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医療事務

【最新版】医療におけるICTとは?導入のメリットや活用事例を解説

公開日/2024.08.06 更新日/2026.06.11

近年、さまざまな業界で進められている「ICT化」。医療分野においてもICTの導入が加速していますが、具体的にどのような事例があるのでしょうか。今回は、医療におけるICTの現状やメリット・デメリットをご紹介。具体的な導入事例や導入フローも解説しますので、病院経営者様、開業医様はぜひご確認ください。

医療におけるICTとは?

医療におけるICTとは、医療分野で活用される情報通信技術を指す言葉です。ICTは「Information and Communication Technology」の略で、インターネットなどのデジタル技術を介して情報を共有したり業務を効率化させたりする、という意味を持ちます。

医療のICT化のわかりやすい例として、「電子カルテ」が挙げられます。電子カルテの導入によって、従来の紙ベースのカルテがデジタル化され、医療プロセスが改善。患者さん情報の一元管理により医療の地域差を解消するばかりでなく、医療コスト削減にも大きく貢献しています。

他にも、オンライン診療やオンライン資格確認、AI診断システムなどの活用が一部の医療機関で開始。医療分野でも徐々にICT化が進んでいます。

ITとICTの違い

ITは「情報技術全般」を指し、ICTはそれに「通信技術」を加えたものです。似た意味に捉えがちですが、ITは情報の処理・管理に焦点を当て、ICTは情報の伝達・共有などコミュニケーション部分に関わっている、と考えると分かりやすいでしょう。

医療のICT導入の必要性

昨今の医療業界の課題
・地域ごとの医師数・医療機能の偏在
・国民1人あたりの医療費・介護費の負担増
・医療・介護ニーズの多様化による業務負担の増加

少子高齢化が進む中、地域による医師数の偏りや、医療・介護費の増大が深刻な課題となっています。特に高齢化に伴い、医療と介護の両方を必要とする「複合的なニーズ」が増えており、現場で働く人々の業務負担は重くなる一方です。

こうした状況を打開する有効な手段が、医療ICTの導入です。電子カルテや遠隔医療ツールを活用すれば、業務が効率化され、限られた人数でも質の高いケアが可能になります。ICT化の推進は、医療の質を向上させ、将来にわたって持続可能な医療体制を築くために欠かせない取り組みといえるでしょう。

医療ICTの現状

医療ICT化は電子カルテを中心に普及が進んでいます。厚生労働省の調査では、200~399床の病院で79.2%、400床以上の大規模病院で普及率が93.7%に達した一方、一般診療所では55.5%と約半数にとどまっており、施設規模による格差が顕著です。

また、コロナ禍を機にオンライン診療の導入も加速しました。今後は導入コストやセキュリティ対策などの課題を解消し、ICT活用によるさらなる医療の質向上と、効率的な体制構築が期待されています。

医療ICTがもたらすメリット6選

医療分野でICT化を進めることは、患者さんのデータ管理を容易にしたり医療コストの削減につながったり、さまざまなメリットがあります。ICT導入によって得られる6つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

業務の効率化を図れる

業務の効率化が大幅に進むのも、医療ICTを導入する大きなメリットです。人手不足の医療機関の場合、カルテや診断書などの作成や管理といった業務は、医療従事者にとって負担が大きいもの。電子カルテの導入で医師や看護師の業務負担を軽減し、情報共有も迅速化されるでしょう。

また、薬の処方や検査結果の管理も一元化され、遠隔医療やAIによる診断サポートも業務の効率化に大きく寄与します。

診療の質や患者さんの利便性が向上する

医療ICTの導入は、診断精度の向上や患者さんの利便性の向上に大きく貢献します。情報共有の円滑化でチーム医療が強化されるほか、AIによる画像解析の活用で病気の早期発見も期待できるでしょう。

さらに、業務効率化によって患者さんの待ち時間が短縮されるなど、利便性の向上にもつながります。事務作業の負担が減り、医師が本来の診療に割ける時間が増えることは、医療の質をより高めることにも役立ちます。

患者さんのデータを一元管理できる

医療ICTを活用すると患者さんのデータの一元管理が可能となり、医療の質の向上を目指せます。医療機関間の情報共有が容易になり、連携が強化できるでしょう。患者さんが異なる医療機関を受診する際にも、共有された情報を元に一貫した医療サービスを提供できます。

また、データの一元化は研究や統計分析にも活用され、医療のさらなる発展にも役立つでしょう。

医療コストの削減が期待できる

医療のICT化が進むと、医療コストの削減も期待できます。電子カルテやオンライン資格確認などの利用による業務効率の向上は、医療従事者の業務負担を軽くし、医療機関の運営コストも削減につながるでしょう。

また、遠隔医療の普及が進めば通院の必要が減少するため、これに関するさまざまなコストの削減もできます。AIの活用による診断や治療計画の最適化も、本当に必要な検査や治療を選択するうえで役立つでしょう。

遠隔医療(テレメディスン)の可能性が広がる

遠隔医療は、地理的制約を超えた医療サービスの提供を可能にします。患者さんの診療や服薬指導などを遠隔で行うことで継続的なケアができるため、遠隔地にいる場合でも包括的なケアができるでしょう。医療の質が向上し、患者さんの満足度も高まることも期待されます。

さらに遠隔医療は、緊急時の迅速な対応や専門医の意見を求める際にも有効な手段になります。

新薬や新しい治療法の開発につながる

医療のICT化で多くの医療情報やデータを収集し、大量の情報を分析することは、将来の医療の発展にも大いに役立ちます。AIやビッグデータを活用した薬の開発プロセスの効率化もすでに進んでいます。データを活用することで、新薬や新しい治療法の開発を加速させるでしょう。

医療ICT導入の課題とデメリット4選

医療機関において、ICTを導入する前に知っておきたい課題やデメリットについて解説します。

医療機関ごとにICTの対応に差が出やすい

医療のICT化を進めるには費用がかかります。病院の規模や予算、スタッフの数は医療機関ごとに違うため、すべての医療機関が足並みをそろえてICT化を進めることは難しいでしょう。

また、ICTは導入して終わりではなく、適切に運用しなければ活用できません。医師や看護師、事務スタッフのICTスキルは各システムの運用に影響を与えます。ICTのメリットを享受するために、スタッフの教育体制を整えることが大切です。

さらに、地域によってはインフラが充分に整っていないこともあるでしょう。これらの違いは、医療ICTの導入に時間がかかる一因となっています。

【課題・デメリットを解決する方法】

・現場向けの講習会を実施し、スタッフのICTリテラシーを一定の水準まで引き上げる
・外部の専門家によるサポートや操作しやすいシステムを選定し、現場の負担を抑える

プライバシーとセキュリティ対策が必須になる

医療分野でICTを活用するうえで、患者さんの個人情報や医療データのセキュリティ対策は極めて重要な問題です。情報漏洩しないよう、医療機関で働くすべてのスタッフに対するセキュリティ教育が欠かせません。

システム側としては、データの暗号化やアクセス制御と定期的なセキュリティ監査が必要です。患者さんが安心して利用できるよう、プライバシー保護と信頼性の高い医療サービスの提供に努めなければなりません。

【課題・デメリットを解決する方法】

・スタッフへのセキュリティ教育を通じて、組織全体で情報を守るための運用体制を確立する
・データの暗号化やアクセス制御を徹底し、定期的なセキュリティ監査を実施する

システムエラーへの対策を講じる必要がある

医療ICTの運用には電力供給が必須です。万が一、停電でシステムエラーが起きた場合には、業務ができなくなる可能性があることを念頭に入れておきましょう。

システムエラーに備えるために、普段からエラー発生時の迅速な対応と防止のためのモニタリング体制が求められます。システムの冗長化やバックアップ体制の整備をしておき、いざというときに備えましょう。定期的なシステムメンテナンスとアップデートを行うことで、常に安全性を高めることが大切です。

【課題・デメリットを解決する方法】

・万が一のシステム停止に備え、システムの冗長化(二重化)やバックアップ体制を整備し、緊急時でも業務が継続できる環境を整える・定期的なシステムメンテナンスとアップデートを実施する

継続的な運用のためにコストがかかる

医療ICTは導入して終わりではなく、安定した運用を継続するための維持費用が発生します。また、法改正や業務の変化に応じたシステムの改修、ソフトウェアの更新といった追加コストも欠かせません。

そのため、初期費用だけでなく、将来的な運用・メンテナンス費用まで見据えた導入計画を立てることが不可欠です。費用面も含めて持続可能な体制を構築することが、ICT導入を成功させる大きな要素といえるでしょう。

【課題・デメリットを解決する方法】

・初期費用だけでなく、将来の維持・改修費を含めた「トータルコスト」を算出し、中長期的な予算計画を策定する
・国や自治体の補助金を活用するほか、メンテナンス負担や更新費用を抑えやすいクラウド型システムの導入を検討する

医療ICTの導入事例4選

医療ICTの4つの導入事例について紹介します。

カルテやお薬手帳の電子化

カルテやお薬手帳を電子化することで、紛失や破損のリスクを低減できるばかりでなく、医療機関間でスムーズに情報を共有できます。異なる医療機関に通院している患者さんが来院しても、共有された情報をもとに診察や診断が進められるでしょう。

また、近年では電子処方箋の導入も進められています。患者さん自身が自分の処方内容や服薬履歴、健康情報などの確認ができ、自己管理の意識が高まることも期待できます。データをクラウド保存しておくことで、災害時のデータ消失リスクも低減できるでしょう。

オンライン診療・遠隔読影

オンライン診療は場所を問わずに受診を可能にし、通院負担や感染リスクを大幅に軽減します。慢性疾患の継続的な管理も容易になり、医療機関側の効率化にも有効です。

あわせて、専門医が遠隔地から画像を解析・診断する「遠隔読影」の活用も進んでいます。これにより、専門医が不足する地域でも迅速かつ高精度な診断が可能となり、地域間の医療格差解消や診断の質向上に大きく貢献するでしょう。

AIシステムによる医療サポート

AIシステムは、診断や治療のサポートで大きな役割を果たしています。たとえば、AIの画像認識技術を病気の早期発見や診断の補助として役立てる取り組みがあります。膨大な患者さんのデータを迅速に処理して診断しながら、最適な治療法が提案されています。

また、最近ではAIチャットボットによる初期診断や健康相談も普及していて、患者さんが気軽に相談できる環境を作り出しています。

地域医療情報連携ネットワーク

地域内の医療機関や薬局、介護施設間で情報を共有し連携を強化することは、患者さんの安全性はもちろん、医療の質の向上にも大きく寄与します。患者さんの診療情報や薬剤情報が一元管理・情報伝達されることで、本当に必要な医療を適切に提供できるでしょう。

また、医療従事者間のコミュニケーションも円滑になり、診療の質の向上が期待できます。

医療ICTの導入までのフロー

1.現状の問題点の洗い出し・計画立案をする
2.ICTを用いた解決方法の種類を選定する
3.ICTの導入スケジュールを立てて実施する
4.各種システムのデータ移行とシステム構築を行う
5.スタッフへの教育とトレーニングを行う

医療分野でICTを導入する際は、現在医療機関を運営するうえでどんな問題点があるか把握しましょう。解決したい問題を明確にし、患者さんのニーズを知ることが大切です。そのうえで、どんなICTを導入すれば問題の解決につながるか、システムの種類を選びます。導入〜運用開始までの詳しいスケジュールを入念に立てて、関係者との調整や予算の確保を行うことが必要です。

システムのインストールや設定、テスト運用が行われる導入フェーズでは、関係者の役割分担などを明確化し、それぞれが適切に導入作業を実施していきます。ICTの導入後はシステムの運用状況のモニタリングやスタッフの教育、トレーニング、改善を行っていきます。

医療機関でICT化を進めるためには、専門知識が欠かせません。ICT導入の際には、医療機関経営のコンサルタントなど第三者に意見を聞くことをおすすめします。

医療現場の業務効率化を目指す!リモート医事サービス「iisy」

ソラストのリモート医事サービス「iisy」は、ICT導入とあわせて現場の一層の業務効率化を目指す方におすすめです。本サービスは医療事務の一部をリモート化し、算定やレセプト業務などの専門的な事務をプロが代行します。

現場の負担が減ることで、スタッフが患者さんへの接遇や診療補助に集中できる環境を整えられるでしょう。人手不足の解消とコスト最適化を両立し、安定した経営体制を強力に支援します。

医療ICTに関するよくある質問

医療ICTの導入を検討する際には、費用面や具体的な活用メリットについて多くの疑問が寄せられます。ここでは、活用できる補助金制度や感染対策への寄与、小規模なクリニックでの導入効果など、特にお問い合わせの多い質問をまとめました。

Q.医療現場でICT導入に活用できる補助金や助成金制度はある?

A.はい、国や自治体によるさまざまな支援制度を活用できます。

「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」でシステム導入費の一部が補助されます。また、厚労省が推進する「電子カルテ情報共有サービス」導入に利用できる「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」や各自治体独自の補助金などがあります。詳しくは、各webサイトで確認できます。

Q.感染対策にICTはどのように貢献する?

A.オンライン診療や予約システムの活用により、接触機会の削減と混雑緩和を同時に実現できます。

オンライン診療により通院に伴う接触リスクを解消できるほか、WEB予約システムを活用すれば待合室の混雑を避け、密な空間を回避できます。また、自動精算機の導入は対面での接触機会を減らすのにも有効です。ICTの活用は、安全で安心な診療環境の構築に極めて重要といえます。

Q.小規模なクリニックでもICT導入のメリットはある?

A.はい、限られた人員で運営する小規模な施設こそ、ICT化による恩恵を大きく受けられます。

電子カルテや予約システムの活用は事務負担を劇的に軽減し、少ないスタッフでもスムーズな診療が可能になります。クラウド型サービスなら初期費用を抑えて導入でき、待ち時間の短縮によって患者満足度の向上も期待できます。小規模な現場の課題である人手不足の解消と、診療の質向上の双方に非常に有効です。

ICT化の第一歩で、医療現場にゆとりと確かな安心を

医療ICTの導入は、深刻な人手不足や多様化するニーズに対応し、持続可能な医療体制を築くために不可欠です。業務効率化や診療の質向上といった多くのメリットを享受するには、課題への適切な対策が重要となります。補助金や専門サービスの活用も視野に入れ、ICT化によって安心できる診療環境を実現しましょう。

医療ICTの導入は、将来にわたり質の高い医療を維持するために欠かせません。ソラストでは、リモート医事サービス「iisy」をはじめ、医事受託や人材紹介など、貴院の課題に合わせた最適な支援を提供しています。DX対応や人手不足にお悩みの方は、専門家が運営を支えるソラストへ、ぜひお気軽にご相談ください。

著者プロフィール

著者:ソラストオンライン
医療事務コラム執筆担当
医師や医事課のみなさまをはじめとする医療従事者の皆様に、お役立ち情報を発信しています。

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