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医療事務関連受託事業(アウトソーシング) 病院

京都府立医科大学附属北部医療センターにおける共同の取り組みが創り出す医事運営の構造改革~多職種連携を通じた救急医療管理加算の算定適正化事例〜

  • コンプライアンス
  • 増収・増患

地域の急性期医療を支える中核病院にとって、限られた経営資源の有効活用と財務基盤の健全化は最優先課題です。特に医事運営の領域においては、日々の業務効率化を進めつつ、提供した医療行為に対する正当な診療報酬を漏れなく適正に請求する役割が求められています。

株式会社ソラストが医事業務を受託する京都府立医科大学附属北部医療センターでは、既存リソースの活用を軸に、医事運営の仕組みを抜本的に見直しました。病院の経営方針を現場の具体的な行動に落とし込む共同パートナーとしてソラストが伴走し、組織横断的な意識改革と収益適正化をもたらしたプロセスをご紹介いたします。

成果の要旨

本取り組みを通じて、病院の財務基盤の更なる強化に直結する以下の定量的な実績を達成いたしました。

  • 救急医療管理加算の算定率が前年同期比で37%向上しました。
  • 収益改善効果として、上期全体で520万円の増収、直近の11月単月でも前年同期比27パーセント増となる121万円の増収を記録し、年間換算で約1500万円の財務基盤強化を実現しました。
  • 適切な医学的根拠に基づく請求体制を構築し、取り組み開始以降、救急医療管理加算に関わる窓口苦情や審査機関からの指摘件数0件を継続しています。

変革期における医事運営の健全化への挑戦

京都府立医科大学附属北部医療センターは、開設者である京都府公立大学法人から経営健全化目標の達成を強く課されていました。また、建物の老朽化に伴う10年後の建て替え計画を見据え、早期に経営改善の実績を示すことが急務の課題となっていました。しかし、財政的制約から多額の費用を要する外部の経営支援専門職の導入は困難であり、人件費や委託費の削減が求められる中、新たな初期投資を行わずに既存の配置人員と仕組みの能力を徹底的に引き出し、確実な増収成果を上げることが求められました。

ソラストは、20年におよぶ委託業務で培った信頼関係を土台に、高い改善効果が期待できる「救急医療管理加算の算定適正化」を選定しました。

詳細な要因分析を行った結果、以下の構造的な阻害要因が特定されました。

①医療側の要因として、医学的記録の不足が挙げられます。意識障害の指標 (JCS)、酸素使用状況やSpO2、心機能分類、平均血圧や降圧剤の有無などについて、医師や看護師によるカルテへの詳細な状態記載が不足していました。

②事務側の要因として、実務技能の不足が挙げられます。膨大な診療記録から算定要件を満たす医学的記述を正確に読み解く専門能力が不足していました。また、医療側と事務側の間で具体的な課題を共有・伝達する機会が欠如していたため、算定漏れや審査機関による査定減点が多発していました。

審査機関による査定減点のリスクを恐れて現場には算定を躊躇する心理もありましたが、適切な記録に基づく適正な請求こそが確実な収益確保に繋がると判断し、既存体制での施策を推進しました。

現場の連携を支える組織づくり

事務側から一方的に記載漏れを指摘することは、現場の業務負担増と捉えられ、反発を招く恐れがありました。そこで、病院経営陣が危機的な財務状況を周知し、組織全体で経営改善の機運が高まっていた好機を捉え、診療部、看護部、経営企画課、ソラストが一体となった組織横断的な「病院作業部会」を発足しました。

これにより、共通目標に向けた連携基盤が構築されました。部会を機能させるため、毎月開催される「診療情報管理委員会」の活用法を刷新しました。

従来の委員会報告は、査定減点や不承認事例を事後報告する形式であり、現場の医師に「管理・叱責されている」という否定的な印象を与えかねない運用でした。

ソラストはこれを改め、救急医療管理加算の改善活動に焦点を絞り、算定率の伸び率や具体的な増収見込み額など、成果が目に見えて実感できる前向きな数値を可視化して提示する運用へと刷新しました。

課題と貢献度を関係者全員が正しく理解することで、診療部や看護部も「自分事」として捉え、前向きに協力し合える風土が醸成されました。

運用の改善と医師との協働体制

診療記録の質を向上させ、適切な算定を定着させるため、ソラストは従来の書面による一方的な連絡手順を廃止しました。

書面のみの指摘は心理的距離を生み、行動変容に繋がりにくいためです。代わりに診療情報管理室を活用し、各科の医師とソラストの事務担当者が直接対面して、レセプトを一緒に精査する機会を新たに創出しました。

具体的な運用として、事務側で算定要件に基づいた明確な記述ルールを作成し、確認の視点を標準化しました。これに基づき、入院初日から3日間のカルテ記述をソラストの担当者が事前に精査し、不足している具体的な数値や必要な病名、医学的記録を個別に抽出します。

その上で、特に手術や査定減点が発生しやすい診療科の医師へ直接出向き、実際の事例を基にフィードバックを行いました。

「この事実や数値が記載されていれば、病院の提供した医療行為が正当に評価される」と論理的に説明することで医師の理解が深まり、適切な状態記載や、再審査請求時に必要な請求理由書(詳記)の自発的な作成を促すことができました。

さらに、この取り組みを救急作業部会へ発展させ、現場責任者を巻き込むことで、組織的な算定推進の流れを定着させました。対話重視の地道なコミュニケーションこそが、組織の壁を取り払い協力を引き出す最大の要因となりました。

計算担当者の技能標準化と当事者意識の醸成

医療現場との協働を確実にするには、事務側の請求精度向上と、属人化を排除した実務技能の平準化が不可欠です。

入院計算を担当する6名のスタッフ間には経験や知識のばらつきがあったため、ソラストは独自の部内教育体制を構築しました。

勉強会では座学を排し、自院で実際に発生した査定減点や未算定の事例を教材として使用しました。カルテ内のどの記述に着目すべきかという「気づく力」と、審査機関に有効な「請求理由書の論理構築力」の指導を徹底し、全員が根拠を持って実務に臨める環境を整えました。

さらに、入院担当スタッフを交代制で診療情報管理委員会へ出席させる運用を導入しました。

これまではリーダー層のみが出席していた会議に現場担当者自身が出席し、経営層や医師の前で担当診療科の算定状況や課題を直接発表する役割を付与しました。

この明確な役割と責任の付与により、スタッフの「自分事」としての意識が格段に向上しました。数値を日頃から深く分析し、医師へのフィードバックを主体的に行うなど、連鎖的な能力の底上げが実現しました。

まとめと今後の展開

本取り組みは委託業務の枠組みにおいて、多職種連携の仕組み化と現場人員の専門能力最大化により、年間約1500万円の収益適正化を実現した事例です。厳しい財務環境下でのコストカット要求に対し、既存体制のままで確実な収益向上を示したことは、業務水準の維持と雇用の確保を両立しつつ病院経営に貢献する結果となりました。

確立した前向きな数値管理と対面型の合同精査フローは、一過性の活動に終わらせず定例業務として運用されており、現場の意識の形骸化を防止しています。

今後は、この成功モデルを他領域へ展開し、直近の診療報酬改定で新設された救急外来関連の項目を踏まえ、外来機能への展開を病院側と進めています。

病院側からは経営改善会議への同席を求められるなど、単なる実務代行を超え、持続可能な経営基盤を共に構築する共同パートナーとしての期待が高まっています。

株式会社ソラストは、医事現場の運用最適化による「足元の確実な収益適正化」を達成すると同時に、構築された信頼関係と財務基盤を原資に、将来的には病床機能の変革や建て替えに伴う中長期的な経営戦略の策定までを見据えた総合的な支援体制で、地域の人々が安心して暮らせる医療環境を共に守ってまいります。

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