医療事務の採用基準は?履歴書や面接で見るポイント・よい人材の見極め方を解説


医療事務職を募集するとき、何を基準に採用を進めたらいいか悩む経営者さまは多いでしょう。ご自身の医療機関に適した人材を見極めるためには、履歴書や面接で見るべきポイントや事前に整理しておくべき判断基準があります。今回は、医療事務の採用基準について、病院経営者さま・開業医さまに向けて解説します。
医療事務が重要なのはなぜ?

医療事務は、病院やクリニックの顔ともいえる存在です。なぜ重要な職種であるのか、その理由からみていきましょう。
医療機関の第一印象を決めるから
病院やクリニックを訪れる患者さんが、最初に接するのは医療事務スタッフです。医療事務スタッフの対応や態度が、その医療機関全体の第一印象を決定づけるといえます。
もちろん患者さんは、医師や看護師の対応や雰囲気のよさも重視しています。しかし、医療従事者だけでなく、医療事務スタッフの親切さや対応の仕方によっても、今後その医療機関を利用するかどうかが左右されるでしょう。
よって、信頼感や安心感を与えられる医療事務スタッフは、医療機関にとって欠かせない存在です。
医療機関の経営を支えるから
医療事務スタッフは、診療報酬請求をはじめ、病院やクリニックの収益に関わる重要な業務を担っています。正確な請求業務は医療機関の健全な経営を支える基盤です。
さらに、迅速かつ効率的に業務を進めることで、患者さんの待ち時間が短縮され、満足度の向上にもつながります。医療事務スタッフは、経営と患者さん対応の両面で欠かせない役割を果たしており、医療機関の運営を支える重要な存在です。
医療事務の採用活動をする前に明確にしたいこと
明確にしたい項目 | 具体例 |
---|---|
性格やマインド | ・患者さんやスタッフと円滑にコミュニケーションが取れる「協調性」があること ・正確で丁寧な業務を心がけていて、責任感を持って仕事に取り組めること |
知識やスキル | ・診療報酬請求に関する専門知識や、レセプト業務の経験があること ・医療用語や電子カルテの操作に慣れており、迅速な事務処理ができること |
就労条件 | ・シフト勤務や残業など、医療機関の勤務体制に柔軟に対応できること ・長期間継続して勤務する意欲があり、安定した雇用が見込めること |
医療事務の採用を進める場合は、事前に明確にしておくとよいことがあります。とくに、採用する人材の性格やマインド、知識・スキル、就労条件について考えておきましょう。
どのような性格やマインドを持っている人を求めるのか
医療事務は、患者さんが最初に接する存在であり、医療機関の第一印象を左右します。そのため、患者さんや医療スタッフと明るく円滑にコミュニケーションが取れる人が望ましいです。
笑顔で丁寧に対応ができることで、患者さんに安心感を与えるだけでなく、職場の雰囲気もよくなってスタッフ全体のパフォーマンス向上にもつながります。協調性があり、気配りができる人材が適しているでしょう。
・来院した患者さんにどのような印象を与えたいのか
・病院やクリニックの雰囲気をどのようにしたいのか
・コミュニケーション能力が高く柔軟性があるか
・トラブル発生時に冷静かつ適切な対応が行えるか
知識やスキルはどの程度まで求めるのか
医療事務と一口に言っても、任せたい業務内容によって求められる知識やスキルのレベルはさまざまです。そのため、採用時には医療事務スタッフが担う具体的な業務内容を明確にし、必要なスキルを整理することが重要です。
たとえば、現在実務経験があるスタッフが不足している場合や、即戦力として医療事務の業務全般を任せたい場合は、「実務経験がある人」などと条件を定めて募集するのがよいでしょう。また、基本的なパソコン操作や医療用語の理解は必須ですが、将来的な育成を重視する場合、学ぶ意欲があれば「未経験可」として募集もできます。
今職場に欲しいのはどんな人材であるかを考えて、人材に求める知識やスキルを明確にすることで、求職者とのミスマッチを防ぎ、長く活躍できる人材を採用しやすくなります。
・主にどのような内容の業務を任せたいのか
・即戦力を求める場合、実務経験や専門知識・スキルを持っているか
・未経験可で募集する場合、学ぶ意欲や向上心は期待できるか
就労条件はどのような条件にするのか
就労条件は、求職者がもっとも注目するポイントのひとつです。残業の少ない環境や柔軟なシフト対応、充実した福利厚生は、優秀な人材の確保と長期的な定着につながります。
また、業務内容とのバランスを考慮し、勤務時間や休日、給与水準を適切に設定することが重要です。具体的な就労条件を明確に提示することで、求職者が安心して応募しやすくなり、採用後のミスマッチも防げます。
・正社員やパートタイムなど、どの就業形態で募集をするか
・業務内容と勤務時間や給与のバランスが取れているか
・具体的な就労条件を明記し、求職者が安心して応募できる状態が整っているか
【履歴書編】医療事務の採用基準・見るべきポイント

医療事務を採用する際に、履歴書で見るべきポイントをご紹介します。事前に採用基準を設けておくことで、スムーズに選考を進められるでしょう。
医療事務に関連する資格の有無
医療事務の採用において、関連資格の有無は重要な判断材料のひとつです。医療事務に関連する資格を取得していることで、専門的な知識とスキルを備えていることが証明され、即戦力としての活躍が期待できます。
求職者の履歴書を見るときは、取得している資格の内容に加えて、資格を取得した時期やその後の職歴、直近の実務経験の有無を把握しましょう。医療事務関連の資格を持っている人でも、取得時期がかなり古い、就業経験がない、就業経験が何年も前であるなどの場合、即戦力としての活躍が難しい可能性があります。
一方、資格を持っていなくても、学ぶ意欲がある人や今後関連資格を取得予定の人であれば、向上心が期待できる人材と考えられます。求職者の意欲や向上心を確認することで、ポテンシャルのある人材を見極められるでしょう。
・診療報酬請求事務能力認定試験
・医科医療事務管理士®技能認定試験
・医療事務技能認定試験
・医療秘書技能検定試験
など
医療事務の経験の有無
医療事務の経験があるかどうかも、採用時の重要な判断基準です。経験者であれば、レセプト業務や会計・受付対応に慣れており、即戦力として活躍が期待できます。
履歴書で実務経験を確認するときは、就業していた時期についてもチェックしましょう。ブランクがある人の場合、具体的なブランクの期間と就業期間を確認します。医療業界は2年に一度診療報酬改定があり、常に新しい知識が求められます。就業経験がある人でも、実際に働いていた時期によっては、即戦力としての活躍が難しい可能性もあるためです。
また、最新の医療制度や電子カルテの使用経験があるかを見極めましょう。未経験者であっても、接客業や事務職の経験があれば、応用力やコミュニケーション能力を発揮できる可能性があります。とくに、患者さんへの対応力や正確な事務処理が求められるため、これまでの経験をどう活かせるかを採用時に見極めることが重要です。
パソコンスキルの有無
医療事務の業務では、パソコンスキルが欠かせません。受付や会計、診療報酬請求など、さまざまな業務がデジタル化されており、正確かつ迅速な処理が求められるためです。
とくに、電子カルテやレセプト作成ソフトなどの医療専用ソフトの使用経験があると、即戦力として活躍できる可能性が高まります。未経験者であっても、基本的なパソコン操作やデータ入力のスキルがあれば、業務に適応しやすいでしょう。
【面接編】医療事務の採用基準・見るべきポイント
続いて、医療事務の面接における採用基準・見るべきポイントについて解説していきます。履歴書と同様に、事前にしっかり確認しておきましょう。
第一印象がいいか
医療事務スタッフは患者さんと直接接する機会が多いため、とくに第一印象が重要です。明るく丁寧な対応ができるかどうかは、医療機関全体の印象にも影響を与えます。
面接では、清潔感のある身だしなみであるか、礼儀正しく適切な言葉遣いができているかどうかなどをチェックしましょう。病院やクリニックの雰囲気に合う人材かどうかなども踏まえて、医療機関の顔としてふさわしい人材を選ぶことが大切です。また、笑顔での応対や落ち着いた態度も、患者さまの安心感につながります。
コミュニケーション能力が高いか
医療事務は、患者さんや医療スタッフと連携しながら働く必要があるため、高いコミュニケーション能力が求められます。相手の話をしっかりと聞く力や、分かりやすく伝える力のバランスが取れていることが重要です。
面接では、これまでの職務経験や日常生活のなかで、他者とどのようにコミュニケーションを図ってきたか、具体的なエピソードを交えて話してもらうと、適性を判断しやすくなります。
求める条件に合致しているか
採用面接では、候補者が自分の医療機関で働く医療事務として、必要な条件を満たしているかを見極めることが重要です。求めるスキルや経験、適性を確認し、面接では自身の能力をどのように活かしたいかを尋ねると、実際の業務とのマッチ度を判断しやすくなります。
ただし、少子高齢化による労働力不足の影響で、すべての条件を満たす人材が応募してくるとは限りません。そのため、採用基準を設定する際には、必要不可欠な条件と優先順位を明確にしておくことで、柔軟かつスムーズに選考を進められます。
医療事務の採用をするとき「適性検査」は必要?
医療事務の採用において、適性検査を導入することは、候補者の潜在能力を見極める有効な手段です。適性検査を通して業務への適応力や性格の傾向を把握することで、採用後のミスマッチを防ぎ、結果的に離職率の低下につながる可能性があります。
ただし、適性検査はあくまで判断材料のひとつであり、この結果だけで採否を決定するべきではありません。病院やクリニックの方針、求める人材像を踏まえたうえで、面接や職務経験の確認とあわせて総合的に評価することが重要です。また、適性検査の結果を活用することで、採用後の教育や配置の参考にもなります。
【経営者向け】医療事務の採用に割く時間がないときの対処法

医療事務の採用に割く時間がない医療機関経営者さまに向けて、対処法をご紹介します。外部委託や派遣など自院に適した方法を取り入れて、業務の効率化を目指しましょう。
医療事務の業務を外部委託する
採用活動の時間がなかなか取れない場合の対処法として、医療事務の業務の一部を外部に委託する方法があります。外部委託を活用することで、限られた人材を有効活用できるでしょう。現在働いているスタッフの業務負担を減らし、医療サービスの質の向上にもつなげられる有効的な手段です。
ソラストでは、1969年に日本で初めて診療報酬請求業務の受託を開始し、「医事関連受託サービス」など、幅広いサービスを提供しています。受託先医療機関に対して、継続して高いクオリティの業務を提供できるため、事務作業の負担を軽減し、医療業務に専念できる環境を整えることが可能です。
また、医療事務業務をリモートで代行する、ソラストの医療DXパッケージ「スマートホスピタルiisy」の利用もおすすめです。レセプトチェックなどの専門業務を遠隔対応することで、院内業務の負担を軽減し、生産性向上に貢献します。
医療事務の派遣を検討する
正社員やパートスタッフの採用が難しい場合、医療事務の派遣を利用する方法があります。派遣スタッフの活用は、医療事務の即戦力として期待できる人材を迅速に確保できる有効な手段です。採用活動にかかる時間やコストを削減できるだけでなく、急な欠員補充にも対応しやすくなります。
また、派遣社員のスキルや適性を見極めたうえで直接雇用へ切り替えることも可能なため、病院やクリニックの運営に柔軟性を持たせることができるでしょう。
ソラストでは、医療事務をはじめとする医療系に特化した人材派遣・紹介サービスを提供しています。窓口業務やレセプト業務など、専門性の高いスタッフを派遣できるため、人材不足や採用コストの課題を抱える病院やクリニックの運営に役立つでしょう。経験豊富なスタッフが迅速に対応し、業務の効率化と円滑な医療サービスの提供に貢献します。
医療事務の採用基準に関するよくある質問
ここでは、医療事務の採用基準に関するよくある質問をQ&A形式で解説していきます。お悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
医療事務は顔採用が主流なの?
医療事務の採用は顔採用が主流ではありませんが、清潔感や安心感のある雰囲気といった、「第一印象がよい人かどうか」は重視されるでしょう。医療事務は患者さんと接する機会が多いため、明るく丁寧な接客態度やコミュニケーション能力が評価のポイントです。また、見た目だけでなく、礼儀正しさや協調性も欠かせません。
未経験の医療事務を採用しても問題ない?
医療事務職は経験や資格が必須ではないため、未経験者でも採用は可能です。ただし、即戦力を求める医療機関の場合は、資格を持っている人や実務経験が豊富な人材の方が、ミスマッチが少ないといえます。
未経験者の採用を考えている場合は、将来を見据えた育成ができるように研修制度が整えることが大切です。また、求職者本人が医療事務としての専門性を高める意欲を持っているかどうか、見極めることも求められます。
医療事務の採用方法にはどんな種類がある?
医療事務の採用方法は大きく2つあります。1つ目は、病院やクリニックの経営者や採用担当者が求人を出し、面接を通じて直接採用する方法です。一方で、人材派遣会社や人材紹介サービスを活用し、専門のコンサルタントを介して適した人材を確保する方法もあります。採用のスピードやコスト、求めるスキルに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
直接採用するのと人材派遣を利用するのはどちらがよい?
直接採用と人材派遣のどちらが適しているかは、病院やクリニックの状況によります。直接採用は、長期的な視点で人材を育成でき、医療機関の一員としての一体感を醸成しやすいのがメリットです。一方、人材派遣は即戦力となる人材を迅速に確保できるため、急な人手不足への対応に適しています。採用の目的や業務の安定性を考慮し、最適な方法を選ぶことが重要です。
医療事務の採用基準に関するよくある質問
医療事務は、病院やクリニックの第一印象を左右し、収益に関わる重要な業務を担う職種です。医療事務スタッフの採用を進めるときは、「どんな人柄の人に来てもらいたいか」「どんな知識・スキルを持つ人を採用したいか」を明確にしましょう。また、履歴書や面接を通して、保有資格や実務経験、コミュニケーション能力などをチェックすることで、採用後のミスマッチを防ぐことに役立ちます。
ソラストでは、病院経営者さまや開業医さまを支援する、医療事務の外部委託、在宅ワーク、リモート代行、人材派遣など多様なサービスを提供しています。業務効率化や人材不足の解消をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。