必要な知識・技能を幅広く評価します。診療報酬請求事務能力認定試験と比較すると、レセプト作成だけに特化せず、医療事務全般の能力を身につけたい人に向いている資格です。
そのため、医療事務未経験者や、病院・クリニックの業務を基礎から学びたい人に向いています。
参考:日本医療教育財団「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)」
③2級医療秘書実務能力認定試験
2級医療秘書実務能力認定試験は、診療報酬請求だけでなく、医療秘書として必要な知識・技能を幅広く問う試験です。
医療事務やレセプト作成に加え、医学の基礎知識や関連法規、患者接遇なども学習範囲に含まれており、医療機関の事務・秘書業務を幅広く担当したい人に向いています。
参考:全国医療福祉教育協会「医療秘書の資格、2級医療秘書実務能力認定試験」
④クリニック事務技能認定
クリニック事務技能認定は、クリニック・診療所で必要となる医療事務スキルを身につけたい人向けの認定です。受付や会計、患者対応、診療報酬算定など、日常業務につながる内容を学べるため、診療所で働くために必要な知識を身につけたい人に適しています。
誰でも試験へ申し込める形式ではなく、承認された教育機関での学習と修了試験が必要です。
診療報酬請求以外のスキルを学べる関連資格6つ
ここでは、医療事務から関連業務へスキルを広げたい人が検討できる6つの資格を紹介します。
診療情報管理士
診療情報管理士は、患者の診療情報を収集・管理し、データの抽出・加工・分析などをおこなう専門職です。医療の安全管理や病院経営、DPC/PDPSなどにも関わるため、医療情報の管理・活用に関する専門性を高めたい人に向いています。
日本病院会の通信教育や認定された大学・専門学校などで学び、認定試験に合格すると診療情報管理士として登録されます。
医師事務作業補助者検定試験(ドクターズオフィスワークアシスト®)
医師事務作業補助者検定試験(ドクターズオフィスワークアシスト®)は、技能認定振興協会(JSMA)が実施する資格です。カルテ作成補助や検査・処方入力、医療文書作成など、医師の事務作業を支援するための知識・技能が問われます。
医師の事務負担を軽減する業務に関心があり、医師事務作業補助者として働くための実務知識を身につけたい人に向いている資格です。
参考:JSMA 技能認定振興協会「医師事務作業補助者(ドクターズオフィスワークアシスト)検定試験」
医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)
医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)は、医師事務作業補助者として働くために必要な知識や技能を評価する資格です。診断書や証明書などの医療文書作成をはじめ、医学・薬学、医療関係法規など、医師の事務作業を支援するための知識・技能を評価します。診療報酬請求よりも、医師事務作業補助業務に関心があり、医師事務作業補助者を目指す人が検討しやすい資格です。
参考:日本医療教育財団「医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク®)」
電子カルテオペレーション実務能力認定試験
電子カルテオペレーション実務能力認定試験は、電子カルテを扱うために必要な知識や操作能力を評価する資格です。試験範囲では、電子カルテへの入力や管理など、デジタル化された医療機関の業務環境に対応するスキルなどが問われます。医療DXが進む中、診療報酬の知識に加えて、実際の医療現場で使用するシステムへの理解を深めたい人に適している資格試験であると言えます。
医療事務の基礎資格と組み合わせれば、パソコンや電子カルテを扱う能力を補う資格としても活用できます。
参考:全国医療福祉教育協会「電子カルテオペレーション実務能力認定試験資格のご案内」
医療事務OA実務能力認定試験
医療事務OA実務能力認定試験は、医療事務の知識とパソコンによる事務処理能力を評価する資格です。試験範囲ではOA機器やソフトウェアなどを扱い、デジタル環境で医療事務をおこなうための能力を身につけられるため、医療事務に必要なIT・OAスキルを補えます。
つまり、医療事務OA実務能力認定試験は、電子化された医療機関で働くために、医療事務とパソコンの両方を学びたい人に向いている試験です。診療報酬請求を重点的に学びたい場合は、レセプト作成や診療報酬算定を扱う別の医療事務資格と組み合わせる方法もあります。
参考:全国医療福祉教育協会「医療事務OA実務能力認定試験資格取得」
ホスピタルコンシェルジュ®検定試験
ホスピタルコンシェルジュ®検定試験は、医療機関における患者対応や接遇能力を中心に評価する資格で、受付や案内といったコミュニケーションやサービスについて学べます。
レセプト作成や診療報酬請求の専門性を直接証明する資格ではないため、診療報酬請求事務能力認定試験の直接的な代替資格ではありません。
一方、受付業務や患者対応を重視する医療機関で働きたい人には、接遇能力を高める選択肢のひとつです。
参考:JSMA 技能認定振興協会「ホスピタルコンシェルジュ®検定試験」
医療事務資格で迷ったときの選び方3つ
診療報酬請求事務能力認定試験が終了した現在は、目指す仕事と就職・転職での活かしやすさを基準に資格を選びましょう。
①取得後に目指す働き方から選ぶ
医療事務資格はそれぞれ学べる内容が異なるため、取得後にどのような仕事をしたいのかを最初に整理する必要があります。
たとえば、「医療事務全般を基礎から学びたい」「レセプト作成を重点的に学びたい」「クリニック勤務を目指したい」など、具体的な目的を決めましょう。「電子カルテを扱いたい」「医師事務作業補助者を目指したい」といった場合は、診療報酬請求以外のスキルを身につけられる資格も選択肢のひとつです。
将来の仕事内容につながる資格を優先して選ぶのがポイントです。
②担当したい業務と出題範囲を照らし合わせる
病院やクリニックの医療事務には、受付・会計・レセプト請求・電子カルテ操作・医師事務作業補助など、さまざまな仕事があります。レセプト請求を担当したい場合は、診療報酬やレセプト作成を重点的に学べる資格が適しています。医師を支援する仕事を目指すなら、医師事務作業補助関連の資格を選ぶなど、担当したい業務から逆算して考えましょう。
また、病院とクリニックでは担当する業務の範囲が異なる場合もあるため、希望する勤務先も踏まえて検討する必要があります。
実際の求人情報から、希望する職種の「歓迎資格」「必要な経験」などを確認する方法も有効です。
③就職・転職で活かしやすい資格か確認する
就職・転職を目的に資格を取得する場合は、医療機関の採用担当者に認知されている資格かどうかも確認しておきましょう。医療事務資格の多くは民間資格で、似ている名称の試験もあるため、資格を比較する際は、試験内容だけでなく、主催団体や実施実績、受験者数なども確認しましょう。
また、実際の求人票で資格名が応募条件や歓迎要件として掲載されているかを調べると、就職・転職での活かしやすさを判断できます。ただし、資格だけで採用が決まるわけではなく、実務経験やパソコン操作、患者対応なども含めて総合的に評価されます。
未経験者は医療事務の基礎を幅広く学べる資格、経験者は現在の業務や目指すキャリアに必要なスキルを学べる資格を選ぶのもおすすめです。一方、すでに医療機関で診療報酬請求を担当しており、算定漏れや請求内容の適正化に課題を感じている場合は、資格取得以外の方法で業務改善を進める選択肢もあります。
ソラストでは、診療報酬請求の最適化のため、機会損失と算定漏れ・誤りの両方の観点から調査・分析をおこなう「診療報酬請求精度調査」を提供しています。自院の請求内容に算定漏れや誤りがないか確認したい場合は、ぜひご活用ください。
医療事務資格の取得を目指す3つの学習方法
医療事務資格を取得するための主な学習方法は、独学・通信講座・通学の3つです。
独学|費用を抑えて自分のペースで学ぶ
独学は、市販のテキストや問題集などを使い、自分で学習計画を立てて資格取得を目指す方法です。講座やスクールの受講料がかからないため、できるだけ学習費用を抑えたい人に向いています。勉強する時間や場所も自由に決められるため、医療事務経験者や自分で学習を継続できる人にも取り組みやすい方法です。
一方、診療報酬の算定やレセプト作成で理解できない部分があっても、すぐに質問できる相手がいないため、疑問を解決できず、学習が遅れる場合もあります。教材を選ぶ際は、受験する資格の出題範囲に対応しているか、最新の診療報酬改定を反映しているかを必ず確認しましょう。
通信講座|自宅でサポートを受けながら学ぶ
通信講座は、テキスト・動画講義・問題演習などを使い、用意されたカリキュラムに沿って自宅を中心に学習する方法です。通学する必要がなく、仕事や家事と両立しながら計画的に資格取得を目指したい人に向いています。講座によっては添削指導や質問対応を利用でき、独学では理解しにくい診療報酬やレセプト作成についてサポートを受けられる点もメリットです。
一方で、独学より費用がかかるほか、質問回数・サポート期間・教材内容なども講座によって異なります。通信講座を選ぶ際は、希望する資格に対応しているかに加え、教材が最新の診療報酬改定に対応しているか、どのようなサポートを受けられるかまで比較しましょう。
通学|講師から直接指導を受ける
通学は、専門学校や資格スクールなどへ通い、講師の授業を受けながら資格取得を目指す方法です。診療報酬の算定方法やレセプト作成でわからない部分があれば、その場で質問して解決しやすいメリットがあります。また、授業日時や学習スケジュールがあらかじめ設定されているため、計画的に学習を進めやすい点も通学のメリットです。
一方、独学・通信講座と比べて受講費用が高くなりやすく、校舎までの移動時間や決められた開講日時への対応も必要です。取得する資格を検討する際は、医療事務関連資格を実施するJSMA(技能認定振興協会)の情報も参考にし、試験内容や受験方法を確認しましょう。また、資格取得後の就職・転職まで見据えている場合は、医療事務求人を扱う「ソラジョブ医療事務」などで実際の求人を確認する方法もおすすめです。
この記事の著者
株式会社ソラストは、1965年に医療事務の教育機関として創業した、
医療事務の教育と、医療機関向けの医事業務受託・人材サービスを手がける会社です。
(グループ社員約30,000人)
始まった会社です
- 1965年創業
- 60年の実績
日々お手伝いしています
- 約1,400の医療機関
- スタッフ 約22,000名
自社で整えています
- 学習動画 約300本
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