オンライン資格確認とは?導入後の運用に必要なことをわかりやすく!
オンライン資格確認とは、マイナ保険証などで即座に資格確認を行う仕組みです。導入によりレセプト返戻を防ぎ、確実な収益確保が可能になります。2026年度改定での新加算や運用の注意点、他システムとの連携までわかりやすく解説します。医療機関のDX推進と経営安定化に不可欠な情報をまとめたので、ぜひ参考にしてください。
オンライン資格確認とは?
オンライン資格確認とは、マイナンバーカードのICチップまたは「資格確認書」の記号番号等により、オンラインで資格情報を確認できる仕組みです。令和7年12月2日以降、従来の健康保険証は利用できなくなったため、医療機関等の窓口ではマイナ保険証または資格確認書を用いた資格確認が基本となっています。
導入により、資格確認に伴う事務の手間や入力ミスの低減が期待できます。資格情報を正確に把握することで、レセプト返戻のリスク低減が見込め、患者さんの同意のもとで取得できる情報を活用することで、医療の質向上につながる可能性があります。
参考:厚生労働省「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」
【2023年4月から】オンライン資格確認の導入が原則義務化
2023年4月から、保険医療機関と薬局において、オンライン資格確認の導入が原則義務化されました。オンライン資格確認は、患者さんの医療情報を有効に活用し、安心・安全かつ、より質の高い医療の提供を目指すための医療DXの基盤となるものです。
それだけでなく、資格情報をリアルタイムで確認できることで、資格確認のミスやなりすましを防げるメリットがあります。
【原則義務化に至った背景】
・保険証の偽造やなりすましのトラブルがあった
・従来の確認方法では受付業務の手間が大きかった
導入義務化の対象外の医療機関もあり
現在紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関・薬局
(例:電子請求が義務化された段階で医師が65歳以上だった場合など)
参考:厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」
オンライン資格確認の導入は原則として義務化されていますが、例外となる医療機関もあります。たとえば、現在も紙レセプトによる請求が認められている保険医療機関や薬局などは、オンライン資格確認の導入義務化の例外です。
なお、オンライン資格確認の導入が原則義務化された当初は、システム整備が間に合わない等のやむを得ない事情がある場合に限り、経過措置が講じられていました。現在、経過措置は期限付きで設けられており、適用可否や期限は類型により異なります。
オンライン資格確認を導入・活用する4つの利点
・保険資格の確認ミスによるレセプト返戻を削減できる
・患者さんの医療情報を閲覧し医療サービスの提供に活かせる
・電子的診療情報連携体制整備加算の算定によって収益性が向上する
オンライン資格確認の導入は、窓口業務の効率化やレセプト返戻の削減といった事務負担の軽減だけでなく、経営基盤の強化にもつながる可能性があります。次に、オンライン資格確認の導入・活用で得られる4つの主要なメリットを解説します。
受付業務にかかる時間や手間を軽減できる
オンライン資格確認を導入することで、受付業務にかかる時間や手間を大幅に削減できます。従来の方法による保険証の確認では、患者さんの情報の手入力や目視確認が必要なため、非常に手間のかかる作業でした。
しかし、オンライン資格確認の導入によって、自動的に患者さんの保険資格を確認できるだけでなく、レセコンへの入力も自動化されます。業務の効率化が進み、患者さんの待ち時間短縮にもつながるでしょう。
保険資格の確認ミスによるレセプト返戻を削減できる
オンライン資格確認を導入すれば、資格過誤によるレセプト返戻を未然に防げる可能性があります。返戻が発生すると再請求の手間がかかるだけでなく、収益化が遅れるという大きな問題が生じます。
システムを通じて資格情報を確認できるようになることで、確認ミスの低減や事務作業の効率化が期待できます。また、顔認証による本人確認でなりすまし受診も防止できます。正確なレセプト請求業務を徹底することで、返戻リスクの抑制につながり、請求業務の安定化を図れます。
患者さんの医療情報を閲覧し医療サービスの提供に活かせる
オンライン資格確認を通じて、患者さんの薬剤情報や特定健診情報を迅速に閲覧できるようになります。患者さんの過去の受診や治療、服薬歴を把握することは、より適切な治療の提供へつながる重要なポイントです。
さらに、災害時には患者さんがマイナンバーカードを持参していない場合でも服薬履歴の閲覧ができます。結果として、患者さんに提供する医療サービスの質が向上するでしょう。
電子的診療情報連携体制整備加算の算定によって収益性が向上する
2026年度診療報酬改定では、マイナ保険証への本格移行に伴い「医療情報取得加算」及び「医療DX推進体制整備加算」が廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」が新設されます。点数は施設基準の届出区分に応じて、初診時4〜15点、再診時2点、入院時80〜160点と設定されました。電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入、セキュリティ対策などが施設基準の主な要件です。
オンライン資格確認を基盤としたDX体制を整えることで、施設基準を満たす場合に診療報酬上の評価(加算算定)の対象となります。正確なレセプト請求とあわせ、新加算の取得は経営の安定化と収益確保に寄与するでしょう。
参照:厚生労働省|基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(2026年3月)
オンライン資格確認の導入手順
引用:厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」
まず、顔認証付きカードリーダーを医療機関等向け総合ポータルサイトから発注し、同時に機器の設定依頼を取引のあるシステム事業者へ行います。続いて、各種申請手続きが必要です。各地方厚生局・支局へ受付番号の取得依頼と実施機関へ受付番号の提出、医療機関等向け総合ポータルサイトにてオンライン資格確認の利用申請を行います。
その後、発注した顔認証付きカードリーダーと電子証明書通知書を受け取り、システム事業者による設定と運用テストをします。同時に、受付業務の変更点確認と患者さん向けの院内掲示物(個人情報保護の利用目的の例示等)の準備も必要です。
最後に、必要書類を準備して各地方厚生局・支局へ指定申請を行い、手続きが完了します。
オンライン資格確認の運用を進めるうえでの4つの注意点
・既存システムの改修に時間と費用がかかる
・患者さんの層によっては利便性を感じにくい場合もある
・スタッフの教育を行い安定した運用を目指す必要がある
紹介したように便利なオンライン資格確認ですが、注意点が4つあります。以下の点に留意したうえで検討しましょう。
セキュリティ面や通信障害のリスクを踏まえて対策する必要がある
オンライン資格確認の導入には、情報漏洩やサイバー攻撃、通信障害といったリスクも一定伴います。システムの安定運用には最新技術の導入や定期的な点検、セキュリティ対策の強化が欠かせません。あわせて、スタッフへの教育を徹底し、意識を高めることも必要です。
また、万が一のシステムトラブルや通信障害に備え、具体的な対応マニュアルを整備し、現場でスムーズに対応できる体制を整える必要もあります。対策を一層高めることで、ミスや遅れのない正確なレセプト請求を実現し、医療機関としての確実な収益確保を目指せるでしょう。
既存システムの改修に時間と費用がかかる
オンライン資格確認との連携を行うためには、顔認証付きカードリーダーの購入のほかに、電子カルテやレセコンなど既存のシステムを院外へ接続するためのネットワーク環境の構築・整備が必要不可欠です。往々にして、改修が必要になるでしょう。
これから導入を進める場合、システム事業者の訪問による改修作業が数回と、それに伴う費用が少なくとも数十万円かかります。そのため、時間や費用負担も考慮しなくてはいけません。
患者さんの層によっては利便性を感じにくい場合もある
各医療機関のメインの患者層によっては、新しいシステムに慣れるまでの案内対応に時間がかかり、すぐにはオンライン資格確認の利便性を感じにくいケースもあるでしょう。たとえば、高齢の患者さんがメインである場合は説明や案内に手間をとられてしまい、導入直後には一時的に業務効率が停滞する可能性があります。
さまざまな患者さんがいることを理解し、どのような方にも理解しやすいよう、適切な案内体制を整える必要があります。
スタッフの教育を行い安定した運用を目指す必要がある
オンライン資格確認システムの導入に際しては、従業員が操作方法を正しく理解しその運用に慣れることが不可欠です。事前の研修や勉強会を通じて、スタッフ全員が新しいシステムの操作に熟達することが求められます。
たとえば、実際の運用を想定したトレーニングを行うと、導入後の業務の効率アップを目指せるでしょう。また、初期にはエラーが発生しやすいため、すぐに適切なフィードバックができる体制を整えておくことも大切です。
オンライン資格確認導入後の医療機関に求められること
マイナ保険証の利用促進等「活用する体制」の整備
医療DXを推進するためには、単にオンライン資格確認を導入するだけでなく、現場で積極的に活用するための体制を整えることが重要です。マイナ保険証による資格確認を行えば、情報の自動取得により窓口の事務作業が大幅に効率化されます。
さらに、2026年度診療報酬改定で新設される「電子的診療情報連携体制整備加算」では、マイナ保険証の利用率に係る施設基準の実績要件を満たす必要があります。患者さんに利用を促すことで、収益の確保や各種加算の取得という面で、医療機関側のメリットにもつながるでしょう。
他の医療DXとの連携強化
オンライン資格確認は、国が進める「全国医療情報プラットフォーム」を構成する重要な基盤です。電子処方箋や電子カルテ情報の共有サービスと連携を深めることで、医療DXはさらに加速します。
他院での処方内容や検査結果を正確に把握できれば、診療の質が向上するだけでなく、事務の効率化も同時に実現できます。こうした連携体制の構築は、正確なレセプト請求と確実な収益確保を支える大きな力となるでしょう。
DX導入・組織改善を提供!ソラストの「医療機関経営支援サービス」
実際、医療機関におけるDX化は進められていても、導入や運用がうまくいかない、とのお悩みの声が多く聞かれるのが現状です。ソラストの「医療機関経営支援サービス」では、医療機関の組織改善やDX導入の支援を実施しています。
オンライン資格確認をはじめ、外来レセプト業務の改革など、DX化のための取り組みを有効に活用できる方法をご提案します。これにより、スタッフの貴重な作業時間や残業時間を削減し、より効率的で質の高い医療につながる働き方が実現できるでしょう。
オンライン資格確認に関するQ&A
・オンライン資格確認の導入にかかる費用は?
・オンライン資格確認の導入に使える補助金はある?
・オンライン資格確認を活用する患者さんにとってのメリットは?
・マイナンバーカードを作っていない患者さんはオンライン資格確認ができない?
オンライン資格確認の導入をご検討中の方からよく寄せられる質問と、その回答を以下にまとめました。現在ご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
Q.すべての医療機関にオンライン資格確認の導入義務がある?
すべての医療機関でオンライン資格確認の導入義務があるわけではありません。医師などが高齢で取り扱いレセプト件数が少ない場合や、診療の休止や廃止が決まっている場合、紙レセプト請求を行っている医療機関などが該当します。
Q.オンライン資格確認の導入にかかる費用は?
オンライン資格確認の導入にかかる費用は、医療機関の規模や現状のシステム状況、依頼するシステム事業者の料金体系によって異なります。およその費用目安は、資格確認端末関係に14.1~23.8万円、ネットワーク設定作業等に3.7~13.4万円、院内ネットワーク関連機器に1.1~8.3万円、レセコン等の既存システムの改修に係るパッケージソフトの購入及び導入に8.9~24.7万円程度ですが、かかる費用はそれぞれの状況によって大きくばらつきがあるため、自院の現状を踏まえて検討することが大切です。
なお、上記の費用とは別で、オンライン資格確認の運用を続けるための保守費用や更新費用といった「ランニングコスト」も発生します。導入費用とランニングコストをトータルで考える必要があるでしょう。
Q.オンライン資格確認の導入に使える補助金はある?
直近では訪問診療やオンライン診療、外来診療などを対象とした導入助成金制度がありましたが、申請受付は令和8年1月31日で終了しています。
現時点では、新たに活用できる補助金制度の情報は発表されていません。正確なレセプト請求による確実な収益確保を実現するためにも、今後発表される可能性のある支援策や国の方針について、厚生労働省などの最新情報をこまめに確認しましょう。
Q.オンライン資格確認を活用する患者さんにとってのメリットは?
上記の他にも、過去のデータにもとづいた質の高い医療を受けられることや、マイナポータルで確定申告時の医療費控除が簡単にできること、災害時にはマイナンバーカードを持参していなくても医療機関で過去の服薬情報を確認できるメリットもあります。
さらに、医療機関のスタッフの手間が減ることから、結果的に待ち時間の短縮につながり、病院やクリニックの受診が楽になるでしょう。
Q.マイナンバーカードを作っていない患者さんはオンライン資格確認ができない?
令和7年12月2日以降、従来の健康保険証は原則廃止されました。マイナンバーカードを作成していない方には、医療保険者から「資格確認書」が無償交付されます。医療機関はこの書類を提示してもらうことで、オンライン資格確認が可能です。
<正確なレセプト請求を行い、確実な収益確保を目指すためにも、マイナ保険証を持たない患者さんに対しては、資格確認書による適切な受付対応が不可欠となります。
オンライン資格確認の導入で業務を効率化!
オンライン資格確認の導入は、レセプト返戻の削減や確実な収益確保に不可欠です。正確な導入手順と注意点を踏まえ、マイナ保険証の活用や他システムとの連携を進めることで、医療DXの基盤が整います。運用の効率化や体制整備に不安がある場合は、専門サービスの活用も検討し、強固な経営基盤を築き上げましょう。
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